属人化とは?意味と属人的・属人性の違い、原因とデメリット、解消の手順【作例付き】

この記事の要点

  1. 属人化(ぞくじんか)とは、業務が組織全体ではなく特定の人に頼った状態になることです。辞書の「属人」の「業務の管理などが、組織全体でなく特定の個人に属すること」という意味から来た言葉で、「俗人化」は書き誤りです。
  2. 「属人的」は特定の人に頼っている様子、「属人性」はその度合いを言う言葉です。辞書の対義語は法律の場面の「属地」で、仕事の場面で反対の状態を言うなら「標準化」が近い言葉です。
  3. 原因は、手順を書き残す時間がない、一人に任せきり、経験と勘の判断、共有する場所がない、共有が評価されないことです。担当者がいないと業務が止まる、ミスに気づきにくいなどのデメリットがあります。
  4. わざと属人化する人には、本人を責めず、共有を評価に入れる、書き出す時間を予定に入れるなど、職場の決まりで対策します。
  5. 解消は「業務の棚卸し」「先に手をつける業務を決める」「手順と判断の基準を書き出す」「文書と動画で共有し、ほかの人がやってみる」「変わったら直す」の5ステップで進めます。判断の基準まで書いた引き継ぎ書と、それから作った説明動画の作例を紹介します。
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属人化とは、業務の進め方や判断が特定の人にしか分からず、その人がいないと業務が進まなくなっている状態のことです。 「あの人が休むと、この仕事が止まる」「前任者が辞めて、やり方が分からない」といった職場の困りごとは、属人化によって生じています。

この記事では、属人化の意味を辞書で確かめたうえで、「属人的」「属人性」との違い、起きる原因とデメリット、わざと属人化する人への職場の対策、解消の手順を説明します。 最後に、属人化していた業務を、引き継ぎ書と説明動画で残した作例を紹介します。

属人化とは?意味と読み方

属人化の意味

属人化(ぞくじんか)とは、業務が組織全体ではなく、特定の人に頼った状態になることです。 辞書では「属人」の意味の1つに「業務の管理などが、組織全体でなく特定の個人に属すること」とあり、用例に「業務が属人化する」が載っています(小学館『デジタル大辞泉』の「属人」の項。2026年10月27日にコトバンクで確認)。

職場で「属人化している」と言うときは、仕事のやり方、進み具合、判断の理由を担当者しか知らず、ほかの人が代わりに進められない状態を指します。 担当者が休んだり、異動したり、辞めたりしたときに、業務が止まったり、引き継ぎに苦労したりして初めて気づくこともあります。

業務が属人化している例
業務属人化しているときの様子
経理の月末の締め集計の順番と、数字が合わないときの直し方を1人しか知らない
受注の納期の回答どの時点で営業担当に伝えるかを、担当者が経験で決めている
社内システムの設定設定を変えた理由と手順が残っておらず、作った人しか直せない
取引先との窓口過去のやり取りと約束ごとが、担当者のメールにしか残っていない

「俗人化」は「属人化」の書き誤り

「俗人化」と書かれているのを見かけることがありますが、業務が特定の人に頼っている状態を表す言葉は「属人化」です。 「俗人」は、辞書では「世俗の名利などにとらわれている人」「僧に対して、世間一般の人」という意味の言葉です(デジタル大辞泉)。 どちらも「ぞくじん」と読むため、変換するときに取り違えないよう注意しましょう。

属人化と専門性の違い

専門的な知識や技術を持つ人に仕事を任せること自体は、悪いことではありません。 問題になるのは、その人がいないときに代わりに対応できる人がいなくて、手順や判断の理由がどこにも残っていない場合です。 専門性の高い仕事でも、手順と判断の基準が記録され、不在のときに誰が対応するかが決まっていれば、業務は止まりません。

「属人的」「属人性」の意味と使い方

「属人化」のほかに、「属人的」「属人性」という言葉も使われます。 どれも「属人」という言葉からできています。

辞書によると、「属人」には2つの意味があります(デジタル大辞泉)。 1つは「その人に属すること。法律などで、人を基本として考えること」、もう1つは、前の章で紹介した「業務の管理などが、組織全体でなく特定の個人に属すること」です。 仕事の話で使う「属人化」「属人的」「属人性」は、2つ目の意味の言葉です。

属人化・属人的・属人性の違い
言葉意味使い方の例
属人化業務が特定の人に頼った状態になること業務が属人化する
属人的特定の人に頼っている様子属人的な評価、判断が属人的になる
属人性業務が特定の人に頼っている度合い属人性が高い業務、属人性を下げる

「属人化する」「属人化している」は、業務がそうした状態になること、なっていることを言います。 「属人的」は、「属人的な評価」(デジタル大辞泉の用例)のように、物事のやり方や決め方が特定の人に頼っている様子を表します。 別の辞書では「個人に依拠していること」と説明されています(Weblio『実用日本語表現辞典』)。 「属人性」は、「属人性が高い」「属人性を下げる」のように、業務がどのくらい特定の人に頼っているかを言うときに使います。

使い方の例を挙げます。

  • 経費の精算の確認が属人化していて、担当者が休むと処理が止まる。
  • 評価が属人的にならないように、評価の基準を文書にする。
  • 属人性の高い業務から順に、手順を書き出していく。

属人化の対義語と言い換え

辞書で「属人」の対義語として挙げられているのは「属地」です(デジタル大辞泉)。 「属地」は、法律の適用などについて、その土地を基本にして考えることを表す言葉で、法律の場面で使う1つ目の意味の「属人」と対になります。

仕事の場面で属人化の反対の状態を言うなら、「標準化」が近い言葉です。 標準化は、辞書では「誰もが共通して使用できる一定の基準を定めること」と説明されています(デジタル大辞泉)。 業務の手順や判断の基準を決めて共有し、担当者が替わっても同じように進められる状態にすることが、属人化の解消にあたります。

「属人化している」を言い換えるなら、「特定の人に依存している」「担当者しか分からない」「その人がいないと回らない」などの言い方があります。

属人化が起きる原因

属人化は、誰かが意図して始めるとは限りません。 日々の忙しさや仕事の任せ方の中で、少しずつ進むこともあります。

  • 手順や判断を書き残す時間がない:目の前の業務で手いっぱいになると、手順書や引き継ぎの資料を作る仕事は後回しになります。担当者は自分ではできるので、困ることもありません。
  • 一人に長く任せきりになっている:人手が足りなかったり、慣れた人に任せたほうが早かったりして、同じ人が何年も同じ業務を担当していると、ほかの人がその業務に触れる機会がなくなります。
  • 経験と勘に頼った判断がある:長く担当している人は、言葉にしないまま判断していることがあります。こうした経験や勘に基づく知識は「暗黙知」と呼ばれます(デジタル大辞泉)。本人にとって当たり前なので、手順書を書いても抜け落ちやすい部分です。
  • 情報を共有する場所と習慣がない:手順や過去のやり取りが、個人のパソコンやメール、手書きのメモなどにばらばらに残っていると、ほかの人は探せません。
  • 共有しても評価されない:個人の成果だけで評価される職場では、ほかの人に教えたり手順を書き出したりする時間は、担当者にとって損に見えてしまいます。

属人化のデメリット

属人化していると、担当者がいるうちは問題が見えにくく、担当者が抜けたときにまとめて表に出ます。

  • 担当者がいないと業務が止まる:休み、病気、異動、退職のときに、代わりに進められる人がいません。
  • 引き継ぎに時間がかかる:前任者が手順を思い出しながら口頭で伝えることになり、伝え漏れが出やすくなります。
  • ミスや不正に気づきにくい:ほかの人が中身を見ないため、間違いが続いていても見つかりません。
  • 人によって品質がばらつく:担当者が替わると、やり方も結果も変わってしまいます。
  • 担当者に負担が集中する:問い合わせや判断がその人に集中し、休みを取りにくくなります。
  • やり方を見直せない:中身がほかの人から見えないので、もっと早く、確実にできるやり方があっても気づけません。

属人化が問題になりにくい場面

始めたばかりで、やり方がまだ決まっていない仕事は、少人数で試しながら進めたほうが早いこともあります。 ただし、そうした仕事であっても、担当者が急にいなくなったときに困らないよう、その時点の手順と判断の理由は記録しておきましょう。 属人化の解消は、すべての仕事を誰でもできるようにすることではなく、担当者がいなくても業務が止まらない状態を作ることです。

わざと属人化する人がいるのはなぜ?理由と職場の対策

職場によっては、「あの人は、わざと仕事を抱え込んでいるのではないか」と感じることもあるでしょう。 本人を責める前に、なぜ手放さないのかを考えると、職場で打てる対策が見えてきます。

わざと属人化する理由と職場の対策
考えられる理由職場の対策
自分にしかできない仕事で、立場や評価を守りたい手順を共有したことや、ほかの人に教えたことを評価に入れる
やり方を見られて、指摘されるのが不安書き出した手順を個人を責める材料にせず、チームのやり方として直していく
教える時間がなく、自分でやったほうが早い手順を書き出す時間と、副担当に教える時間を、業務の予定に入れる
仕事を手放すと、自分の役割がなくなる気がする手順を渡した後に任せたい仕事(やり方の見直しや後輩の指導など)を先に伝える

また、上司が慣れた人に仕事を任せ続けた結果、本人にその気がなくても属人化していることもあります。 どの対策も、本人の心がけに頼らず、職場の決まりとして用意するのが要点です。 次の章で説明する解消の手順でも、同じ仕組みを使います。

属人化を解消する手順

一度にすべての業務を変えようとすると、手が回らずに続きにくくなります。 止まると困る業務から順に、次の5つのステップで進めます。

1. 業務を書き出す(業務の棚卸し)

まず、チームの業務を一覧にします。 毎日の業務だけでなく、毎月の締めや年に1回の作業まで書き出し、業務ごとに担当者と、代わりにできる人がいるかを書き添えます。

業務の棚卸しの例
業務頻度代わりにできる人
納期の問い合わせへの回答毎日いない
月末の請求書の締め毎月1人
新しい取引先の登録月に数回2人
年に1回の在庫の棚卸しの集計年に1回いない

一覧にすると、「代わりにできる人がいない」業務がどれだけあるかが分かります。

2. 先に手をつける業務を決める

一覧の中から、代わりにできる人がいなくて、止まると取引先やほかの部署に影響が出る業務を先に選びます。 迷ったときは、「担当者が急に休んだ日に、この業務を誰が、どうやって進めるか」と考えてみると、答えられない業務が見つかります。 上の例なら、毎日発生し、取引先に影響する「納期の問い合わせへの回答」が最初の候補です。

3. 手順と判断の基準を書き出す

選んだ業務の手順を書き出します。 担当者だけに書いてもらうと、本人には当たり前の手順や判断が抜けやすくなります。 担当者に実際に業務をしてもらいながら、ほかの人が「なぜそうするのか」「いつもと違うときはどうするのか」を聞き取って書き留めると、抜けが減ります。

書き出すのは、次のことです。

  • 業務の目的と、始めるきっかけ
  • 使うもの(システム、資料、連絡先)
  • 作業の手順
  • 判断の基準と、その理由
  • いつもと違うときの対応
  • どうなったら完了か

判断の基準に理由を添えておくと、書かれていない場面に出会ったときも、後任者が理由から考えて決められます。 マニュアルの構成と書き方はマニュアル作成の手順とコツ、手順書の項目と書き方は手順書の作り方で詳しく説明しています。

4. 文書と動画で共有し、ほかの人がやってみる

書き出した手順は、誰でも見られる決まった場所に置きます。 画面の操作の流れや、手元の動きのように文章だけでは伝わりにくいところは、動画にすると理解しやすくなります。 文書は手順を探したり確かめたりするのに向き、動画は初めての人が流れをつかむのに向くので、両方を用意すると使い分けられます。 動画マニュアルの作り方は動画マニュアルの作り方にまとめています。

次に、副担当を決めて、文書と動画を見ながら実際に業務をしてもらいます。 副担当が迷った点や、聞かないと分からなかった点が、書き足りない部分です。 そこを書き足すと、担当者がいなくても進められる手順に近づきます。

5. 手順が変わったら直す

業務のやり方は、システムや取引先の事情で変わります。 古い手順が残ったままだと、また担当者に聞かないと進められない状態に戻ってしまいます。 手順が変わったときに誰が直すかと、変わらなくても見直す時期(半年に1回など)を決めておきます。

作例:属人化していた業務を、引き継ぎ書と動画で残す

ここでは、受注チームで前任者だけが担当していた「納期の問い合わせへの回答」を例に、解消の手順のステップ3と4で作る引き継ぎ書と動画を紹介します。 前任者は、出荷の日付が決まっていないときの答え方や、営業担当に伝えるタイミングを、経験で決めていました。 その判断を、理由と一緒に書き出したのが次の引き継ぎ書です。

引き継ぎ書の例:納期の問い合わせへの回答

引き継ぎ書の概要
項目内容
業務取引先から届く、注文の納期の問い合わせに答える
担当受注チーム(前任者から後任者へ引き継ぐ)
いつ取引先から電話かメールで問い合わせを受けたとき
使うもの受注管理システム、仕入先の入荷予定表
完了の基準取引先に答え、対応履歴に残したら完了

手順

  1. 取引先の名前と注文番号を聞く。注文番号が分からないときは、注文した日と品名を聞いて、受注管理システムで注文を探す。
  2. 受注管理システムで、その注文の出荷予定日を確かめる。
  3. 出荷予定日が空欄のとき(在庫が足りないとき)は、仕入先の入荷予定表で入荷日を確かめる。
  4. 取引先に答える。出荷予定日が決まっていれば、その日を伝える。決まっていなければ、いつまでに連絡するかを伝える。
  5. 取引先の希望の納期より遅れるときは、取引先に答える前に、営業担当に伝える。
  6. 受注管理システムの対応履歴に、問い合わせの内容と答えた内容を残す。

判断の基準(前任者が経験で決めていたこと)

  • 決まっていない日付は、見込みでも伝えない。あとで日付が変わると、取引先の予定が崩れるため。
  • 希望の納期に間に合わないと分かったら、取引先に答える前に営業担当に伝える。代わりの品や分けて送る相談は、営業担当が取引先と行うため。
  • 同じ取引先から3日以内に2回目の問い合わせが来たら、営業担当にも知らせる。取引先が急いでいる合図のため。

引き継ぎ書から作った説明動画

上の引き継ぎ書をもとにNoLangで作った、後任の担当者向けの説明動画です。 取引先から問い合わせが届く場面から始まり、仕事の全体像(担当、いつ、使うもの、完了の基準)を示したあと、6つの手順を順に説明します。 後半では、前任者が経験で決めていた3つの判断の基準を、問い合わせの場面での問いかけと理由で確かめ、最後に流れをおさらいします。

納期の問い合わせ対応の引き継ぎ(後任の受注担当者向け)

納期の問い合わせに答える業務の引き継ぎ書をもとに、後任の担当者向けの説明動画に。手順と判断の基準を、理由と一緒に伝えて。

このテンプレートで作る

「このテンプレートで作る」を押すと、NoLangのホームでこの動画がお手本として開き、同じ形の引き継ぎの動画を作り始められます。 手元の引き継ぎ書や手順書がPDFやPowerPointのファイルなら、ホームの「資料から作成」でファイルをアップロードして、説明動画にできます。 文章で書いた引き継ぎ書なら、「台本から作成」に文章を入力して作れます。

会社でNoLangを使うと、部署ごとの引き継ぎ書や手順書から、ナレーション付きの説明動画を作れます。 導入の相談はお問い合わせから受け付けており、詳しい資料は下のボタンから請求できます。

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よくある質問

属人化の読み方は?
「ぞくじんか」と読みます。もとになった「属人」は、辞書でも「ぞくじん」と読む言葉です(デジタル大辞泉)。
属人化の反対語(対義語)は何ですか?
辞書で「属人」の対義語とされているのは「属地」で、法律の適用などで土地を基本に考えることを表します。仕事の場面で属人化の反対の状態を言うなら、誰もが共通して使える基準を定める「標準化」が近い言葉です。
属人化と属人的は、どう使い分けますか?
「属人化」は業務が特定の人に頼った状態になることで、「業務が属人化している」のように使います。「属人的」はやり方や決め方が特定の人に頼っている様子を表し、「属人的な評価」「判断が属人的だ」のように使います。
属人化はすべてなくすべきですか?
すべての仕事を誰でもできるようにする必要はありません。専門性の高い仕事や、始めたばかりの仕事は、特定の人に任せたほうがよい場合もあります。ただし、手順と判断の理由を記録し、担当者がいないときに対応する人を決めて、業務が止まらないようにしておきます。
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