ネットショップ(通販サイト)の集客とは、自分のショップに新しい客を呼ぶことです。 実店舗と違って、前を通りかかった人がふらりと入ってくることはありません。 検索、広告、SNSなどの経路を自分で用意して、ショップを見つけてもらう必要があります。
この記事では、モールの店舗や自社のECサイトなど、ネットショップに客を呼ぶ経路を、費用のかかり方と効き方で比べます。 無料でできる施策、必要な訪問数の計算と経路ごとの効果の測り方もまとめます。 最後に、商品紹介のショート動画を作り、経路ごとに載せて比べる方法を作例で紹介します。
ネットショップの集客とは:新しい客をショップに呼ぶこと
ネットショップの売上を次のように3つの数の掛け算で表すと、何を増やせばよいかを整理しやすくなります。
売上 = 訪問数 × 購入率 × 客単価
集客は、このうち訪問数を増やす取り組みです。 来た人に買ってもらう(購入率を上げる)工夫や、一度買った人にもう一度買ってもらう工夫は、販促やリピートの施策として分けて考えます。 訪問が増えても、商品ページで商品の良さが伝わらなければ売上は伸びません。 集客を始める前に、売りたい商品のページの写真と説明を見直しておきます。
モールと自社のECサイトでは、集客の考え方が変わる
楽天市場やAmazonのようなモールには、買い物をする人がすでに集まっています。 モールに出店したときの集客は、モールの中で商品を探している人に、検索結果や広告で自分の商品を見つけてもらうことが中心です。
自社のECサイト(自分のドメインで運営するネットショップ)には、最初から集まっている客はいません。 検索、広告、SNSなど、ショップの外から人を呼ぶ経路を自分で作ります。
経済産業省の調査では、2025年の国内の消費者向けの電子商取引(BtoC-EC)の市場規模は27.6兆円で、前年より5.5%増えました(2026年10月21日発表)。 市場が広がるなかで自分のショップを見つけてもらうには、どの経路で客を呼ぶかを決めて取り組みます。
集客の経路を、費用のかかり方と効き方で比べる
ネットショップに新しい客を呼ぶ主な経路は、次の5つです。 費用のかかり方と、始めてからの効き方で比べると、違いが分かりやすくなります。
| 経路 | 費用のかかり方 | 効き方 |
|---|---|---|
| 検索(SEO) | 広告費はかからない。ページを直す手間がかかる | 効くまで時間がかかる。上位に出ている間は続く |
| 検索広告・ショッピング広告 | クリックされた分を払う。予算は自分で決める | 審査を通れば出る。止めると出なくなる |
| モールの検索と広告 | 広告はクリックされた分を払う | モールの中で探している人に届く |
| SNS | 投稿に広告費はかからない。広告は予算を決めて払う | 投稿は続けるほど届く。広告はフォロワー以外にも届く |
| インフルエンサー・外部のメディア | 依頼の費用や、提供する商品が必要 | 掲載したときに多くの人に届くことがある |
課金のしかたと審査の日数は、2026年10月28日に各社の公式ヘルプで確かめた内容です。 検索広告では、クリック1回に払う上限額(上限クリック単価)と1日の予算を広告主が決めるため、月額の費用が固定されているわけではありません。
検索(SEO):商品ページを検索で見つけてもらう
SEO(検索エンジン最適化)は、Googleなどの検索結果に、自分の商品ページが表示されるように整えることです。 「商品の種類+用途」「商品名」のように、買う物を探して検索する人に見つけてもらえます。
広告費はかかりませんが、ページを直す手間がかかり、効き始めるまでに時間がかかります。 Googleは、ページを変えてから検索結果に反映されるまでに数時間から数か月かかることがあり、数週間待ってから良い影響があったかを確かめるよう案内しています(SEOスターターガイド)。 また、Googleは検索結果での掲載順位に関して金銭を受け取ることはなく、広告を出しても検索結果での表示には影響しないとしています。
最初の一歩は、売れ筋の商品ページから、タイトルと説明に買う人が検索する言葉を入れることです。 具体的な直し方は、この後の「無料でできる集客の施策」で説明します。
検索広告・ショッピング広告:検索した人に広告を出す
検索広告(リスティング広告)は、検索された言葉に合わせて、検索結果に文字の広告を出す方法です。 ショッピング広告は、Googleの検索結果やショッピングタブ、画像検索に、商品の写真、タイトル、価格、ショップ名などを並べて出す広告です。 どちらも、いま買う物を探している人に届きます。
Google広告とLINEヤフー広告(2026年4月にYahoo!広告から名称が変わりました)の検索広告は、どちらも広告がクリックされたときだけ費用がかかり、予算を自分で決められます。 LINEヤフー広告は、最低出稿金額はないと案内しています。 Google広告の審査は、ほとんどの場合1営業日以内に終わり、審査を通った広告から掲載が始まります。
ショッピング広告を出すには、Google Merchant Centerに商品データを登録し、Google広告のアカウントとリンクします。 Merchant Centerでの商品の審査は、ショッピング広告では最大で3〜5営業日かかることがあります。
最初の一歩は、商品名や型番など、買う直前の人が検索する言葉から、少ない予算で始めることです。 動画の広告も含め、広告の配信面と課金のしかたの違いは「動画広告とは?メリット・種類・媒体の一覧と比較」で詳しく説明しています。
モールの検索と広告:モールの中で選ばれる
楽天市場やAmazonでは、買う人はまずモールの中で商品を検索します。 モールの検索結果で見つけてもらうために、商品名と説明に、探されるときの言葉(商品の種類、用途、サイズ、素材など)を入れておきます。
モールの中にも、検索結果などに商品を出す広告があります。 楽天市場の検索連動型広告(RPP広告)は、店舗が登録した商品から自動で選ばれた商品が表示され、クリックされたときだけ費用がかかります。 Amazonのスポンサープロダクト広告も、商品の広告がクリックされたときだけ費用が発生し、月額の料金はかかりません。
最初の一歩は、出店しているモールの広告を、売れ筋の商品から少ない予算で試すことです。
SNS:投稿で知ってもらい、広告で広げる
Instagram、TikTok、YouTube、Xなどに、商品の写真や短い動画を投稿して、ショップを知ってもらう方法です。 まだ商品を知らない人に知ってもらうのに向いていて、投稿そのものに広告費はかかりません。 その代わり、投稿を続ける手間がかかります。
SNS広告は、予算を決めて、年齢や関心などで絞った相手に投稿を表示する方法です。 Meta(InstagramとFacebook)の広告は、ほとんどの目標で表示回数に応じて課金され、リンクのクリックを選ぶとクリック単価で課金されます。 予算は、1日の予算か、掲載期間全体の通算予算のどちらかで決めます。
SNSの中で商品を見せて売る機能もあります。 Instagramには投稿に商品をタグ付けする機能があり、TikTokでは、アプリの中で商品を販売・購入できるTikTok Shopが2025年6月30日に日本で始まりました。
最初の一歩は、商品を使う場面が分かる短い動画を作り、週に何本投稿するかを決めることです。 TikTokでの運用・広告・クリエイターとの協業の進め方は「TikTokマーケティングとは?」で説明しています。
インフルエンサー・外部のメディア:ほかの人の発信で知ってもらう
インフルエンサーに商品を紹介してもらう、雑誌やWebメディアに取り上げてもらう、プレスリリースを配信する、といった方法です。 自分のアカウントのフォロワーより多くの人に、一度に届けられることがあります。 依頼の費用がかかったり、商品を提供したりする必要があり、紹介の内容は相手に任せる部分が残ります。
インフルエンサーに頼む投稿は、広告だと分かるようにします。 2023年10月1日から、広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)は景品表示法の違反になりました。 規制の対象は、投稿を依頼した事業者(広告主)です。 消費者庁は、事業者の表示であることが分かるようにするには、「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」と書く方法があると説明しています。
商品を使った人が自分の意思で投稿した動画を、ショップのSNSや広告に使うときは、投稿した人の許諾をとります。 許諾のとり方は「UGC動画とは?」で説明しています。
最初の一歩は、商品と相性のよい発信者を探し、紹介してほしい内容と「PR」の表示の仕方を決めてから相談することです。
無料でできる集客の施策
広告費をかけずに始められる施策を4つ紹介します。 どれも料金はかかりませんが、登録や更新の手間と、効き始めるまでの時間はかかります。
Googleの無料リスティングに商品を載せる
Google Merchant Centerに商品データを登録すると、Google検索、ショッピングタブ、Google画像検索、Googleレンズ、YouTube、Googleマップなどに、無料で商品を載せられます。 これを無料リスティングと呼び、日本も対象の国に入っています。 新しく作ったMerchant Centerのアカウントでは、無料リスティングは最初から有効になっています。
ただし、登録しても商品が必ず表示されるわけではありません。 商品の審査には、無料リスティングでは数週間かかることがあります。 登録した商品データは、ショッピング広告を出すときにもそのまま使えます。
Search Consoleで、検索での見られ方を確かめる
Google Search Consoleは、Google検索でのサイトの掲載状況を確かめ、改善に役立てる無料のサービスです。 Googleアカウントがあれば使えます。
「検索パフォーマンス」のレポートでは、どの検索語で表示され、何回クリックされたか、平均の掲載順位はどれくらいかを確かめられます。 表示は多いのにクリックが少ない商品ページは、タイトルと説明を見直す候補になります。
商品ページのタイトルと説明を、検索される言葉で書く
商品名だけでなく、商品の種類、用途、サイズ、素材など、買う人が検索する言葉をタイトルと説明に入れます。 たとえば「マグカップ」だけでなく、「陶器のマグカップ 320ml 電子レンジ対応」のように、探す人が組み合わせる言葉を入れます。
自社のECサイトでは、商品の構造化データ(価格や在庫状況、レビューの評価などを検索エンジンに伝える記述)を加えることもできます。 Googleは、商品ページに構造化データを加えると、検索結果に表示される商品情報が充実すると説明しています。
SNSに商品の短い動画を投稿する
Instagramのリール、TikTok、YouTubeショートは、縦型の短い動画を投稿する場所です。 YouTubeはショートを「新しい視聴者と出会える動画フォーマット」と説明しています。 商品の大きさや使う場面を、短い時間で見せられます。 作り方と載せ方は、この記事の後半「商品紹介のショート動画を作り、経路ごとに載せる」で紹介します。
自社のECサイトの集客の進め方
自社のECサイトの集客は、次の5つの手順で進めます。
- 必要な訪問数を計算する
- 商品と状況から、最初の経路を選ぶ
- 期間と予算を決めて試す
- 経路ごとの訪問と注文を測る
- 効いた経路に、予算と時間を寄せる
1.必要な訪問数を計算する
目標の売上から、必要な訪問数を逆算します。
必要な訪問数 = 目標の売上 ÷(客単価 × 購入率)
たとえば、月の売上の目標が30万円、客単価が3,000円、購入率が1%なら、必要な訪問数は月1万回です(購入率の1%は計算のために置いた数字で、目安ではありません)。 購入率はショップや商品によって大きく違うため、アクセス解析で自分のショップの数字を確かめて使います。 開店したばかりで数字がなければ、仮の値で計算しておき、1か月たったら実際の数字で計算し直します。
2.商品と状況から、最初の経路を選ぶ
最初から全部の経路に手を付けると、どれも続かず、どれが効いたかも分かりません。 商品と今の状況から、最初に取り組む経路を1つか2つに絞ります。
| 今の状況 | 最初に選ぶ経路 | 理由 |
|---|---|---|
| 商品名や種類で検索されている | 検索広告・ショッピング広告、SEO | 探している人に届く |
| まだ知られていない新しい商品 | SNSの投稿と広告 | 検索されないので、見てもらう場に出す |
| モールが売上の中心 | モールの検索と広告 | 買う人がモールの中で探す |
| 早く売上がほしい | 少額の広告と無料リスティング | 広告は審査を通れば出る |
| 広告費を少しずつ減らしたい | SEOとSNSの投稿 | 時間はかかるが積み上がる |
検索広告で反応がよかった言葉は、商品ページのタイトルや説明にも使えます。 広告でどの言葉から注文が入るかを確かめ、その言葉でSEOを進めれば、広告の成果をSEOの改善にもつなげられます。
3.期間と予算を決めて試す
試す期間と、使う予算や時間を、始める前に決めます。 広告は1日の予算を決めて配信し、SEOやSNSの投稿は、数か月の単位で続けて結果を見ます。
広告では、1件の注文にかかった費用(獲得単価)が、その注文で得られる粗利を超えていないかを確かめ、配信を続けるかどうかを判断します。 価格の安い商品ほど、1件の注文で得られる粗利が小さいので、広告費が粗利を上回らないかを先に計算しておきます。
4.経路ごとの訪問と注文を測る
SNSのプロフィールや投稿、広告、メディアの記事に貼るショップへのリンクに、UTMパラメータを付けます。 UTMパラメータは、リンクのURLの後ろに付ける目印で、Googleアナリティクスがどこから来た訪問かを分けて記録するのに使います。
https://example-shop.jp/items/mug?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=mug_launch
| パラメータ | 表すもの | 例 |
|---|---|---|
| utm_source | どこから来たか(参照元) | instagram、tiktok、google |
| utm_medium | どんな方法で来たか(媒体) | social、cpc、email |
| utm_campaign | どの商品や企画か | mug_launch、spring_sale |
Googleアナリティクス(GA4)の「集客」>「トラフィック獲得」のレポートでは、セッションの参照元とメディアごとに、セッション数、キーイベント(購入などの重要な行動)の数、総収益を比べられます。 UTMパラメータの作り方は、Googleアナリティクスのヘルプ「URL 生成ツール: カスタム URL でキャンペーン データを収集する」で確かめられます。
5.効いた経路に、予算と時間を寄せる
決めた期間が終わったら、経路ごとに、訪問数、注文数、1件の注文にかかった費用を並べて比べます。 注文につながった経路には予算や時間を寄せ、訪問はあるのに注文がない経路は、載せている内容とリンク先の商品ページが合っているかを見直します。
商品紹介のショート動画を作り、経路ごとに載せる
商品を短く紹介する縦型の動画は、SNSの投稿、SNSの広告、商品ページのどれにも使えます。 1本作れば、Instagramのリール、TikTok、YouTubeショートへの投稿と、縦型の広告、商品ページに同じ動画を載せられます。 同じ動画を載せて、経路ごとにリンクを分けておけば、どの経路から注文が来たかを比べられます。
SNSごとの投稿できる長さと縦横比は「SNS動画とは?」、商品の見せ方の型は「商品紹介動画の作り方とコツ」で詳しく説明しています。
作例:陶器のマグカップを紹介する縦型のショート動画
NoLangで作った、陶器のマグカップを紹介する約30秒の縦型の動画です。 商品とショップの名前、容量、価格は、作例のために用意した架空のものです。
動画は、次の順に場面が進みます。
- 釉薬が流れた模様の接写で、目を止めてもらう
- 商品名と、職人が手で仕上げるマグカップであることを伝える
- 成形、施釉、焼成の3つの工程を見せる
- 模様違いの3つを並べ、すべて一点ものであることを伝える
- 両手で包む場面で、厚みと温もりを伝える
- 容量と、電子レンジ・食洗機に対応していることを示す
- コーヒーを注ぐ朝の場面で、使う時間を思い浮かべてもらう
- 価格とオンラインショップへの案内で締める
音を出さずに見る人にも伝わるよう、ナレーションと同じ言葉を字幕で出しています。 最初の場面で目を止めてもらい、最後の場面でショップの名前を出すので、SNSの投稿にも縦型の広告にも、同じ動画をそのまま使えます。
陶器のマグカップを紹介する縦型のショート動画
手づくりの陶器のマグカップを紹介する、縦型のショート動画を作ってください。 作る工程、一点ものの模様、容量320ml、電子レンジと食洗機に対応、価格3,300円、ショップの名前を入れてください。
このテンプレートで作るときは、自分の商品の名前、特長、容量や価格、ショップの名前を入力します。 広告や商品ページに使う動画では、画面に出る商品の見た目と、容量や価格などの数字が、実際に売る商品と同じになっているかを確かめてから載せます。
載せる場所ごとにリンクを分けて比べる
同じ動画を載せる場所ごとに、ショップへのリンクのUTMパラメータを変えておきます。
| 載せる場所 | utm_source | utm_medium |
|---|---|---|
| Instagramのリール | social | |
| TikTokの投稿 | tiktok | social |
| YouTubeショート | youtube | social |
| Instagramの広告 | paid_social |
商品ページに載せた動画は、訪問の経路ではなく、ページを見た人の購入率を上げるために使います。 商品ページへの動画の載せ方と効果の確かめ方は「EC動画とは?」、リールの作り方と投稿の手順は「インスタのリールの作り方」で説明しています。
会社のネットショップの集客動画を、社内で作る
会社で自社のECサイトやモールの店舗を運営していると、新商品や季節の企画のたびに、SNSや広告に載せる動画が必要になります。 NoLangでは、作った動画をお手本にして、商品を替えながら同じ形式の動画を続けて作れます。 自社のショップでの使い方はお問い合わせから相談できます。 法人向けの資料は、下のボタンからダウンロードできます。
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