イベントの動画と聞くと、会場の大きなスクリーンで流す派手なオープニング映像を思い浮かべるかもしれません。けれども担当者にとって必要になる動画は、それだけではありません。開催前には参加を呼びかける告知があり、当日は受付や休憩中に流す案内があり、終わったあとには開催の報告があります。どれも「イベント動画」ですが、見る人も、見る場所も、作るのに必要な素材も違います。
この記事では、イベントの時期ごとに必要な動画を整理し、どれを作るか、何を素材にするか、どう作るかを決めていきます。そのうえで、告知と当日の案内の2本について、NoLangのテンプレートとして作った完成動画を載せました。載せる情報の順番や、音を出さずに流す前提での文字の置き方を、動画そのもので確かめられます。
イベント動画とは:告知・当日・振り返りで役割が変わる
イベント動画は、イベントのために作り、イベントの前後や会場で使う動画の総称です。セミナーや説明会、社内の総会やキックオフ、周年の式典、地域のお祭りやマーケットまで、使われる場面は多岐にわたります。
役割は、使う時期で大きく三つに分かれます。
- 告知(開催前):イベントを知ってもらい、申し込みや来場につなげる動画です。SNSやメール、Webサイトで見られます。
- 当日(開催中):会場で流す動画です。開会を盛り上げる演出の映像と、開始時刻や会場の使い方を伝える案内の映像があります。
- 振り返り(開催後):当日の様子や成果を伝える動画です。参加できなかった人への共有や、次回の告知の素材になります。
制作の解説でよく見る「オープニングムービー」「アタックムービー」「エンディングムービー」は、当日の会場演出で流す映像の呼び名です。開会前に流すのがオープニング、登壇者の入場や表彰の直前に流すのがアタック、閉会時に流すのがエンディングです。「ティザー」は、情報を少しずつ明かして期待を高める告知動画を指します。
展示会のブースで繰り返し流す動画は、通行する来場者に向けた別の設計が要ります。詳しくは展示会動画の作り方で扱っています。イベントに限らず会社や商品を広く知ってもらう動画は、PR動画の作り方を参考にしてください。
時期ごとに必要な動画を決める
まず、どの時期にどの動画が要るのかを一覧にします。同じ「イベント動画」でも、見る人・場所・載せることが違えば、長さも素材も作り方も変わります。
| 時期と動画 | 見る人と場所 | 載せること | 長さと音 | 主な素材 | 作り方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 告知 | 参加を検討する人。SNS・メール・Webサイト・広告 | イベント名、日時、場所、対象、内容、申込方法と締切 | 15〜60秒。音なしで再生される前提で、文字だけでも伝わる作りに | 開催概要、登壇者の情報、会場の情報、ロゴ | 資料と台本から作れる |
| 当日の演出 | 会場の参加者。大きなスクリーン | イベントのテーマ、主催者の思い、次の登壇者 | 10秒〜2分。会場の音響で流す | テーマの言葉、ロゴ、過去の写真や映像 | 資料から作れるが、演出の作り込みが要る |
| 当日の案内 | 会場の参加者。受付・ロビー・開始前と休憩中のスクリーン | タイムテーブル、会場の使い方、お願いごと、次の再開時刻 | 1〜3分を繰り返し再生。音なしで読める文字で | 進行表、会場図、運営からのお願い | 資料と台本から作れる |
| 振り返り(報告・記録) | 参加者、参加できなかった人、社内、次回の参加候補 | 当日の様子、数字(参加人数など)、参加者の声、次回の案内 | 報告は1〜3分、記録は講演の全編 | 当日撮った写真と映像、アンケートの結果 | 当日の撮影が必要 |
長さは、制作の解説で示される目安に、見られる場所の事情を加えて幅を持たせています。決めるときは、見る人がその場で何秒くらい画面を見ていられるかを基準に考えてください。
全部を作る必要はありません。イベントの目的から、いちばん効く1本を先に決めます。申し込みを集めたいなら告知、当日の進行を円滑にしたいなら当日の案内、社内や次回に成果を伝えたいなら振り返りです。初めて動画を使うなら、告知から始めると準備の流れをつかみやすくなります。告知に使った開催概要や台本が、そのまま当日の案内の素材にもなるからです。
撮影が要る動画と、手元の資料から作れる動画
表のいちばん右の列で分かれるとおり、イベント動画には作り方が根本から違う2種類があります。
一つは、当日の様子を撮って作る動画です。開催報告や講演の記録がこれに当たります。素材はその日にしか撮れないので、撮影の段取りがすべての前提になります。撮り逃した場面は、あとから作れません。
もう一つは、資料と台本から作る動画です。告知と当日の案内がこれに当たります。素材は開催概要、登壇者のプロフィール、会場図、ロゴなど、イベントの準備で必ず作るものです。撮影をしないので、開催の数日前でも作れます。日時や会場が変わっても、文字を差し替えて作り直せます。
| 当日の様子を撮って作る | 資料と台本から作る | |
|---|---|---|
| 当てはまる動画 | 開催報告、講演の記録、エンディングのダイジェスト | 告知、当日の案内、演出の一部 |
| 準備するもの | 撮る場面のリスト、撮影許可、機材と撮影の担当者 | 開催概要、台本、ロゴや会場図などの画像 |
| 作れる時期 | 開催後 | 開催前ならいつでも |
| 内容が変わったとき | 撮り直しはできない | 文字や画像を差し替えて作り直せる |
この違いは、外注するか自分で作るかの判断にも関わります。撮影を伴う動画は、機材と人手、当日の段取りが要ります。資料と台本から作る動画は、何を載せるかさえ決まれば、担当者が手元で作れます。
作る前に決める三つのこと
どの動画を作る場合でも、作り始める前に次の三つを決めておくと、途中で迷いません。
- 見た人にしてほしい行動:申し込む、時間どおりに席に戻る、次回も参加する、といった行動を一つに決めます。動画で伝えることは、その行動に必要な情報に絞ります。
- 見られる場所と音の有無:SNSのタイムラインやメールのリンク先では、音を出さずに再生されることが多くあります。会場のロビーや受付のモニターも、周りの話し声で音は届きません。音が届かない場所で見られる動画は、文字だけで内容が伝わるように作ります。
- 締切:イベント動画は開催日が動かせません。告知は申込締切から、当日の動画は前日の会場リハーサルから逆算して、完成させる日を決めます。告知は締切の数週間前から流し始めたいので、そこから確認と修正の日数を引いた日が完成の期限です。
告知動画を作る
告知動画は、イベントを知らない人に、参加するかどうかを決めてもらう動画です。見た人が迷わず申し込めるように、必要な情報を漏れなく、決まった順番で載せます。
載せる情報
- イベント名と一言の内容:何のイベントかを最初の数秒で伝えます。
- 対象:誰に向けたイベントかを明記します。見た人が自分に関係するイベントだと判断できるかどうかが、ここで決まります。
- 得られること:参加すると何が分かるか、何ができるようになるかを、2〜3点に絞ります。
- 登壇者・出演者:名前と肩書を載せます。参加を決める理由になる場合は前半に置きます。
- 日時と場所:開始と終了の時刻、会場名、オンライン配信の有無を書きます。
- 申込方法と締切:申込ページの場所、締切日、定員、参加費を書きます。
この順番は「何のイベントか」から「どうすれば参加できるか」へ進む流れです。途中で興味を持った人が、最後まで見れば申し込み方が分かるように並べます。
作例:会場で開くセミナーの告知動画
この順番で作った告知動画が次の作例です。架空の「生成AI 実践ビジネスセミナー」を告知する、横型・約34秒の動画です。SNSやメールで流す前提で、ナレーションと同じ内容を画面の文字でも出しています。
| 秒 | 役割 | 画面に出す文字 |
|---|---|---|
| 0〜5.0 | 対象への問いかけ | 生成AI、気になる。/でも、仕事でどう使う? |
| 5.0〜8.7 | イベント名 | 生成AI 実践ビジネスセミナー/知る。その先を、会場で。 |
| 8.7〜18.1 | 得られること | 01 企画のたたき台を、実演で。/自分の仕事にどう活かす?/02 その場で、質問できる。/03 参加者と、アイデアを交わす。 |
| 18.1〜21.0 | 参加する理由のまとめ | 明日、試したい一歩を見つけよう。 |
| 21.0〜28.0 | 日時と場所 | 2026 11.20 14:00—16:00/東京 青山ビジネスホール/参加無料・定員40名 |
| 28.0〜33.5 | 申込方法 | 会場で、一歩先へ。/詳しくは申込ページへ/申込ページのURL |
冒頭の問いかけが、対象を示す役割を兼ねています。「生成AIが気になるが、仕事での使い方が分からない人」に向けたイベントだと、最初の5秒で分かります。得られることは番号を付けて三つに分け、1場面に1つずつ出しています。日時と場所は、先に日時だけを出し、続けて会場と参加条件を足す順に表示しているので、一度に読む量が増えすぎません。
この作例では、登壇者と締切を載せていません。登壇者が参加の決め手になるイベントなら「得られること」の前に、締切がある場合は申込方法の場面に加えます。
会場開催ビジネスセミナーの告知
会場で開くビジネスセミナーの告知動画に。 対象への問いかけから始め、得られること3点、日時と会場、申込ページの順で見せてください。
自分のイベントで作るときは、上の「このテンプレートで動画を作る」を押します。NoLangのホームが開き、このテンプレートが参照動画として入った状態になります。入力欄にイベント名・対象・得られること・日時と場所・申込方法を書いて、動画を生成します。
できあがったら、音を消して再生し、次の三つを確かめてください。
- 最初の5秒で、何のイベントで誰向けかが分かるか。
- 日時・場所・申込方法が、読み切れる長さで表示されているか。
- イベント名・日付・URLに誤りがないか。 告知は一度広まると直しにくいので、数字と固有名詞は特に念入りに見ます。
告知を広告として配信する場合は、配信先ごとの設定が別に要ります。動画広告の始め方を参考にしてください。台本を自分で書く場合の書き方は、動画の台本テンプレートにまとめています。
当日の案内動画を作る
当日の案内動画は、会場で流して、参加者に進行と会場の使い方を伝える動画です。開始前の待ち時間や休憩中にスクリーンへ流しておけば、同じ案内を司会が何度も読み上げる手間が減り、遅れて着いた人にも伝わります。
流す時間帯ごとに載せること
| 流す時間帯 | 載せること |
|---|---|
| 開始前 | イベント名、開始時刻、タイムテーブル、Wi-Fiや資料の場所、撮影・録音の可否 |
| 休憩中 | 再開時刻、次のプログラム、お手洗いや喫煙所の場所 |
| 終了後 | アンケートのお願い、資料の受け取り方、次回の案内 |
繰り返し流すための作り方
案内の動画は、参加者がどこから見始めるか分かりません。どの場面から見ても意味が通るように、1場面に1つの案内を置きます。イベント名は画面の上部に常に出しておくと、途中から見た人にも何の案内かが伝わります。
会場では話し声や準備の音で、動画の音声はほとんど届きません。案内の文字を大きくし、音を消しても読み取れることを確かめます。
作例:開始前と休憩中に流す案内動画
告知の作例と同じ架空のセミナーで、会場のスクリーンに流す当日案内を作りました。横型・約73秒で、繰り返し再生する前提です。
| 秒 | 案内 | 画面に出す文字 |
|---|---|---|
| 0〜8.5 | 歓迎とイベント名 | 本日はご参加ありがとうございます/生成AI 実践ビジネスセミナー |
| 8.5〜12.8 | 案内の数 | はじまる前に 4つの確認 |
| 12.8〜22.1 | 01 音の設定 | スマートフォンをマナーモードに/通知音・アラームも確認 |
| 22.1〜40.7 | 02 タイムテーブル | 13:30 開場/14:00 開始/15:00〜15:10 休憩/15:10 再開/16:00 終了 |
| 40.7〜50.0 | 03 会場のルール | 撮影・録音・飲食/主催者・会場のルールをご確認ください |
| 50.0〜59.6 | 04 困ったときは | スタッフへお声がけください/お手洗いの場所・ご不明な点/体調がすぐれないときも、遠慮なく |
| 59.6〜73.2 | 待ち時間の呼びかけ | 少し、ひと息。/今日、何を持ち帰りたいですか。/実りある時間を、ご一緒に。 |
全場面の上部に「生成AI 実践ビジネスセミナー」を出し、案内の場面には「1 / 4」のような通し番号を付けています。途中から見た人も、いくつある案内のどれを見ているのかが分かります。
タイムテーブルの場面はいちばん長く、約19秒あります。読み上げに合わせて、強調する行が開始時刻から再開時刻へ移るので、見ている人の目が大事な時刻に向きます。
セミナー会場の当日案内
セミナー会場のスクリーンで、開始前と休憩中に流す案内動画に。 タイムテーブルと会場でのお願いを、番号つきで1場面ずつ見せてください。
作るときは、手元の進行表から時刻を、会場の利用案内からルールとお願いを書き出して入力します。できあがったら、会場のスクリーンと同じくらい離れた位置から、音を消して再生してください。時刻とお願いが読み取れれば、当日の案内として使えます。
当日は時間が押して、再開時刻が変わることがあります。再開時刻の場面だけを差し替えた版を、事前にいくつか作っておくと、進行の変更にすぐ合わせられます。
振り返り:記録の撮影と開催報告
開催後の動画は、当日撮ったものでしか作れません。報告や記録の動画を作る予定があるなら、準備は開催前から始めます。
当日撮るものを先に決める
撮影の担当者に「イベントの様子を撮っておいて」とだけ頼むと、使える場面が足りなくなりがちです。報告の動画で見せたい場面を先に挙げ、撮るもののリストにして渡します。
- 会場の全体:開始前と満席時の客席、会場の外観や看板。
- 登壇者:話している姿、スライドが映るカット。
- 参加者の反応:うなずき、メモを取る手元、質疑応答、交流の時間。
- 参加者の声:終了後に一言ずつ感想をもらう短いインタビュー。
参加者の顔が映る写真や映像を後で公開する場合は、申込ページや受付で撮影と掲載について案内し、同意を得ておきます。映りたくない人が分かる目印(シールなど)を用意する方法もあります。
開催報告に載せること
開催報告の動画は、参加者には振り返りに、参加できなかった人には次回への誘いになります。載せることは次の4点です。
- 開催の概要:イベント名、日付、会場。
- 数字:参加人数、アンケートの満足度など、成果が伝わる数字。
- 当日の様子:撮影した写真と映像から、会場の雰囲気が分かる場面を選びます。
- 次の案内:講演資料の公開場所、次回の予定、問い合わせ先。
講演の全編を残す記録は、報告とは別に作ります。社内の研修や説明会の記録なら、当日参加できなかった人や、あとから加わった人の教材として使えます。
外注するか、自分で作るか
外注するか自分で作るかは、次の三つで判断できます。
- 撮影が要るか:当日の撮影を伴う報告・記録、作り込んだ演出の映像は、機材と経験が要るため、制作会社に頼むほうが確実です。告知と当日の案内は、資料と台本があれば担当者自身で作れます。
- 本数:告知・当日の案内・報告をそろえると3本以上になります。全部を外注すると、そのぶん費用も調整の手間も増えます。
- 締切までの日数:外注は打ち合わせ、構成案、修正のやりとりに時間がかかります。開催まで日がない場合は、自分で作る動画を増やすほうが間に合わせやすくなります。
たとえば、告知と当日の案内は自分で作り、撮影と報告だけを外注する、という分け方もできます。費用の目安は動画制作の費用相場にまとめています。外注するときは、目的・見る人・載せること・締切を先に書き出しておくと、見積もりと提案が具体的になります。書き出す項目は動画制作の企画書テンプレートを使ってください。
イベントの動画を社内で作り続けるなら、NoLangを使う方法もあります。手元の資料や写真、文章からナレーション付きの動画を作れるほか、記事の作例をお手本にして、自社の内容に置き換えた動画にすることもできます。会社での使い方はお問い合わせから相談でき、詳しい資料は下のボタンから請求できます。
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