店舗集客の方法とアイデア|Googleマップ・SNS・チラシ・Web広告の選び方と、店舗マーケティングの考え方

この記事の要点

  1. 店舗の売上は「来店客数×購買率×客単価」に分けられ、集客が受け持つのは来店客数です。購買率と客単価は店の中の工夫が受け持ちます。
  2. お客さんが来店するまでの流れ(知る→調べる→行くと決める→来る→また来る)のどこで止まっているかを見て、効く方法を選びます。
  3. Googleビジネスプロフィールは無料で作成・掲載でき、Googleは地図などの検索結果が主に関連性・距離・知名度で表示されると説明しています。
  4. SNSは、Instagramで見つけてもらい、LINE公式アカウントでまた来てもらう組み合わせが始めやすく、来てほしい人の年代の利用率も目安になります。
  5. 1〜2つの方法から始め、Googleビジネスプロフィールのパフォーマンスやチラシのクーポン、来店時の聞き取りで、どこから来たかを数えます。
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お店の集客と聞いて思い浮かぶ方法は、たくさんあります。Googleマップへの登録、Instagram、LINE公式アカウント、チラシ、看板、Web広告。どれも「やったほうがいい」と言われ、少しずつ手を付けてはみたものの、来店が増えたのかどうかははっきりしない。そんな状態の店主や店長、販促の担当者は少なくありません。

方法が多いぶん、迷うのは「どれに手間とお金をかけるか」です。そこで大事になるのが、お客さんが店に来るまでのどこで止まっているかを先に見ることです。店の存在を知られていないのか、知られていても場所や営業時間が調べられないのか、一度来た人がまた来ないのか。止まっている段階によって、効く方法は変わります。

この記事では、店舗の売上を3つの数字に分けて、集客が受け持つ範囲をはっきりさせます。そのうえで、来店までの流れに沿って集客の方法を一覧にし、費用と手間で比べて、お店に合う方法を選べるようにします。立地ごとの考え方、小売店の集客アイデアと公的な資料の事例も紹介します。後半では、店内と商品を見せる短い動画を作り、Googleマップ・SNS・店頭で使う方法を作例で示します。

店舗集客とは:近くの人に知ってもらい、来てもらい、また来てもらう

店舗集客とは、お客さんに実店舗へ来てもらうための活動です。店の存在を知ってもらい、行ってみようと思ってもらい、実際に足を運んでもらう。そして、一度来た人にまた来てもらうところまでを含みます。

ネットショップの集客と違うのは、お客さんが店まで来られる範囲にいなければならないことです。この範囲を「商圏」と呼びます。どれだけ多くの人に知られても、店まで行けない場所に住んでいる人は、ほとんど来店しません。また、来られる範囲にいる人でも、場所、営業時間、行き方、駐車場の有無が分からなければ来られません。店舗集客では、遠くの多くの人より、近くにいる人に、来るために要る情報まで届けることが中心になります。

店舗の集客には、2つの相手がいます。

  • 新しいお客さん:まだ店に来たことがない人。店の存在を知ってもらうところから始まります。
  • また来るお客さん:一度来たことがある人。思い出してもらい、また来る理由を作ります。

新しいお客さんを増やす方法と、また来てもらう方法は違います。どちらが足りないのかで、手を付ける順番が変わります。

店舗マーケティングの考え方:売上を3つの数字に分ける

店舗の売上は、次の3つの数字の掛け算で表せます。

売上 = 来店客数 × 購買率 × 客単価

来店客数は店に来た人の数、購買率は来た人のうち買った人の割合、客単価は買った人1人あたりの金額です。

売上を分ける3つの数字
数字意味増やす主な方法
来店客数店に来た人の数(新しいお客さん+また来るお客さん)集客(この記事で扱う方法)
購買率来た人のうち、買った人の割合品ぞろえ、陳列、接客、価格
客単価買った人1人あたりの金額一緒に買うものの提案、まとめ買い

集客が受け持つのは、このうち来店客数です。購買率と客単価は、店の中での工夫が受け持ちます。

架空の数字で計算してみます。ある雑貨店に1日100人が来て、そのうち40%が買い物をし、1人あたり2,500円を使ったとします。

100人 × 40% × 2,500円 = 1日の売上 100,000円

来店客数が1割増えて110人になると、売上は110,000円になります。一方、来店客数が増えても、店の中で品物が見つけにくく購買率が30%に下がれば、110人 × 30% × 2,500円で82,500円となり、かえって減ります。集客の成果を見るときは、来店客数と一緒に購買率と客単価も記録しておくと、どこが変わったのかが分かります。

商圏と、来てほしい人を決める

集客の方法を選ぶ前に、商圏と、来てほしい人を決めておきます。

商圏は、お客さんがどうやって店に来るかで変わります。駅前や商店街の店は、歩いて来る人と電車で来る人が中心です。住宅地の店は、歩きや自転車で来る近所の人が中心になります。郊外の幹線道路沿い(ロードサイド)の店は車で来る人が中心で、商圏は広くなります。

商圏にどのくらいの人が住んでいるかは、公的な統計の地図で調べられます。総務省統計局の「地図で見る統計(jSTAT MAP)」では、統計を地図に表示できます。統計局は、商圏分析などの地域分析に使えると案内しています。ログインしなくても、範囲を指定して統計のグラフを作成できます。政府のシステム「RESAS(地域経済分析システム)」は、無料でID登録も要らず、通過する人の数を地図で見る機能の活用例に「チラシ配布や看板設置場所の検討」を挙げています(いずれも2026年10月時点の各サイトの案内による)。

来てほしい人は、年代、住んでいる場所、来る目的(日用品の買い足し、贈り物、趣味など)で考えます。今来ているお客さんがどんな人かは、レジでの様子や、来店した人に聞く簡単なアンケートで確かめられます。

お客さんが来店するまでの流れ:どこで止まっているかを見る

お客さんが店に来るまでには、いくつかの段階があります。

  1. 知る:店の存在を知る
  2. 調べる:地図や検索、SNSで、場所・営業時間・品ぞろえを確かめる
  3. 行くと決める:行ってみたいと思い、行く日を決める
  4. 来る:実際に店まで来る
  5. また来る:もう一度来る

「集客ができない」ときは、この流れのどこかで止まっています。止まっている段階によって、そのときの様子と効く方法が変わります。

来店までの段階と、効く方法
段階止まっているときの様子効く方法
知る近所の人に「こんな店あったの」と言われるチラシ、看板、SNS、Web広告
調べる地図や検索で店が出ない。営業時間が古いGoogleビジネスプロフィール、ホームページ
行くと決める店名は知られているが、来る理由がない写真・動画で商品と店内を見せる、催しの告知
来る場所が分かりにくい。入りにくい行き方と駐車場の案内、店頭の見せ方
また来る一度来た人がそれきりになるLINEの配信、会員・ポイント、店内の催し

どの段階で止まっているかは、数字と聞き取りで確かめます。Googleビジネスプロフィールの閲覧数が少なければ「知る」「調べる」の段階、閲覧数はあるのにルートの検索が少なければ「行くと決める」の段階、新しいお客さんは来るのに再来店が少なければ「また来る」の段階が弱いと考えられます。来店した人に「何で店を知ったか」を聞くのも、手軽で確かな方法です。

店舗集客の方法一覧

店舗集客の主な方法を、来店までの流れで受け持つ役割ごとに並べます。

検索と地図で見つけてもらう

  • Googleビジネスプロフィール
    • Google検索とGoogleマップに出る店の情報を、店が自分で登録・管理するサービスです。営業時間、写真、最新情報、クチコミへの返信などを載せられます。店名や「近くの雑貨屋」などで調べた人が目にする情報です。
  • ホームページ
    • 店の紹介、商品、営業時間、行き方をまとめて載せる自分の店のサイトです。地図の情報より詳しく、品ぞろえや店の考え方まで伝えられます。
  • ポータルサイト・口コミサイト
    • 地域や業種ごとに店を探せるサイトです。店を探している人に見つけてもらえます。掲載の条件と費用はサイトごとに違います。

SNSで知ってもらい、思い出してもらう

  • Instagram
    • 写真や動画で、店の雰囲気と商品を見てもらう場所です。新商品や季節の品を見せ、行ってみたいと思ってもらう役割に向きます。
  • LINE公式アカウント
    • 友だちになった人にメッセージを送れます。一度来た人にまた来てもらう役割に向きます。
  • X・TikTok・YouTube
    • 店をまだ知らない人に知ってもらう役割に向きます。続けて投稿する手間がかかるので、店の題材や人手と相談して選びます。

店の近くの人に届ける

  • チラシ
    • ポスティング、新聞折込、地域を指定して届ける郵便などで、商圏に住む人に配ります。ネットをあまり使わない人にも届きます。
  • 看板・のぼり
    • 店の前を通る人や、車で通りかかる人に店の存在を知らせます。
  • 店頭の見せ方
    • 外から何の店か、中がどんな様子かが分かるようにします。通りがかった人が入るかどうかを決める場所です。
  • 店頭の画面
    • 店先に置いた画面で、商品や催しを動画で見せます。

広告で届く人を増やす

  • 検索広告
    • 検索した人に、検索結果の広告枠で店を見せます。探している人に届きます。
  • SNS広告
    • InstagramなどのSNSで、店の周りの地域にいる人に広告を見せます。まだ店を探していない人に知ってもらえます。

また来てもらう

  • LINEの配信
    • 新商品や催しを、友だちになった人に知らせます。
  • 会員・ポイント
    • 来るたびに特典がたまる仕組みで、また来る理由を作ります。
  • 店内の催し・体験
    • 使い方の教室やワークショップなど、来る目的になる催しを開きます。
  • 紹介
    • 来てくれた人から、家族や知り合いに店を紹介してもらいます。

費用と手間で比べる

主な方法を、費用のかかり方、主な手間、届く範囲で比べます。費用は、各社の公式ページに書かれていることだけを載せています。

集客の方法の費用と手間
方法費用のかかり方主な手間届く範囲
Googleビジネスプロフィール作成・掲載は無料情報の更新、写真、クチコミへの返信店を検索・地図で調べる人
Instagram広告を出すときは広告費写真・動画を撮って投稿し続けるフォロワーと、投稿を見つけた人
LINE公式アカウント月額0円(200通まで)から配信の内容を作る友だちになった人
チラシ印刷と配布の費用(配る数で変わる)原稿の作成、配る地域の決定配った地域の人
看板・のぼり製作と設置の費用地域によっては許可の手続き店の前を通る人
Web広告1日の予算を自分で決める広告文と対象地域の設定、結果の確認指定した地域の人

表の費用は、2026年10月28日時点の次の公式ページによります。

  • Googleビジネスプロフィール:Googleのビジネスプロフィールのページに、プロフィールを作成してGoogleにビジネス情報を載せるのに料金はかからないとあります。
  • LINE公式アカウント:LINEヤフーの料金プランのページでは、コミュニケーションプランが月額0円で無料メッセージ200通、ライトプランが月額5,000円(税別)で5,000通、スタンダードプランが月額15,000円(税別)で30,000通です。初期費用はかからず、プランで使える機能に差はありません。通数は「メッセージを送った回数×送った友だちの数」で数えます。たとえば友だち100人に月4回送ると400通になり、無料の200通を超えます。
  • Web広告:Google 広告は、キャンペーンごとに1日の平均予算を決めます。日によって費用が平均予算を上回ることがありますが、1日の費用はほとんどのキャンペーンで1日の平均予算の2倍まで、1か月の費用は1日の平均予算の30.4倍までと案内されています。Meta広告(InstagramとFacebookの広告)も1日の予算を決めて出せます。
  • 地域指定の郵便:日本郵便のタウンプラスは、町丁目やマンションの単位で指定した地域の配達できるすべての箇所に、あて名を書かずに届けるサービスです。同時に500個以上から出せます。料金は郵便局への問い合わせが必要です。

効き始めるまでの時間も方法によって違います。Web広告は、出している間だけ表示されます。Googleビジネスプロフィールは、情報と写真を整えればすぐに調べる人の役に立ちますが、オーナー確認を済ませないと写真や動画が表示されません。SNSは投稿がたまり、フォローする人が増えるまで時間がかかります。

お店に合う方法の選び方

方法は、次の順で選びます。

  1. 3つの数字のどれを増やすかを決める。 来店客数を増やすのが集客です。購買率や客単価に課題があるなら、先に店の中を見直します。
  2. 来店までの流れのどこで止まっているかを見る。 新しいお客さんが少ないのか、再来店が少ないのかで、使う方法が変わります。
  3. 来てほしい人が使う場所を選ぶ。 来てほしい人の年代が使っているSNSや、目にするものを選びます。
  4. 費用と、続けられる手間で絞る。 投稿や更新を続けられない方法は、始めても止まってしまいます。
  5. 1〜2つから始め、どこから来たかを数える。 一度に多くを始めると、どれが効いたのか分かりません。

来てほしい人が使うSNSは、公的な調査の利用率が目安になります。総務省情報通信政策研究所の「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2026年6月公表、2025年12月に13〜79歳の1,800人に調査)によると、Instagramの利用率は20代で82.6%、30代で76.6%ですが、60代では36.1%、70代では15.8%です。LINEは70代でも77.8%が使っています。年配のお客さんが多い店では、Instagramだけに頼らず、LINEやチラシと組み合わせるほうが届きやすくなります。

どこから来たかは、次の方法で数えます。

  • Googleビジネスプロフィールのパフォーマンス:オーナー確認を済ませると、検索に使われた語句、プロフィールの閲覧数、ルートの検索数、通話数、ウェブサイトのクリック数などを見られます。
  • SNSのインサイト:フォロワーの数より、投稿を見た人の数、プロフィールを見た人の数、保存された数を見ます。
  • チラシのクーポン:チラシごとに違うクーポンやQRコードを付け、使われた数を数えます。
  • 来店したときに聞く:「何で店を知りましたか」と聞き、答えを記録します。

方法を変えたら、来店客数・購買率・客単価の3つの数字が、変える前と比べてどう動いたかを記録します。

立地ごとの考え方

店のある場所によって、来る人と、まず整えることが変わります。

立地ごとに、まず整えること
立地来る人まず整えること
駅前・商店街歩いて通りがかる人、仕事帰りの人店頭の見せ方、看板、地図の情報
住宅地近所に住む人チラシ、LINEの配信、店内の催し
ロードサイド車で来る人遠くから見える看板、駐車場と入り方の案内
観光地旅行で来る人Googleビジネスプロフィール、SNS、営業時間

ロードサイド店舗の集客では、車を運転している人が、走りながら店に気付き、入るかどうかを決めます。遠くから何の店か分かる看板と、駐車場の入り口の分かりやすさが大事です。車で来る人が行き先を地図で調べたときに困らないよう、Googleビジネスプロフィールに駐車場の有無や台数、入り方も載せておきます。Googleも、ビジネス情報を最新の状態に保つことの例に、駐車場の利用可否などの詳細情報を挙げています。

Web集客:Googleビジネスプロフィールとホームページを整える

店舗のWeb集客で最初に整えるのは、Googleビジネスプロフィールです。Google検索やGoogleマップで店を調べた人が目にする情報で、無料で整えられます。ここに出る営業時間や場所が古いと、調べた人は来店の前で止まってしまいます。この節の内容は、2026年10月時点のGoogle ビジネス プロフィール ヘルプによります。

Googleビジネスプロフィールでできること

Googleビジネスプロフィールは、無料で店を追加・申請できます。営業時間などの情報を編集したり、お客さんとやり取りしたりするには、ビジネスのオーナー確認が要ります。確認の方法(電話、メール、ビデオ通話、ハガキなど)は、業種や地域などに応じてGoogleが自動で決めます。

オーナー確認を済ませると、次のことができます。

  • 店の情報を載せる:住所、営業時間(祝日などの特別営業時間を含む)、ビジネスの種類、駐車場などの詳細。
  • 写真と動画を載せる:写真はJPGかPNGで10KB〜5MB、動画は30秒以内・75MB以内・720p以上です。表示されるまで最長24〜48時間ほどかかることがあります。
  • 最新情報を投稿する:投稿の種類は「最新情報」「特典」「イベント」の3つです。新商品のお知らせ、クーポン付きの特典、催しの日時などを載せられ、スマートフォンではGoogle検索とGoogleマップの店のプロフィールに表示されます。期間を決めていない投稿は、6か月たつとアーカイブされます。
  • クチコミに返信する:返信は企業からの返信として表示されます。
  • パフォーマンスを見る:検索に使われた語句、閲覧数、ルートの検索数などを見られます(前の節で紹介した数字)。

検索結果の順位の決まり方

Googleは、地図などのローカル検索の結果は、主に「関連性」「距離」「知名度」に基づいて表示されると説明しています。

  • 関連性:検索した語句と、店のプロフィールが合っている度合い。店について的確な情報を載せると高まります。
  • 距離:検索している人から店までの距離。
  • 知名度:店がどれだけ広く知られているか。店にリンクしているウェブサイトの数や、クチコミの数などにも基づきます。

距離は店の側では変えられません。店ができるのは、関連性と知名度を上げることです。Googleは、オーナー確認を行う、ビジネス情報を最新の状態に保つ、クチコミに返信する、写真や動画を追加する、店舗の商品を追加する、という5つを勧めており、情報が充実していて正確なほど、ローカル検索結果に表示される可能性が高くなるとしています。

クチコミを集めるときの決まり

クチコミは知名度の要素の1つで、来店を迷っている人の判断材料にもなります。Googleビジネスプロフィールでは、クチコミを書いてもらうためのリンクやQRコードを共有できるので、レジ横やレシートに載せて頼めます。

頼み方には決まりがあります。Googleのポリシーでは、次のことが禁止されています。

  • クチコミの投稿と引き換えに、お金、割引、無料の商品やサービスを提供すること
  • その場で評価やクチコミを書くよう求めること、特定の内容を書くよう頼むこと
  • 良いクチコミだけを選んで頼むこと

「クチコミを書いてくれたら1品サービス」のような頼み方は、このポリシーに反します。実際に来た人に、感じたことを書いてもらうように頼みます。

また、景品表示法は、商品の内容や取引の条件を、実際より著しく良く見せる表示を禁止しています(消費者庁「表示規制の概要」)。チラシ、店頭、SNS、プロフィールの説明文のどれでも、事実に基づいて書きます。

ホームページに載せる情報と、情報をそろえること

ホームページには、地図の情報だけでは伝えきれないことを載せます。

  • 取り扱っている商品と、店の考え方
  • 営業時間、定休日、臨時休業のお知らせ
  • 住所、行き方、最寄り駅からの道順、駐車場
  • 問い合わせ先、SNSのアカウント

大事なのは、Googleビジネスプロフィール、ホームページ、SNS、ポータルサイトで、店名・住所・電話番号・営業時間を同じにしておくことです。場所によって営業時間が違うと、調べた人はどれが正しいのか分からず、来るのをやめてしまいます。営業時間を変えたら、すべての掲載先を同じ日に直します。

SNS集客:InstagramとLINEを中心に役割を分ける

SNSは、それぞれ得意な役割が違います。前の節で紹介した総務省の調査(令和7年度)の全年代の利用率と、店での使い方を並べます。

SNSごとの店での使い方
SNS全年代の利用率店での使い方
LINE92.9%友だちに新商品や催しを知らせ、また来てもらう
YouTube81.5%店や商品を詳しく見せ、知ってもらう
Instagram54.8%店の雰囲気と商品を見せ、見つけてもらう
X44.7%入荷や当日の情報を早く知らせる
TikTok36.7%短い動画で、まだ店を知らない人に知ってもらう

利用率は、総務省情報通信政策研究所「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の表5-1-1(13〜79歳1,800人、2025年12月調査)によります。

小さな店で全部をやる必要はありません。多くの店で始めやすいのは、Instagramで見つけてもらい、LINEでまた来てもらう組み合わせです。新しいお客さんが少ないならInstagramから、一度来た人が戻ってこないならLINEから始めます。SNSごとに載せられる動画の長さやサイズ、動画の作り方は、SNS動画の作り方で解説しています。

Instagramで見つけてもらう

Instagramは、個人用のアカウントをビジネスアカウントに変えられます。Instagramのヘルプは、ビジネスアカウントを小売店やローカルビジネスに最適なものとして案内しています。投稿には位置情報を追加でき、見た人がそれをタップすると、同じ場所の位置情報が付いたほかの投稿も表示されます。

店のアカウントで最初に整えるのは、プロフィールです。来店に要る情報(場所、営業時間、定休日)を書き、ホームページやGoogleマップのページへのリンクを置きます。投稿を見て行ってみたいと思った人が、すぐに場所と営業時間を確かめられるようにするためです。

投稿の頻度は、続けられる回数に決めます。毎日の投稿が難しければ、入荷の日や週末の前など、決まった曜日に投稿するほうが続きます。縦型の短い動画(リール)の作り方と投稿の手順は、インスタのリールの作り方で説明しています。

LINE公式アカウントでまた来てもらう

LINE公式アカウントは、友だちになってくれた人にメッセージを送れます。来店した人に、レジ横のQRコードなどで友だちになってもらい、新商品の入荷や催しの日を知らせます。

配信の通数は「送った回数×送った友だちの数」で数えるため、友だちが増えるほど、同じ回数の配信でも通数が増えます。送る回数を決めるときは、料金プランの無料の通数(前の節の費用の比較を参照)と合わせて考えます。

投稿を人に頼むときは、広告と分かるようにする

地元で発信している人やお客さんに、店の紹介の投稿を頼むことがあります。2023年10月1日から、広告なのに広告と分からないもの(ステルスマーケティング)は景品表示法違反になりました。消費者庁の案内では、企業が第三者に依頼・指示した投稿も広告に含まれ、SNSの投稿やレビューの投稿も対象です。規制されるのは、依頼した側の事業者(広告主)です。頼んだ投稿には、広告であることが分かる表示をしてもらいます。動画で頼むときの表示の仕方は、SNS動画の作り方の「人に頼んで投稿してもらう動画は、広告であることを示す」で説明しています。

チラシ・看板・店頭:店の近くの人に届ける

ネットを使わない人や、店の前を通るだけの人にも届くのが、チラシと看板と店頭です。

チラシの配り方

チラシの主な配り方は3つです。

  • ポスティング:家の郵便受けに直接入れます。配る地域を細かく選べます。
  • 新聞折込:新聞に挟んで届けます。新聞を取っている家に届きます。
  • 地域を指定して届ける郵便:日本郵便のタウンプラスは、町丁目またはマンションの単位で指定した地域の、配達できるすべての箇所に届けます。同時に500個以上から利用でき、差出予定日の14日前までに差出計画書を提出します。配達には、ゆうメールの配達日数に7日程度を足した日数がかかります(2026年10月時点の日本郵便の案内による)。

どの方法でも、配る範囲は商圏に合わせます。前の節で紹介したjSTAT MAPやRESASで、商圏の中で人が多く住む地域を確かめてから、配る地域を決めます。チラシには、チラシごとに違うクーポンやQRコードを付けておくと、どの地域に配ったチラシで何人来たかを数えられます。

看板・のぼり

看板は、店の前を通る人と、車で通りかかる人に店を知らせます。看板やのぼりを出すときは、2つの決まりを確かめます。

1つ目は、屋外広告物の条例です。国土交通省の「屋外広告物制度の概要」によると、都道府県・指定都市・中核市は条例で看板などの表示や設置を禁止したり制限したりでき、地域によっては許可が要ります。具体的な基準は条例ごとに違うので、店のある自治体に確かめます。

2つ目は、道路に出すときの決まりです。国道の事務所(国土交通省 関東地方整備局 宇都宮国道事務所など)は、置き看板・立て看板やのぼり旗を、道路占用の許可が受けられないものとして案内しています。警察庁も、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路に置くことは禁止されているとし、道路に広告板などを設けるには警察署長の道路使用許可が要ると案内しています。置き看板やのぼりは歩道に出さず、店の敷地の中に置きます。

店頭の見せ方と画面

店頭は、通りがかった人が入るかどうかを決める場所です。外から見て何の店か、中にどんな商品があり、どんな雰囲気かが分かるようにします。中が見えない店は、入りにくく感じられます。

店先に画面を置いて、新商品や催しの動画を流す方法もあります。店頭の画面で流す動画は、通りがかる人が音のない状態で数秒だけ見るので、Webに載せる動画とは作り方が変わります。長さや文字の大きさの決め方は、デジタルサイネージ動画の作り方で解説しています。

Web広告:地域を絞って小さく試す

Web広告は、お金を払って、店の周りの人に店を見せる方法です。検索している人に見せる検索広告と、InstagramやFacebookを見ている人に見せるSNS広告があります。この節の内容は、2026年10月時点のGoogle 広告 ヘルプとMeta ビジネスヘルプセンターによります。

店舗の広告で大事なのは、出す地域を店の周りに絞ることです。Google 広告では、店などの地点を中心に、半径1km以上の範囲を広告の対象地域にでき、店から一定の距離にいる人に広告を出せます。ただし、半径が小さすぎると、広告が表示されにくくなることがあります。Meta広告でも、地点の半径を選んで地域を指定できます。

予算は、1日の予算を自分で決めます。Google 広告の費用の上限は、前の節の費用の比較で紹介したとおりです。Meta広告は、日によって1日の予算を最大75%超えて使うことがあり、1週間では1日の予算の7倍を超えないと案内しています。

広告を出す前に、目的と見る数字を決めておきます。「新商品を近所の人に知ってもらう」なら広告が表示された回数、「店に来てもらう」ならGoogleビジネスプロフィールのルートの検索数や、広告を見たと話すお客さんの数を見ます。少ない予算で数週間出し、数字を見てから続けるかを決めます。動画の広告を出す媒体と、効果の測り方は、動画広告の解説にまとめています。

小売店の集客アイデアと事例

ここからは、雑貨・衣料・食品などの小売店で使える店舗集客のアイデアを紹介します。飲食店の集客はこの記事では扱いません。

小売店で発信できる題材

SNSやGoogleビジネスプロフィールで発信する題材は、店の中にたくさんあります。

  • 入荷:新しく入った商品を、入った日に見せます。
  • 季節:季節の品や、行事に合わせた品をまとめて見せます。
  • 使い方:商品の使い方や組み合わせ方を見せます。買った後の様子が想像できると、行ってみる理由になります。
  • 店内:棚の様子や店の雰囲気を見せます。初めての人の入りにくさが和らぎます。
  • スタッフ:選んでいる人や、作っている人を見せます。

来る理由を作るアイデア

  • 体験・ワークショップ:商品を使った教室や、手を動かす催しを開きます。商品を買いに来るのとは別の、来る理由になります。
  • 地域の催しと、近くの店との協力:地域のお祭りやマルシェに出店する、近くの店と一緒にスタンプラリーを開く、といった方法で、ふだん店の前を通らない人に知ってもらえます。
  • 再来店の仕組み:会員カードやLINEの友だちになってもらい、次に来る理由(入荷のお知らせ、催しの案内)を届けます。

公的な資料にある店舗集客の成功事例

中小企業庁の「小規模企業白書」には、小さな店が集客に取り組んだ事例が載っています。ここで紹介する結果は、それぞれの店の事例として白書に書かれたもので、同じ取り組みで同じ結果が出ることを示すものではありません。

  • 株式会社ありの子(大分県大分市、菓子の製造・販売):SNSでの発信を始め、来店したお客さんへのアンケートで客層を確かめたところ、想定していた30代の女性ではなく、子や孫を持つ40〜60代の女性が中心だと分かりました。Googleマイビジネス(いまのGoogleビジネスプロフィール)の営業時間を直し、閲覧数などのデータも見ています。Twitterのフォロワーは4万人近くになり、売上高は創業時の2.5倍に増えたと書かれています(2022年版 事例2-3-2)。
  • 株式会社カメヤ時計店(奈良県御所市、時計店):本業と関係のない健康セミナーなどの催しを開き、店頭で小冊子を配り、SNSでスタッフの人柄や店の雰囲気を発信しました。新しいお客さんも、SNSでスタッフのことを知ってから来店するので、安心して来られるようになったと書かれています(2021年版 事例2-2-2)。
  • くらさか風月堂(三重県伊賀市、和菓子の小売):30〜40歳代の女性をねらい、毎日同じ時刻にSNSで和菓子作りの様子を発信し、イベントへの出店や店の改装にも取り組みました。売上げは取組前と比べて2〜3割増え、Instagramのフォロワーは約9,400人(2024年3月時点)になったと書かれています(2024年版 事例2-1-4)。

3つの事例に共通するのは、店や作り手の様子を続けて発信していることと、来ているお客さんがどんな人かを確かめ、それに合わせて発信や催しを決めていることです。

店内と商品を見せる短い動画を作り、Googleマップ・SNS・店頭で使う

SNSでも、Googleマップでも、店頭でも、店の様子と商品が伝わる動画は「行ってみたい」と思ってもらう材料になります。店舗そのものを紹介する動画の構成と見せ方は、店舗紹介動画・施設紹介動画の作り方で解説しています。ここでは、新商品と店内を見せて来店を呼びかける短い動画を1本作り、いくつもの場所で使う方法を紹介します。

1本の縦型の動画を、いくつもの場所で使う

縦型(9:16)で30秒の動画を1本作ると、次の場所で使えます。

  • Googleビジネスプロフィール:動画は30秒以内・75MB以内・720p以上で載せられます。30秒に収めておくと、そのまま載せられます。最新情報の投稿にも動画を付けられます。
  • Instagram:リールとして投稿できます。リールは最大20分まで撮影・編集できますが、3分を超えるリールは新しいオーディエンスにはおすすめされないと、Instagramのヘルプは案内しています。投稿に位置情報を付けておきます。
  • LINE公式アカウント:メッセージの配信には、テキストや画像のほかに動画も使えます。新商品の入荷を知らせる配信に付けて、友だちに送れます。
  • 店頭の画面:縦に置いた画面で流せます。音がなくても伝わるよう、文字で内容が分かるようにしておきます。

各サービスの条件は、2026年10月時点の各社のヘルプによります。載せる前に、それぞれの最新の条件を確かめます。

NoLangで作る手順

NoLangでは、ホームの入力欄に作りたい動画の内容を書いて動画を作ります。

  1. 作りたい動画の内容を入力する:ホームの入力欄に、店の種類、見せたい商品、伝えたいこと(新商品の入荷、来店の呼びかけなど)を入力します。
  2. 縦横比と動画時間を選ぶ:縦横比は「縦型(9:16)」、動画時間は「30秒」を選びます。
  3. 店や商品の写真を添付する:入力欄の「+」から「ファイルをアップロード」を選ぶと、店内や商品の写真(JPEG・PNG・WebPなど)を添付できます。
  4. 「動画を生成」を押す

下の作例のテンプレートから作り始めることもできます。

作例は、架空の雑貨店「こもれび雑貨店」の冬の新商品と店内を見せる、30秒の縦型の動画です。「冬の新商品、届きました」で始まり、マグ、キャンドル、ひざかけを1つずつ見せてから、店内の棚へ進みます。最後に店名と営業時間を出して、来店を呼びかけます。

雑貨店の新商品3選と来店案内

雑貨店の冬の新商品3つ(マグ、キャンドル、ひざかけ)と店内の様子を見せて、来店を呼びかける30秒の縦型動画にしてください。

このテンプレートで動画を作る

「このテンプレートで動画を作る」から、この動画をお手本にして、自分の店の商品と店名で作り始められます。

会社で店舗の販促を担当している方へ

店舗をいくつも持つ会社では、本部が新商品や催しの案内を作り、各店に届けることがよくあります。NoLangでは、PDFやPowerPointの資料を添付して、その内容から動画を作れます。本部が作った販促の資料を動画にして、各店のSNSや店頭の画面で使う、といった使い方ができます。導入の相談はお問い合わせから受け付けています。

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まとめ

店舗集客は、近くにいる人に店を知ってもらい、来てもらい、また来てもらうための活動です。売上を来店客数・購買率・客単価に分けると、集客が受け持つのは来店客数だと分かります。方法を選ぶときは、お客さんが来店するまでの流れのどこで止まっているかを見て、来てほしい人が使う場所と、続けられる費用と手間から1〜2つに絞ります。始めたら、どこから来たかを数え、3つの数字の動きを記録しながら、効いた方法に手間とお金を寄せていきます。

よくある質問

お金をかけずにできる店舗集客の方法はありますか?
Googleビジネスプロフィールは、作成してGoogleに店の情報を載せるのに料金はかかりません。LINE公式アカウントも、月額0円のコミュニケーションプランで月200通まで配信できます(2026年10月時点の各社の公式ページによる)。そのほか、店頭の見せ方を整える、来店した人にクチコミや友だち登録を頼む、近くの店と催しを開くといった方法は、大きな費用をかけずに店の工夫で取り組めます。
MEOとは何ですか?
Googleマップなど、地図の検索結果で店を見つけてもらうための取り組みを指す呼び名です。中心になるのは、Googleビジネスプロフィールの情報を正確に保ち、写真を載せ、クチコミに返信することです。なお、Googleは、検索結果の順位を上げるための依頼や金銭の受け取りには一切応じていないと説明しています。順位を約束する案内には注意が必要です。
店舗集客の効果は、どのくらいで出ますか?
方法によって違い、決まった期間はありません。準備にかかる日数は方法ごとに案内があり、たとえばGoogleビジネスプロフィールのオーナー確認をハガキで行うと、コードは通常14日以内に届き、載せた写真や動画は表示まで最長24〜48時間ほどかかることがあります。日本郵便のタウンプラスでチラシを届けるときは、差出予定日の14日前までに差出計画書を提出し、配達にはゆうメールの日数に7日程度を足した日数がかかります。始めた日を記録し、来店客数の変化を同じ期間どうしで比べます。
チラシや広告の費用に使える補助金はありますか?
小規模な事業者が販路を広げる取り組みを支援する国の「小規模事業者持続化補助金」では、チラシやインターネット広告、SNS広告などの広報費や、ウェブサイトの費用が補助の対象経費に含まれています。対象になる事業者、補助の上限、申請の期間は公募の回ごとに決まるので、申請する回の公募要領で確かめます。
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