動画マーケティングとは?目的・手法・戦略・効果の見方を、一つの事業の計画例で通して解説

この記事の要点

  1. 動画マーケティングは動画広告だけではなく、知らない人に知ってもらい、興味を持ってもらい、選んでもらい、使い続けてもらうまでの全体。見る人の状態を4段階に分けて範囲を決める
  2. 目的は「知ってもらう/興味を持ってもらう/選んでもらう/使い続けてもらう」から一つ選ぶ。目的で向く手法・置き場所・見る数字が決まる
  3. HHH戦略は3種類をそろえる話ではなく、作る順番を決める枠組み。初めての1本は検討中の人の疑問に答えるHelp型から始めると確実
  4. 架空の観葉植物ショップで計画表を最後まで記入し、「よくある3つの質問」に答える最初の1本をNoLangで制作。同じ構成で自社の動画を作れる
  5. 効果は動画1本につき数字を一つ。悪いときは「見られる前」と「見始めた後」のどちらを直すかを分ける
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「うちも動画をやろう」と会議で決まった日、参加者の頭にある動画はたいてい一つではありません。 広告担当はYouTubeの再生前に流れる15秒を、SNS担当はInstagramのリールを、営業は商談の冒頭で見せる3分の紹介動画を思い浮かべていて、全員が「動画マーケティング」と言いながら別の施策を指しています。 制作会社に相談してから「思っていたものと違う」となる原因の多くは、動画の出来ではなく、ここにあります。

この認識のずれは、動画マーケティングの定義を調べても埋まりません。 その動画を見る人が今どういう状態で、見た後にどうなってほしいかを先に決めると、置き場所も、作る動画も、見る数字も決まります。 この記事では、動画マーケティングの範囲を「見る人の状態」で整理し、目的ごとに向く手法と見る数字を表にし、よく聞く戦略の枠組みを「最初の1本と続ける2本」に置き直します。 そのうえで、架空の事業で計画を最後まで決め、その最初の1本をNoLangで作った完成動画と一緒に掲載しています。

動画マーケティングとは:広告だけではなく、見る人の状態で範囲を決める

動画マーケティングは、動画を使って、自社を知らない人に知ってもらい、興味を持った人に選んでもらい、選んだ人に使い続けてもらう活動の全体を指します。 動画広告はその一部です。 「動画マーケティング」を動画広告の意味で使う説明も見かけますが、商品ページに置く紹介動画、商談で見せる動画、購入後に送る使い方の動画も、同じ活動の中にあります。 広告だけを全体と考えると、広告費を使わずにできる手法が最初から選択肢に入りません。

なぜ動画なのかは、相手の側から考えると理由がはっきりします。 商品やサービスを調べるとき、検索結果の動画やSNSの投稿、商品ページの再生ボタンから情報を集める人が増えました。 相手が動画で調べている場面では、こちらも動画で答えたほうが伝わります。 市場規模の数字を並べなくても、自社の顧客がどこで何を見ているかを思い浮かべれば、動画を使う理由としては十分です。

範囲を決めるには、見る人の状態を4段階に分けると整理しやすくなります。

見る人の4つの状態と、動画の役割
見る人の状態動画の役割置き場所の例動画の例詳しく扱う記事
まだ知らない名前と一言を覚えてもらう広告枠、SNSの投稿、サイネージ短い広告動画、PR動画動画広告の種類・媒体・効果PR動画の作り方
興味がある何ができて、何が違うかを理解してもらう自社サイト、YouTubeチャンネル、展示会商品紹介動画、サービス紹介動画、会社紹介動画商品紹介動画の作り方サービス紹介動画の作り方
比べている疑問と不安をなくし、選んでもらう商品ページ、商談、メールよくある質問に答える動画、導入事例、デモ動画本記事の計画例
使っている使いこなしてもらい、続けてもらう購入後の案内、サポートページ、社内使い方動画、動画マニュアル動画マニュアルの作り方

「使っている」状態まで動画マーケティングに含めるのは、使い続けてもらうことが次の購入と紹介につながるからです。 購入で終わる整理にすると、サポートに使える動画が施策から抜け落ちます。

目的を一つ決める:4つの目的で、向く手法と見る数字が変わる

目的は「認知も購入も」全部でよいのでは、と考えたくなります。 ただ、一本の動画に全部を入れると、まだ知らない人には長すぎ、比べている人には具体性が足りない動画になります。 知らない人は名前を覚える前に離れ、比べている人は知りたい答えにたどり着く前に離れるからです。

目的は、見る人の状態に合わせて4つから一つ選びます。

4つの目的と、目的で変わるもの
目的向く手法置き場所の例長さの目安見る数字(一つ)
知ってもらう短い広告動画、SNSの投稿動画、PR動画広告枠、SNS、サイトのトップ数十秒再生数、または指名検索の増減
興味を持ってもらう商品紹介、サービス紹介、会社紹介の動画自社サイト、YouTube、展示会1〜3分平均再生時間、または見た後のページ遷移
選んでもらうよくある質問に答える動画、導入事例、デモ動画商品ページ、商談、検討中の人へのメール1〜2分動画を見た人の申込率、または問い合わせの内容の変化
使い続けてもらう使い方動画、動画マニュアル、新機能の案内購入後の案内、サポートページ必要なだけサポートへの問い合わせ数の増減、または継続率

長さの目安は置き場所と相手の状態で前後します。 目的を一つに絞ると、決まることが三つあります。 何を見せるか(名前と一言か、使う場面か、質問への答えか)、どこに置くか、そして何の数字を見るかです。 置き場所と見る数字の二つが決まれば、動画を公開した後に「効果があったのか」を判断できるようになります。

動画マーケティングの戦略:HHHを「最初の1本と続ける2本」に置き直す

戦略として名前が挙がるのは、Googleが提唱したHHH戦略です。 広く知ってもらうためのHero、続けて見てもらうためのHub、困りごとに答えるHelpの3種類の動画を組み合わせる考え方で、多くの解説がこの3種類をそろえることを勧めています。

ただ、初めて動画を取り入れる会社が、3種類を同時に作るのは現実的でしょうか。 3本分の企画と素材と確認が一度に必要になり、どれか一本の反応を見て残りを直す余地がありません。 3種類は「そろえるもの」ではなく、「どの順で作るか」を決める枠組みとして使うと、計画に落とせます。

HHHの3種類と、計画例での置き方
種類役割向く目的置き場所の例計画例での動画
Help困りごとや疑問に答える選んでもらう、使い続けてもらう商品ページ、サポートページ、商談最初の1本。「初めての観葉植物、よくある3つの質問」
Hub続けて見てもらい、関係を保つ興味を持ってもらうYouTubeチャンネル、SNS、メール2本目。植物ごとの育て方を月に1本
Hero広く知ってもらう知ってもらう広告枠、SNSの拡散3本目。季節の企画を短い動画で

初めての1本は、Helpから始めるのが確実です。 検討中の人が抱く疑問は営業やサポートの担当者がすでに知っているため、相手と内容が最初から決まっています。 できた動画は商品ページに置くだけでなく、商談やサポートの返信にも同じものを使えます。 そして、反応が薄くても「どの質問が足りなかったか」という次の改善点が分かります。 Heroの動画は反応が薄いときに、内容が悪かったのか、置き場所が悪かったのか、相手が違ったのかを切り分けにくく、初めての1本には向きません。

例外はあります。 新しい店や新しいサービスで、そもそも名前を知っている人がいない場合は、答える質問がまだ集まっていないので、Heroにあたる短い告知動画から始めます。 この場合の企画の立て方はPR動画の作り方で扱っています。

置き場所を先に一つ決めると、動画の要件が三つ決まります。 長さ(商品ページなら1〜2分でよく、SNSの投稿なら数十秒)、画面の向き(スマホの投稿なら縦、サイトや商談のモニターなら横)、そして音がなくても伝わる文字の量(投稿やサイネージは無音が前提)です。 有料の広告枠で見せる場合は媒体ごとの形式と指標があるので、動画広告の種類・媒体・効果を参照してください。

計画例:一つの事業で、最初の1本まで決める

ここまでの表を、一つの事業で最後まで使ってみます。 題材は架空で、観葉植物のオンラインショップ「ハコニワ植物店」です。

計画表の記入例:ハコニワ植物店
記入例
事業と相手観葉植物のオンラインショップ。相手は、部屋に初めて観葉植物を置こうとしていて「枯らしそうで不安」な人
相手の状態と目的比べている(買うかどうか迷っている)。目的は「選んでもらう」
置き場所商品ページ。同じ動画を購入後の案内メールとSNSの投稿にも使う
最初の1本(Help)「初めての観葉植物、よくある3つの質問」。水やりの頻度、置き場所、葉が黄色くなったときの対処に、写真と文字で答える。1分弱
続ける2本(題材だけ)Hub:植物ごとの育て方を月に1本。Hero:季節の企画を短い動画で
見る数字(一つ)商品ページで動画を再生した人の購入率
作り方手元の写真と文章から作る(撮影なし)

記入は上から順に進めます。 相手を「枯らしそうで不安な人」まで絞ると、状態は「比べている」に決まり、目的は「選んでもらう」に決まります。 目的が決まれば、置き場所は商品ページで、動画はその不安に答えるものになります。 「よくある3つの質問」に絞ったのは、購入前の問い合わせで多い質問が水やり、置き場所、葉の変色の三つだと想定しているからです。 ここに「当店の品ぞろえ」や「送料無料」を足したくなりますが、相手の不安に答える動画に宣伝を混ぜると、答えを探している人が途中で離れます。

続ける2本は、題材だけ決めて作りません。 最初の1本を商品ページに置いて購入率を見てから、Hubで扱う植物を決めたほうが、反応のあった質問に沿った内容にできるからです。

この計画表の「最初の1本」から、NoLangで作った完成動画がこちらです。

縦型9:16で約53秒、ナレーションと画面の文字で進みます。

初めての観葉植物、よくある3つの質問|ハコニワ植物店

添付した観葉植物の写真7枚で、初めて買う人からよく聞かれる3つの質問(水やりの頻度、置き場所、葉が黄色くなったとき)に順に答える縦型の動画にしてください。質問を画面に大きく出してから答えを示し、最後は「ハコニワ植物店」と「困ったときは、商品ページのQ&Aへ」で締めてください。

このテンプレートで作る

計画表の項目は、動画の各場面に次のように反映されています。 冒頭で窓辺の植物の写真の上に「初めての観葉植物、よくある3つの質問」と題を出し、質問ごとに、質問を大きく出した場面と、写真の上に答えを置いた場面が続きます(水やりの手元と乾いた土、レース越しの棚、黄色くなった葉と新芽)。 最後の場面は店の名前と「困ったときは、商品ページのQ&Aへ」で、見た人が次に困ったときの行き先を示しています。 画面の文字だけで質問と答えが追えるので、音を出さずに商品ページを見ている人にも伝わります。

上の「このテンプレートで作る」を押すと、この構成が参照動画として選ばれた状態でNoLangが開きます。 自社の商品の写真を添付し、購入前によく聞かれる質問と答えを指示文に入れると、同じ構成で自社の動画を作れます。 場面ごとの文字と写真を先に書き出しておきたい場合は、動画の構成案テンプレートの書式が使えます。

効果の見方:動画1本につき数字を一つ、悪ければ直す場所を分ける

公開したら再生回数を見ればよい、と考えがちです。 ただ、「選んでもらう」ことを目的とする動画は、再生回数が伸びても購入が増えなければ役目を果たしていません。 逆に、再生回数が少なくても、見た人の多くが購入していれば、その動画は機能しています。 見る数字は、目的ごとに一つに決めます。

目的ごとに見る数字と、悪いときに先に直す場所
目的見る数字(一つ)数字が取れる場所数字が悪いとき、先に直す場所
知ってもらう再生数(または指名検索の増減)広告やSNSの管理画面、検索の管理ツール見られる前:タイトル、サムネイル、置き場所
興味を持ってもらう平均再生時間YouTubeやサイトの動画の分析画面見始めた後:冒頭の数秒、場面の順番、長さ
選んでもらう動画を見た人の申込率商品ページの計測(動画の再生と申込を分けて記録する)見始めた後:答えている質問が相手の疑問と合っているか
使い続けてもらうサポートへの問い合わせ数の増減問い合わせの記録見始めた後:説明の抜けている手順

「先に直す場所」を二つに分けているのは、数字が悪い理由が動画の外にあるか中にあるかで、やることが違うからです。 再生数が伸びない動画は、まだ見られていないので、中身を直しても変わりません。 タイトルとサムネイルと置き場所を先に直します。 再生されるのに途中で離れる動画は、中身に理由があるので、冒頭と場面の順番を直します。

動画1本の数字だけで施策全体の成否を判断して、取り組みをやめてしまわないほうがよい理由も、計画表に戻ると分かります。 計画例のハコニワ植物店では、最初の1本の購入率を見てから、2本目で扱う植物を決める予定にしていました。 1本目の数字は、施策の成否ではなく、2本目の内容を決める材料です。 有料の広告枠で配信した動画は、再生単価など広告固有の指標があるので、動画広告の種類・媒体・効果を参照してください。

作り方を選ぶ:続ける本数と撮影の要否で決める

内製するか外注するかは、3つの基準で判断します。 続ける本数(月に何本も作るなら内製、年に一本の会社紹介なら外注でもよい)、撮影の要否(人物が語る動画や実際の場面が必要なら、撮影と編集を外注する選択肢がある)、確認と承認の多さ(経営層や取引先の確認が多い動画は、第三者の目が入る外注が向く)です。 計画表があれば、外注先から返ってきた提案が、決めた相手と目的に沿っているかを照らし合わせて確認できます。 費用の目安は動画制作の費用相場で扱っています。

手元の写真や資料と文章から作る場合は、NoLangで次の順に進めます。

  1. 参照動画を選んで始める

    上の計画例の「このテンプレートで作る」を押すと、その動画が「参照動画」として入力欄の上に表示された状態でホームが開きます。 この状態で進めると、参照動画の構成と見た目を引き継いで、自分の内容に合わせた動画を作れます。

    NoLangのホーム画面。入力欄の上に「参照動画」としてテンプレート名が表示され、参照動画のチップと「+」(添付)を赤枠で示している
  2. 質問と答えを入れて、写真を添付する

    入力欄に、よく聞かれる質問と答えを含む指示文を入れます。 場面ごとに文を書いてある場合は、入力欄の下の「台本から」を押し、その台本をそのまま貼り付けます。 写真は入力欄の「+」(追加設定・添付)から「ファイルをアップロード」で添付し、どの写真をどの質問に使うかを指示文に書きます。 画面の向きは入力欄の「横型」を押して、縦型(9:16)などを選びます。

  3. 生成して、直す

    生成後に「編集する」で編集画面を開きます。 画面上の文字や画像は、右端のタイムラインの「テキスト」「画像・動画」から差し替えます。 ナレーションを入れた場合は、右側の「読み上げ台本」で場面ごとの文を直します。 質問が画面に大きく出ているか、答えが写真と合っているかを確認します。

    NoLangの編集画面。右側の「読み上げ台本」と右端のタイムラインの要素(効果音、BGM、背景、テキスト、字幕表示、画像・動画)を赤枠で示している
  4. 確定して、置く

    直し終えたら「この内容で確定する」を押して動画を仕上げ、計画表で決めた置き場所(商品ページなど)に掲載します。

PR動画やプロモーション動画のように、相手と一言を決めるところから企画する手順はPR動画の作り方で扱っています。

まとめ

会議で「動画をやろう」と決まったとき、参加者の頭にある動画がばらばらなのは、動画マーケティングという言葉が置き場所も相手も決めないからです。 決めるのは、見る人の状態です。 まだ知らないのか、興味があるのか、比べているのか、使っているのかを一つ選ぶと、目的が決まり、置き場所と見る数字が決まり、最初の1本が何であるべきかが決まります。 計画例のハコニワ植物店では、「比べている人」から始めて、よくある3つの質問に答える約53秒の動画を、写真と文章から撮影せずに作りました。 自分の事業でも、計画表の一番上の欄を埋めるところから始めてください。

よくある質問

動画マーケティングと動画広告は同じですか?
同じではありません。動画広告は、まだ自社を知らない人に広告枠で見せる手法で、動画マーケティングの一部です。動画マーケティングには、自社サイトやYouTubeに置く紹介動画、商品ページで疑問に答える動画、購入後に送る使い方の動画も含まれます。広告費を使わずに始められる手法も多いので、広告だけを全体と考えないほうが選択肢が広がります。
BtoBでも動画マーケティングは有効ですか?
有効です。相手が担当者や決裁者であっても、見る人の状態に合わせて考える基本は同じです。比べている段階の担当者には商談前に送る紹介動画や導入事例の動画、社内で検討を進める担当者や決裁者にはサービスの要点を短くまとめた動画、導入後の担当者には使い方の動画が使えます。置き場所は広告枠よりも、自社サイト、商談、メール、展示会が中心になります。
効果が出るまでどのくらいかかりますか?
目的によって違います。商品ページに置く「選んでもらう」動画は、置いた直後から購入率や問い合わせの内容で判断できます。「知ってもらう」動画やYouTubeチャンネルの運用は、続けて出すうちに数字が積み上がる性質なので、1本の結果で判断せず、続ける前提で見ます。最初の1本は早く数字が出るHelp型から始めると、次の判断材料が早く手に入ります。
動画マーケティングの費用はどのくらいかかりますか?
撮影の有無と、外注する範囲で大きく変わります。手元の写真や資料と文章から作る動画は、撮影費がかからず、内製ならツールの利用料だけで済みます。人物の出演や現場の撮影が必要な動画を制作会社に依頼すると、企画から編集までの費用がかかります。依頼先別と種類別の目安は「動画制作の費用相場」の記事で扱っています。
最初の1本は何を作ればよいですか?
検討中の人からよく聞かれる質問に答える動画から始めるのが確実です。相手と内容が最初から決まっていて、商品ページ、商談、サポートの返信で同じ動画を使え、反応が薄くても次に足す質問が分かります。ただし、新しい店やサービスでまだ名前を知っている人がいない場合は、短い告知動画から始めます。
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