医療広告ガイドラインとは?広告できる事項と禁止表現、違反事例をわかりやすく解説

この記事の要点

  1. 医療広告ガイドラインは、医療法の広告規制の考え方と具体例を示す厚生労働省の指針で、2026年3月30日に最終改正されました(名称は「医療広告等ガイドライン」)。
  2. 医療広告では、法と告示で決められた事項(診療科名、診療時間、設備、院長の略歴など)しか広告できません。ホームページなどは、問い合わせ先や自由診療の費用・リスクを示す4つの要件を満たせば、載せられる範囲を広げられます(限定解除)。
  3. 虚偽・比較優良・誇大な広告、患者の体験談、説明のないビフォーアフター写真は禁止です。「最先端」「No.1」「痛くない」なども使えません。
  4. 違反すると行政指導から中止命令・是正命令へ進み、虚偽広告や命令に従わない場合は、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象です。
  5. SNSと動画は、投稿・返信・テロップ・音声・概要欄・ハッシュタグも対象です。判断に迷う広告は、医療機関を所管する自治体の窓口に確かめます。
SHARE

クリニックや病院の広告、ホームページ、SNSの投稿を任されると、「この言い方は使ってよいのか」「患者さんの声は載せられるのか」と迷う場面が出てきます。医療の広告は、医療法で広告できる内容が決められています。一般の商品やサービスの広告と同じ感覚で作ると、医療法の決まりに反することがあります。

この記事では、厚生労働省の医療広告ガイドライン(2026年3月30日に最終改正された版)と、そのQ&A、事例解説書(第6版)をもとに、医療広告に当たるもの、広告できる事項、禁止される表現、体験談とビフォーアフター写真の扱い、違反の事例と違反したときの流れを説明します。後半では、ホームページ・SNS・動画などの媒体ごとの注意点と、広告できる事項だけで作った医院案内動画の作例を紹介します。

個別の広告が決まりに合っているかどうかは、この記事の説明だけでは判断できません。判断に迷う広告は、医療機関を所管する都道府県・保健所を設置する市・特別区の窓口や、専門家に確かめてください。

医療広告ガイドラインとは

医療広告ガイドラインは、医療法の広告規制をどう読むかを、具体例とともに示した厚生労働省の指針です。正式な名称は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針」で、2026年3月の改正から通称が「医療広告等ガイドライン」になりました。この記事では、広く使われている「医療広告ガイドライン」と呼びます。

決まりそのものは、医療法(第6条の5など)と、医療法施行規則、厚生労働省の告示に書かれています。ガイドラインは、厚生労働省が都道府県などに示した指針で、それらの決まりをどう当てはめるかの考え方と具体例が書かれています。ガイドラインのほかに、よくある質問に答えたQ&Aと、実際のウェブサイトの事例をもとにした事例解説書があります。

医療広告の決まりを確かめる資料
資料書いてあること
医療法・施行規則・告示禁止される広告と、広告できる事項(決まりそのもの)
医療広告等ガイドライン広告に当たるものの考え方、禁止される広告と広告できる事項の具体例、限定解除の要件、指導の手順
医療広告等ガイドラインに関するQ&A「最新」「専門外来」「口コミ」など、迷いやすい表現や媒体の扱い
ウェブサイト等の事例解説書(第6版)ネットパトロールで見つかった事例をもとにした、違反の画面例と直し方。SNSと動画の事例を含む
医療広告相談窓口一覧都道府県・保健所設置市・特別区の相談窓口

どの資料も、厚生労働省の「医療法における病院等の広告規制について」のページから最新の版を開けます。検索結果には古い版のPDFも出てくるので、資料を開いたら表紙の改正日を確かめてください。

医療の広告がほかの分野より厳しく規制されている理由として、ガイドラインは次の二つを挙げています。一つは、医療は人の生命や身体に関わるサービスで、不当な広告に誘われて適切でない医療を受けたときの被害が大きいことです。もう一つは、医療は専門性が高く、広告を見る人が文言からサービスの質を前もって判断するのが難しいことです。

2018年から、ホームページも規制の対象に

以前は、医療機関のホームページは原則として広告規制の対象外で、関係団体の自主的な取り組みに任されていました。美容医療をめぐる相談が増えたことを受けて、2017年(平成29年)に医療法が改正され、2018年6月1日からホームページなどのウェブサイトも、ほかの広告と同じく規制の対象になりました。

改正で、規制の対象は単なる「広告」から、「広告その他の医療を受ける者を誘引するための手段としての表示」に広がりました。一方で、ホームページにも広告できる事項の限定をそのまま当てはめると、患者が求める詳しい診療内容を載せられなくなります。そこで、一定の条件を満たせば広告できる事項の限定を外せる「限定解除」の仕組みが設けられました(後の節で説明します)。

2026年3月の改正で変わったこと

2026年3月30日に、ガイドラインとQ&Aが改正され、事例解説書は第6版になりました。主な変化は次のとおりです。

  • オンライン診療受診施設の広告の決まりが加わった。 2025年の医療法の改正で、患者がオンライン診療を受ける場所を提供する「オンライン診療受診施設」が新しく設けられ、2026年4月1日から施行されました。ガイドラインには、この施設の広告についての章が加わり、名称も「医療広告等ガイドライン」になりました。
  • Q&Aが更新された。 オンライン診療受診施設についての問いが加わり、SNSでの感想の扱い(Q2-11)などが更新されました。
  • 事例解説書(第6版)で、SNSと動画の事例が増えた。 自由診療の限定解除の要件を満たしていない事例と、SNS・動画での広告の事例が拡充されました。

オンライン診療受診施設の広告は、主に施設を設置する事業者に関わる決まりです。この記事では、クリニックや病院の広告に関わる部分を中心に説明します。

医療広告に当たるもの・当たらないもの

ガイドラインは、次の三つの要件をすべて満たすものを医療広告として扱います。

  • 誘引性:患者の受診などを誘う意図があること。
  • 特定性:医師や歯科医師の氏名、病院や診療所の名称などが特定できること。複数の医療機関を対象にしていても当たります。
  • 医業や病院・診療所に関する内容であること:オンライン診療受診施設に関する広告とは、この要件で区別されます。

誘引性は、その病院などの利益を期待して受診を誘っているかどうかで判断されます。そのため新聞の記事は、特定の病院を推薦する内容でも、誘引性を満たさないとされています。一方、病院が自らのウェブサイトに載せる治療の体験談は広告に当たり、そのうえで禁止されます。

「広告ではありません」と書いても広告になる

規制を避けるために、形のうえで要件を外す書き方をしても、中身が広告であれば広告として扱われます。ガイドラインが挙げる例は次のようなものです。

  • 「これは広告ではありません」と書いてあるが、病院名が載っている。
  • 「広告規制のため病院名は書けません」としながら、住所や電話番号、ウェブサイトのアドレスで病院が特定できる。
  • 治療法を紹介する本やサイトの形を取りながら、問い合わせ先から特定の医療機関に案内している(いわゆるタイアップ本、記事風広告)。
  • 医療機関が費用を負担して、広告と気づかれないように掲載を頼んでいる(ステルスマーケティング)。

言葉で直接言わなくても、全体として広告と分かるものは対象になります。病院の名前やキャッチフレーズ(「アンチエイジングクリニック」「最高の医療の提供を約束!」)、写真やイラスト(ほかの病院の建物の写真、病人が元気になる姿のイラスト)、ウェブサイトのアドレスやメールアドレス(がんが消えることを連想させるアドレスなど)も、内容によっては認められません。

広告と見なされないもの

次のものは、通常は誘引性がないので、医療広告に当たらないとされています。ただし、それぞれ条件があります。

通常は医療広告と見なされないもの
もの広告として扱われる例
学術論文、学会発表論文の形をとって不特定多数にダイレクトメールで送るなど、受診を増やす目的が認められる
新聞や雑誌の記事費用を負担して掲載を頼んだ記事風広告
患者が自ら書く体験談・手記医療機関が依頼した、謝礼を渡した、経営に関わる人の家族が書いた
院内の掲示、院内で配るパンフレットウェブサイトなど院外へ向けて載せる

職員の採用を目的とした求人広告も、医療機関の名前や連絡先が載っていますが、受診を誘うものではないので、広告規制の対象になりません。

院内の掲示や院内で配るパンフレットは、受け取るのがすでに受診している患者に限られるため、広告ではなく情報提供や広報とされています。同じ内容でもホームページに載せれば、広告の決まりが当てはまります。

規制を受けるのは医療機関だけではない

医療法は「何人も」と定めているので、医療機関だけでなく、広告代理店、新聞・雑誌・テレビなどの媒体、アフィリエイター、患者や一般の人も規制の対象です。広告の制作や掲載を請け負った会社も、違反があれば依頼した医療機関とともに指導の対象になりえます。日本国内に向けた広告であれば、海外から送られるメールや外国語だけで作った広告も対象です。

広告できる事項(広告可能事項)

医療広告では、医療法と厚生労働省の告示で決められた事項しか広告できません。決められていない事項は、ホームページなどで後で説明する限定解除の要件を満たした場合を除いて、文書でも映像でも広告できません。

広告できる事項は、一つずつ並べるのではなく「○○に関する事項」という項目群で決められています。医療法第6条の5第3項に、医師であること、診療科名、名称・連絡先、診療日と診療時間など16の項目群があり、医療従事者のこと(第9号)、医療の内容(第13号)、医療の結果(第14号)、その他(第16号)の中身は、厚生労働省の告示で具体的に決められています。

広告できる事項は、文字だけでなく写真、イラスト、映像、音声でも表現できます。院長のあいさつ(「はじめまして」など)や、「開院から20年を迎えました」のように広告できる事項を使ったキャッチコピーも載せられます。

医院案内で使う主な広告できる事項
項目群広告できる例
医師であること、診療科名医師である旨、「内科」「消化器内科」など決められた診療科名
名称・連絡先・管理者医院の名称、電話番号、所在地、院長の氏名
診療日・診療時間・予約診療日と時間、休診日、予約で診療しているか
指定を受けていること保険医療機関、労災保険指定病院など
施設・設備・人員建物や院内の写真、病床数、MRIなど据え置き型の医療機器の一般的な名称、バリアフリー、医師・看護師の人数
医療従事者のこと氏名、年齢、性別、役職、略歴、広告できる専門性の資格
管理・運営休日・夜間の診療、セカンドオピニオン、相談の窓口、個人情報の取り扱い
連携紹介できる病院や介護施設の名称、医療機器の共同利用
情報提供ウェブサイトのアドレス、診療記録の開示
医療の内容保険診療の検査・手術・治療の方法、一部の自由診療
医療の結果手術の件数(期間を併記)、平均の入院日数など決められた事項
オンライン診療オンライン診療受診施設を使ってオンライン診療を行うこととその内容
その他(告示)健康診査、予防接種、治験、支払い方法、対応できる言語、駐車場、送迎、院内の売店

医師や看護師の人数は時期によって変わるので、「2026年10月現在」のように、いつの時点の数字かを暦月で併記し、少なくとも年に1回は更新します。医療機器は「MRI」「CT」のような一般的な名称で書き、製品が特定できる販売名や型式は書きません。予防接種は実施していることを広告できますが、ワクチンの商品名や予防の効果は広告できません。

診療科名と専門医の書き方

診療科名は、法令で決められた名前だけを使えます。「内科」「外科」は単独で使えるほか、臓器や身体の名前(消化器、循環器など)、患者の特性(小児、女性など)、診療方法(内視鏡など)、症状や病気の名前(糖尿病など)と組み合わせて「消化器内科」「内科(循環器)」のように表示できます。精神科、小児科、皮膚科、眼科など、単独で使える診療科名もあります。

「糖尿病外来」「認知症外来」のような「○○外来」は、診療科名と誤解させるので、看板やチラシでは広告できません(院内の掲示は広告に当たらないので使えます)。ホームページでは、限定解除の要件を満たせば載せられます。「糖尿病の診療を行っています」のように、保険診療で行う診療として書くことはできます。

医師の専門性の資格は、日本専門医機構が認定する基本領域(内科、外科、小児科など)の専門医と、以前から広告できるとされてきた学会の資格(医師は58団体の56資格)が、当分の間広告できます。書くときは「医師○○○○(日本専門医機構認定○○専門医)」のように、認定した団体の名称と資格名を一緒に示します。団体名のない「○○専門医」は誤解を与えるので誇大広告に、「厚生労働省認定○○専門医」は虚偽広告に当たります。

限定解除:ホームページで広告できる範囲を広げる4つの要件

ホームページのように、患者が自ら調べて見に来る媒体では、次の要件を満たすと、広告できる事項以外のこと(詳しい治療の説明、自由診療の内容など)も載せられます。これを「限定解除」と呼びます。③と④は、自由診療について載せる場合だけの要件です。

限定解除の4つの要件
要件内容
① 自ら求めて見る情報患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどである
② 問い合わせ先電話番号やメールアドレスなど、内容を容易に問い合わせられる先を示している
③ 自由診療の内容と費用通常必要な治療の内容、標準的な費用、治療の期間と回数を示している
④ 自由診療のリスク主なリスクや副作用を示している

①に当たるのは、医療機関のウェブサイト、患者が登録して受け取るメールマガジン、患者の求めに応じて送るパンフレットなどです。インターネットのバナー広告や、検索結果にスポンサーとして表示される広告(リスティング広告)は、見る人が自ら求めた情報とはいえないので、①を満たしません。これらの広告には、広告できる事項しか載せられません。バナー広告のリンク先や、チラシのQRコードから開くウェブサイトは、患者が自ら見に行くものなので、要件を満たせば限定解除できます。

②の問い合わせ先は、実際に問い合わせに答えられる連絡先である必要があります。「予約専用」とだけ書いた電話番号、自動音声だけで折り返しのない番号、受け付けの自動返信しか来ないメールアドレスは、要件を満たさないとされています。

③と④は、患者が見落とさない形で載せます。リンク先の別のページに置く、利点の説明より極端に小さな文字にする、背景と同じような色の文字で書く、といった載せ方は認められません。標準的な費用がはっきりしない場合は、最低額から最高額までの幅(よくある追加の費用を含む)で示します。「時間がたつと元に戻る」「数回の注射が必要な場合がある」とデメリットを並べるだけでは、④を満たしたとは認められません。

国内で承認されていない医薬品や医療機器、承認と違う目的で使う医薬品などを自由診療で使う場合は、さらに、未承認であること、入手の経路、同じ成分の国内の承認品の有無、海外での安全性の情報、副作用が起きたときの公的な救済制度の対象にならないことを示す必要があります。

禁止される広告と表現の例

広告できる事項の範囲で書いていても、次の広告は禁止されています。虚偽の広告は、罰則つきで禁止されています。

禁止される広告と表現の例
種類表現の例(ガイドラインから)禁止される理由
虚偽広告「絶対安全な手術です!」、根拠や調査方法を示さない「満足度○%」、加工・修正した術前術後の写真事実と違い、受診の機会を誤らせる
比較優良広告「日本一」「No.1」「最高」、「県内一の医師数を誇ります」「著名人も当院で治療を受けています」事実でも、優秀性について著しい誤認を与えるおそれがある
誇大広告「知事の許可を取得した病院です!」、根拠のない「○○センター」、「比較的安全な手術です」事実を誇張し、印象と実際がずれる
公序良俗に反する広告わいせつ・残虐な画像、差別を助長する表現社会の秩序や風俗に反する
広告できる事項以外「○○外来」、死亡率や術後生存率、未承認医薬品による治療法や告示で決められていない
体験談治療の内容や効果についての患者の感想感想は人によって違い、誤認させる
ビフォーアフター写真説明のない治療前後の写真結果は人によって違い、誤認させる

誇大広告かどうかは、広告を見た人が受ける「印象」や「期待感」と実際の内容にずれがあるかで判断されます。実際に誤認した人がいることまでは必要ありません。「医師数○名(○年○月現在)」のように時点を書いていても、その後に人数が大きく減ったのに更新しなければ、誇大広告として扱われます。

「最新」「最先端」「痛くない」はどこまで使えるか

迷いやすい言葉について、Q&Aは次のように答えています。

迷いやすい表現の扱い(Q&Aから)
表現扱い
最新の治療法、最新の医療機器医学的・社会的に事実と認められれば、必ずしも禁止ではない。根拠を示せる必要があり、新しいものが定着した後や十数年前のものには使えない
最先端、最適誇大広告に当たり、使えない
最良、最上比較優良広告に当たり、使えない
痛くない治療科学的な根拠がなく、虚偽・誇大広告のおそれがあり、使えない
歯を削らない治療削らなくても適正な医療を提供できる範囲なら使える
どなたでも○○が受けられます治療は診察の結果で決まるので、虚偽広告に当たる
「プチ○○」手軽さや負担の軽さを誇張すれば、誇大広告に当たる可能性がある

費用の強調やプレゼントも慎む

ガイドラインは、禁止とまでは書いていないものの、医療広告として「厳に慎むべき」ものも挙げています。「今なら○円でキャンペーン実施中!」「期間限定で50%オフ」「○○治療し放題プラン」のように費用を前面に押し出す広告や、「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」のように医療と関係のない特典で誘う広告、ふざけた表現の広告などが、これに当たります。費用は患者にとって必要な情報なので、太字や下線で分かりやすく示すこと自体は問題ないとされています。

意外なところでは、「医療広告ガイドラインを遵守しています」と大きな文字や色で強調することも、誇大広告に当たりうるとされています。ガイドラインを守るのは当然のことで、行政が保証しているかのような誤解を与えるためです。厚生労働省のシンボルマークを貼ることもできません。

体験談とビフォーアフター写真の扱い

「医療広告ガイドライン 体験談」で調べる人が多いように、患者の声と治療前後の写真は、迷いやすく違反も多い部分です。

体験談:内容が広告できる範囲でも載せられない

医療機関が、治療の内容や効果についての患者の感想を、受診を誘う目的で載せることは禁止されています。感想に書かれていることが広告できる範囲の内容でも、載せられません。

患者が自分のブログやSNS、第三者の口コミサイトに書いた感想は、医療機関が費用を負担して掲載を頼むなどしていなければ、広告に当たりません。ただし、医療機関が関わると誘引性が生じます。事例解説書とQ&Aは、次のような例を挙げています。

  • 口コミサイトの投稿を、自院のホームページに転載する。
  • 院長やスタッフが自分で受けた施術の感想を、スタッフブログに書く。スタッフが患者の感想を代わりに書く。
  • 患者の直筆アンケートを、写真やPDFにして載せる。
  • 患者の感想を書いた他人のSNSの投稿を、医院の公式アカウントで引用する。
  • 動画の中で、患者が治療の感想を話す(痛みや赤みなどのリスクについて話していても体験談とされる)。
  • 患者に肯定的な口コミの投稿を頼む(謝礼の有無を問わない)。口コミサイトの運営者に、否定的な口コミの削除や肯定的な口コミの上位表示を頼む。

ビフォーアフター写真:詳しい説明を付ければ載せられる

治療の前後の写真は、それだけを載せると、効果を誤認させるおそれがあるとして禁止されています。手術の前だけ、後だけの写真も同じです。治療の内容、費用、治療の期間と回数、主なリスクや副作用などの詳しい説明を写真と一緒に載せれば、禁止される広告には当たりません。

ただし、治療の効果は広告できる事項ではないので、写真を載せられるのは、限定解除の要件を満たすホームページなどに限られます。説明をリンク先のページに置く、極端に小さな文字にする、といった載せ方は認められません。撮影の条件を変えて効果を大きく見せた写真は誇大広告、加工・修正した写真は虚偽広告として扱われます。

違反事例:事例解説書(第6版)に載っている広告

厚生労働省は、2017年度からネットパトロールで医療機関のウェブサイトを監視し、蓄積された実際の事例などをもとに事例解説書を作っています。第6版から、違反の例をいくつか挙げます。事例解説書は、載せた事例は一例で、不適切な例や改善例のすべてではないとしています。

事例解説書に載っている違反の例
事例問題とされる点
医学上あり得ない「絶対安全」、治療後の処置が要るのに「1日で終わる」虚偽広告
調査の方法を示さない患者満足度虚偽広告
「医療広告ガイドラインを遵守」を大きな文字や色で強調誇大広告
最上級の表現、ほかの医療機関との比較、著名人が患者である旨比較優良広告
決められた条件のない「○○センター」誇大広告
期間を書いていない手術件数件数には期間の併記が必要
口コミの転載、スタッフのブログの体験談、直筆アンケートの転載体験談(禁止)
説明のないビフォーアフター写真誤認させる治療前後の写真(禁止)
費用やリスクの記載が足りない自由診療の説明限定解除の要件を満たさない
キャンペーンや割引を強調した広告品位を損ねる広告
バナー広告の「治療実績県内1位」、リスティング広告の「業界最安値」比較優良広告など(限定解除できない媒体)
SNSで患者の投稿を引用した体験談、動画の中の患者の感想体験談(禁止)

事例解説書には、それぞれの事例に改善の例も載っています。自院の広告と似た事例を見つけたら、事例解説書(第6版)の該当ページで、どこが問題とされ、どう直せばよいかを確かめてください。同じ表現でも、媒体や前後の文脈によって扱いが変わることがあります。

違反するとどうなるか

違反が疑われる広告が見つかると、医療機関を所管する都道府県、保健所を設置する市、特別区が対応します。ガイドラインが示す手順は、次のとおりです。

  • 1. 調査と行政指導:まず任意で説明を求め、違反が確認されれば、広告の中止や内容の是正を求めます。必要に応じて、広告代理店や媒体にも調査・指導をします。
  • 2. 報告命令・立入検査:任意の調査に応じない場合などに、報告を命じたり、事務所に立ち入って広告に関する書類を検査したりします(医療法第6条の8第1項)。
  • 3. 中止命令・是正命令:行政指導に従わない場合や違反を繰り返す場合に、期限を定めて広告の中止や是正を命じます(同条第2項)。
  • 4. 告発・行政処分:虚偽広告の是正に応じない、命令に従わないなどの場合は、告発が考慮されます。悪質な場合は、管理者の変更命令や、開設の許可の取り消し、閉鎖命令といった行政処分もありえます。

罰則は、虚偽広告をしたときや、中止命令・是正命令に従わなかったときが6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(医療法第87条)、報告命令に従わない、立入検査を拒むなどのときが20万円以下の罰金です(同法第89条)。命令や告発をした事例は、原則として公表されます。

医療の広告には、医療法のほかに、景品表示法、医薬品医療機器等法(薬機法)、健康増進法などの決まりも当てはまります。たとえば、薬の商品名を出して「○○錠を処方できます」と書くことは、薬機法の広告規制の趣旨から行わないこととされています。ほかの法律で処分されたからといって、医療法の違反がなくなることはありません。

迷ったときの相談先

広告についての相談は、医療機関を所管する自治体の窓口が受け付けています。窓口の一覧は、厚生労働省の「医療広告相談窓口一覧」で確かめられます。医療機関のウェブサイトのうそや大げさな表示についての情報は、厚生労働省の「医療機関ネットパトロール」の通報フォームでも受け付けています。

媒体ごとの注意点(クリニック・病院の広告)

クリニックや病院の広告は、媒体によって載せられる範囲が違います。違いを決めるのは、その媒体が限定解除できるかどうかと、受け取る人が誰かです。

媒体ごとの広告できる範囲
媒体広告できる範囲気をつけること
自院のホームページ要件を満たせば限定解除できる問い合わせ先、自由診療の費用とリスクを見やすく
リスティング広告、バナー広告広告できる事項だけ見出しや画像の文言も対象
SNSの公式アカウントの投稿要件を満たせば限定解除できる投稿ごとに必要な情報をそろえる
自院のチャンネルの動画要件を満たせば限定解除できるテロップ、音声、概要欄も対象
チラシ、看板、駅や車内の広告広告できる事項だけQRコードの先のサイトも規制の対象
新聞・雑誌・テレビの広告広告できる事項だけ費用を払った記事風広告も対象
院内の掲示、院内のパンフレット通常は広告に当たらない院外に出すと広告になる
職員募集の求人広告通常は広告に当たらない採用が目的の広告に限る

看板やチラシ、リスティング広告に載せられるのは、診療科名、診療時間、所在地など、前の節の広告できる事項だけです。詳しい治療の説明や自由診療の内容は、限定解除の要件を満たしたホームページに載せ、看板やチラシからはそのページへ案内する形にします。動画広告をどの媒体に、どう出すかの全体は、動画広告とはで説明しています。

SNSの投稿

SNSでは、プロフィール、投稿(文章・画像・動画)、返信のどれに書いたことも広告に当たります。投稿に付けたハッシュタグも対象で、投稿の内容と関係のないハッシュタグを付けて閲覧を誘うことも不適切とされています。個人のアカウントでも、医療機関や医師が特定でき、受診を誘う内容であれば広告になります。

事例解説書は、SNSの一つの投稿を一つの広告として扱い、自由診療を紹介するときは、治療の内容と費用、主なリスクと副作用が、まとまって一覧できる形で示されていることを求めています。改善の例として示されているのは、一つの投稿の中にこれらをまとめる形や、プロフィールで説明の投稿の場所を示し(投稿を固定し)、その投稿にまとめる形です。費用とリスクを別々のSNSに分けて載せる形や、返信で「詳細は当院ホームページで」と案内するだけの形は、問題のある例として挙げられています。ビフォーアフター写真を載せるなら、写真のすぐ近くに説明を付けます。

動画(YouTube・SNSの動画)

動画の広告では、動画の中で話す音声と画面に出すテロップ、動画のタイトル、概要欄、チャンネルのプロフィール、ハッシュタグのすべてが対象です。事例解説書の動画の画面例では、動画の中の「最先端のホワイトニング技術」「お得なキャンペーン」、タイトルの「ホワイトニング専門医」、概要欄の「症例1,000件を超える」「¥20,000~」「詳細は、当院ホームページで」、ハッシュタグの「#最先端」が、規制に触れる表現として示されています。

自由診療の動画では、治療の内容と費用、主なリスクと副作用を、動画の中でまとめて示すか、動画の中で「詳しくは概要欄に」と案内したうえで、概要欄にまとめて書きます。コメント欄の奥のほうに書くなど、見る人がたどり着きにくい置き方は避けます。概要欄の書き方そのものは、YouTubeの概要欄の書き方を参考にしてください。

患者が出演して治療の感想を話す場面は、体験談に当たります。院長が解説する動画でも、患者の感想を紹介すれば同じです。限定解除の要件を満たさない動画では、伝える内容を、診療科名や診療時間、設備、院長の略歴、保険診療の検査の方法など、広告できる事項の範囲にします。

作例:広告できる事項だけで作った医院案内動画

ここからは、NoLangで作った医院案内動画の作例を紹介します。「つぐみ坂内科クリニック」は架空のクリニックで、所在地、電話番号、院長の名前と略歴、人数などは作例上の設定です。ナレーションと画面の文字は、医療法と告示で広告できる事項だけで組みました。イラストと映像は、画像生成・映像生成で用意しています。

約80秒の横型の動画です。冒頭で「診療時間は?」「予約は?」「車で行ける?」の三つの問いを出し、場所、診療の内容、院長と進んだ後、後半でその答えを示します。

作例の場面と広告できる事項
秒場面ナレーションと画面の文字(要旨)広告できる事項
0〜6三つの問いと医院名診療時間は?予約は?車で行ける?名称
6〜11場所駅の東口から歩いて3分、ビルの2階所在の場所
11〜17診療科と診療内科と消化器内科。高血圧、糖尿病、脂質異常症の診療診療科名、医療の内容
17〜26検査・健診・予防接種胃の内視鏡検査は口からか鼻からかを選べる。腹部の超音波検査、特定健診、インフルエンザの予防接種医療の内容、健康診査、予防接種
26〜41院長と体制医師である院長の氏名と略歴。医師1名、看護師3名医師である旨、管理者の氏名、略歴、従業者の数
41〜67三つの答え診療日と時間、休診日、予約なしで受診できる外来と予約制の検査、無料の駐車場5台診療日・診療時間、予約の有無、駐車設備
67〜75院内と支払いバリアフリーで車椅子のまま診察室へ。現金、クレジットカード、電子マネー構造上の配慮、支払い方法
75〜82結び医院名で結ぶ。画面に所在地、電話番号、ウェブサイト名称・電話番号・所在地、ウェブサイトのアドレス

医師と看護師の人数の場面には、画面の右下に「2026年10月現在」と時点を出しています。人数のように変わる数字には、いつの時点かを暦月で併記する決まりがあるためです。院長は、医師であることと氏名、卒業と開院の年、勤務した年数を並べた略歴で紹介し、人柄や腕前を評価する言葉は入れていません。

作例では、院内や人物を写真に見えるようには描かず、平面のイラストにしています。架空のクリニックの院内を写真のように見せると、実在する場所と受け取られるおそれがあるからです。実際の広告では、自院の外観や院内、スタッフの写真を使えます(ほかの医院の写真は使えません)。

同じ内容でも、言い方によっては広告できなくなります。作例では、次のような表現を使っていません。

作例で使わなかった表現
使わなかった表現理由
地域でいちばんの内視鏡検査最上級や比較の表現は、比較優良広告に当たる
痛くない胃カメラ科学的な根拠がなく、虚偽・誇大広告のおそれがある
最新の内視鏡を導入事実でも根拠を示せる必要があり、時間がたつと使えなくなる
消化器の専門医が担当認定した団体の名称がない「専門医」は、誇大広告に当たる
患者さまの声治療の内容や効果についての体験談は、載せられない
健康診断が今なら20%オフ費用を強調した広告は、品位を損ねるとして慎むべきとされる

クリニックの医院案内(よくある3つの質問に答える構成)

この医院の資料から、内科クリニックの医院案内動画を横型で。診療時間・予約・駐車場の三つの問いに答える形で、広告できる事項だけを紹介して。

このテンプレートで動画を作る

自分のクリニックで作る

作例と同じ形で自院の医院案内動画を作るときは、作例の下にある「このテンプレートで動画を作る」を押します。NoLangにログインした状態でホームが開き、入力欄に作例の動画がお手本としてセットされます。

  • 1. 情報を書く:入力欄に、医院の名称、診療科名、診療日と診療時間、所在地と最寄り駅からの道のり、院長の氏名と略歴、設備、予約の方法など、広告できる事項の範囲で自院の情報を書きます。
  • 2. 写真や資料を添付する:入力欄の左下のボタン(追加設定・添付)から「ファイルをアップロード」を選び、自院の外観や院内の写真、医院の案内の資料を添付します。
  • 3. 生成する:入力欄の右下で画面の向きと長さを選び(「おまかせ」のままでも作れます)、右端の矢印のボタンを押します。

できあがった動画は、公開する前に、ナレーションと画面の文字を一文ずつ読み、この記事の最後のチェックリストで確かめます。人数や診療時間などの数字が現在の自院の情報と合っているか、写真が自院のものか、禁止される表現が入っていないかを見てください。動画の構成の考え方は動画構成の考え方と作り方、施設を紹介する動画の場面の並べ方は店舗紹介動画・施設紹介動画の作り方でも説明しています。

広告を出す前のチェックリスト

広告を出す前や、ホームページを公開・更新する前に、次の点を順に確かめます。

  • 媒体:限定解除できる媒体か(ホームページ、SNS、動画)、広告できる事項しか載せられない媒体か(看板、チラシ、リスティング広告、バナー広告)。
  • 広告できる事項か:限定解除できない媒体なら、書いたことがすべて広告できる事項に当たるか。診療科名は決められた名前か、「○○外来」を使っていないか。
  • 禁止される表現:「絶対」「日本一」「最先端」「痛くない」など、虚偽・比較優良・誇大に当たる言葉がないか。根拠を示せない数字がないか。
  • 体験談と写真:患者の感想、口コミの転載、説明のないビフォーアフター写真がないか。写真やイラストは自院のものか。
  • 限定解除の要件:問い合わせ先が実際に答えられる連絡先か。自由診療の内容、費用、期間と回数、リスクと副作用が、見やすい場所にそろっているか。
  • 数字と時点:人数や件数に時点や期間を書いているか。古い数字が残っていないか。
  • ほかの法律:薬の商品名、費用の強調、プレゼントで誘う表現がないか。
  • 相談:判断に迷う表現は、所管の自治体の窓口や専門家に確かめたか。

制作会社や広告代理店に広告を頼む場合も、院内で内容を確かめる担当者を決めておきます。委託先も規制の対象ですが、ガイドラインは、広告は医療機関が自らの意思で行うものとしています。

医院案内のほかにも、院内の研修や患者さん向けの説明など、医療機関で動画を続けて作るなら、NoLangを法人で使う方法もあります。手元の資料や写真、文章からナレーション付きの動画を作れるほか、記事の作例をお手本にして自院の内容に置き換えた動画にすることもできます。導入の相談はお問い合わせから受け付けており、詳しい資料は下のボタンから請求できます。

資料をダウンロード

よくある質問

看板に、今は認められていない古い診療科名(胃腸科など)が残っています。そのまま使えますか?
2008年(平成20年)4月の改正で、「胃腸科」「こう門科」「神経科」「呼吸器科」「消化器科」「循環器科」などは新しく広告できなくなりました。ただし、それより前から掲げている看板などは、書き換えなどで広告を変更しない限り、引き続き使えます。内容を変えずに広告の契約を更新するだけなら、変更に当たりません。新しい診療科名に書き換えて届け出た後は、古い名前に戻せません(医療広告等ガイドラインに関するQ&A Q3-1)。
医院の名前に「○○センター」と付けて広告してもよいですか?
医療機関の名称は、正式な名称だけを広告できます。「○○病院 ○○センター」のように併せて広告できるのは、救命救急センターや休日夜間急患センターなど、法令や国の事業で一定の医療を担う医療機関である場合と、その診療で地域の中核的な役割を担っていると都道府県などが認める場合に限られます。それ以外は誇大広告として扱われます。院内の部門名として「透析センター」などと院内に掲示することはできます(Q&A Q1-13、Q6-5)。
外国語だけで作った広告にも、医療広告の決まりは当てはまりますか?
当てはまります。日本語で作った広告も外国語で作った広告も、広告規制の対象です(Q&A Q6-9)。日本国内に向けた広告であれば、海外の事業者が海外から送るメールなども対象になります。
NoLangで作った医院案内の動画にも、医療広告の決まりは当てはまりますか?
当てはまります。どのツールで作った動画でも、医院の名前が分かり、受診を誘う目的でホームページやSNS、動画サイトに載せれば、医療広告の決まりが当てはまります。テンプレートから作った動画も、ナレーション、画面の文字、タイトル、概要欄の文言を、この記事のチェックリストで確かめてから公開してください。写真やイラストは、自院のものに差し替えてください。
SHARE
NoLang サービスご紹介資料
資料ダウンロード

NoLangの導入を
ご検討中の方

NoLangを
ご利用中の方