会期まで数週間。ブースで流す動画を用意することになって、まず思い浮かぶのは、去年作った会社紹介動画か、サイトに置いてあるサービス紹介の2分の動画でしょう。あれを持っていけば形にはなる、と考えます。
ところが当日、会場に立つと様子が違います。 通路は来場者の話し声と他社ブースの音で埋まっていて、動画のナレーションは自分のブースの前ですら聞き取れません。来場者は歩きながら画面を横目で見て、そのまま通り過ぎていきます。冒頭で「こんなお悩みはありませんか」と問いかける構成では、その問いかけが誰にも届かないまま2分間が過ぎていきます。
見直すべきは動画の出来ではなく、どこから見られても、音がなくても伝わる作りにすることです。 この記事では、会場の条件から展示会動画の設計を決めていきます。ブースのどこで流すかで役割を三つに分け、1周の長さと画面に出す文字を自分の条件から決め、会場で流す前の確認手順まで順を追って解説します。そのうえで、通路側・ブース内・商談席のそれぞれに合うNoLangのテンプレートを1本ずつ選び、完成した動画を並べました。置き場所が変わると何が変わるのかを、動画そのもので確かめられます。
展示会動画とは:会場の三つの条件が、ふだんの動画との違いを作る
展示会動画とは、展示会のブースや会場で流して、通りかかった来場者に自社と商品を知ってもらうための動画です。会社紹介、商品・サービスの紹介、発売前のティザー、イメージを伝えるプロモーションと、内容そのものはWebサイトに置く動画と大きくは変わりません。
違いは、見られる場所にあります。展示会場には、Webサイトやスマートフォンの画面にはない条件が三つ重なっています。
| 会場の条件 | 会場で起きること | そのまま作ると起きること | 作り方でどう受けるか |
|---|---|---|---|
| 音が届かない | 来場者の話し声と他社ブースの音があり、自社ブースの前でもナレーションは聞き取れない。音量を上げれば隣のブースの妨げになる | 音声で説明する構成では内容が伝わらない。冒頭の問いかけも届かない | 画面の文字だけで内容が読み取れるようにする |
| 途中から見られる | 画面はループ再生され、通りかかった人が任意の時点から見始める | 冒頭から順に積み上げる構成は、途中から見た人に意味が通らない | 場面ごとに独立して読めるようにし、最後から冒頭へ戻る切れ目を目立たせない |
| 遠くから短時間だけ見られる | 通路を歩きながら数秒。距離があり、会場の照明は明るい | 小さい文字、淡い色、細かい図は読めないまま通り過ぎられる | 文字を大きく、背景と差のある色にして、1場面に一つのことだけ置く |
三つの条件を受けた作りにすると、動画の役目が変わります。
通路を歩いている人が立ち止まるきっかけになり、立ち止まった人に対しては、スタッフが同じ説明を最初から繰り返さなくても話の前提がそろう状態を作れます。大きくてブースに持ち込めない機械や、形のないサービスのように、その場に置けないものも見せられます。展示台に実物を並べられない出展者にとっては、動画が実物の代わりになります。
ブースのどこで流すかで、動画の役割が三つに分かれる
1本作れば、通路でもブース内でも同じものを流せばよいのでは、と考えたくなります。そう済ませたい、というのが正直なところです。
ただ、通路を歩いている人と、立ち止まって話を聞いている人では、その画面に求めるものが違います。歩いている人が知りたいのは「ここは何屋で、自分に関係があるか」だけで、立ち止まった人はその先の「具体的に何ができるか」を知りたい。商談席に座った人は、さらに細かい条件を確かめています。
置き場所で分けると、三つになります。小売の売り場づくりでVP・IP・PPと呼ばれる分け方が、展示会の解説でもよく使われます。呼び方はどれでもよいので、この記事では置き場所の言葉で通します。
| 置き場所 | 見る人の状態 | 動画の役割 | 長さの目安 | 音の扱い | 画面の例 |
|---|---|---|---|---|---|
| 通路側 | 歩いている。数秒だけ視界に入る | 足を止めてもらう | 15〜60秒 | 届かない前提 | 通路に向けた大きめのモニター |
| ブース内 | 立ち止まっている | 何ができるかを理解してもらう | 1〜2分 | 届かない前提 | 展示物の横のモニター |
| 商談席 | 座って話している。スタッフが再生を始める | 詳しく見せて、導入の判断をしてもらう | 3〜5分 | 使える | タブレット、手元のモニター |
三つに分けると、それぞれの動画から余計なものが落ちます。通路側の動画に会社の沿革を入れる必要はなく、商談席の動画で「何屋か」を大きく出し直す必要もありません。逆に1本で兼ねる場合は、前半の20〜30秒に足を止めるための内容を置き、そのあとに説明を続ける作りがよく採られます。この作りなら通路のモニターでも商談席のタブレットでも使えますが、通路で見る人には長く、商談席で見る人には浅い動画になります。
どれか一つから始めるなら、通路側です。立ち寄ってもらえなければ、ブース内の動画は誰にも見られません。
なお、商品やサービスそのものをどう訴求するかは置き場所とは別の話で、商品紹介動画の作り方とサービス紹介動画の作り方で扱っています。この記事では、そうした紹介内容を展示会場の条件に合わせる部分に絞って解説します。
1周の長さを決める:秒数の正解ではなく、自分の条件から決める
展示会動画の長さを調べると、数字がそろいません。足を止めるための動画は5〜15秒だと書いてある解説もあれば、15〜30秒、30〜60秒を基準に、60秒でループさせるのが最も効果的、と書いてあるものもあります。どれも展示会の現場を踏まえた目安ですが、一つ選んで覚えたところで、自分のブースで正しいかは分かりません。
長さは、次の順で決めると自分の条件から出せます。
- 通路での見え方:モニターが通路のどちらを向くかで、歩いている人の視界に画面が入っている時間が決まります。通路と正対していれば長く、通路と平行なら一瞬です。
- 立ち止まった人の滞在:足を止めた人がその場にとどまる時間が、動画で伝えるべき分量の目安になります。展示会の解説では20秒前後という目安がよく挙げられます。
- 場面への割り振り:伝えたいことを場面に分け、1場面あたりに読める文字数で割ると、1周の長さが出ます。
| 置き場所 | 解説でよく挙がる目安 | 決めるときに見る条件 | 場面数の目安 | この記事の作例 |
|---|---|---|---|---|
| 通路側 | 5〜60秒(記事によって幅がある) | モニターの向きと通路の幅、立ち止まる人の滞在時間 | 4〜8場面 | 27.1秒・7場面 |
| ブース内 | 1〜2分 | 展示物を見ながら視線を移す回数、スタッフが話しかけるまでの時間 | 8〜15場面 | 66.5秒・8場面 |
| 商談席 | 3〜5分 | 商談に使える時間のうち、動画に割ける割合 | 通しで見る前提なので場面数で決めない | 75.4秒・15場面 |
右端は、この記事の後半で置き場所ごとに選んだ3本の実測です。商談席の作例は75秒で、目安の下限より短い動画です。展示会の商談席で座っていられる時間のうち、動画に割けるのは前半の数分だけなので、短い動画でも、商談の始めに見せる動画としては役目を果たせます。
通路側とブース内の画面には、もう一つ条件が加わります。どの場面から見始めても意味が通ることです。
具体的には三つあります。各場面の文字を、その場面だけで読めるようにすること。「そこで」「このように」のように、前の場面を受けた言い方を使わないこと。そして、最後の場面から冒頭へ戻ったときに、切れ目が目立たないようにすることです。商談席の動画はスタッフが再生を始めるので、この条件は外れます。通しで見る前提で順序を組めます。
音が聞こえない前提で、何を文字にするか
手元のサービス紹介動画に字幕を付ければ済むのではないか、と考えたくなります。この考えは半分だけ合っています。
字幕は音声の書き起こしなので、話した順序のまま文字になります。話し言葉は、結論にたどり着くまでに前置きを置きます。ところが展示会で先に伝えたいのは、話の順序ではなく「何屋か」です。字幕を付けただけの動画は、通路の来場者が読める数秒のあいだ、前置きを表示していることになります。
何を文字にするかについては、展示会の解説でも見解が分かれます。一方は「音が届かないので、まず自社が属するカテゴリを大きく出し、できることをテンポよく並べる。『こんなお悩みはありませんか』という問いかけは、音がないと成立しない」という主張です。もう一方は「文字に頼りすぎると映像ではなくスライド資料になる。文字は一つか二つのキーワードにとどめ、映像そのもので伝える」という考え方です。
どちらを採るかは、見せるものが画で伝わるかどうかで決まります。機械が動く様子、現場の作業、料理ができあがる過程のように、画そのものが説明になるものは、文字を減らして映像を大きく見せたほうが伝わります。仕組みや形のないサービスのように画にならないものは、文字で伝えるほかありません。自社の商材がどちらかを決めてから、文字の量を決めます。
文字の量そのものは、読める速さから逆算します。1場面に1つの文、歩きながら読み切れる長さ、そして背景と十分に差のある色。装飾的な細い書体や、写真の上に薄く重ねた文字は、明るい会場では読めなくなります。
生成した動画の文字は、あとから直せます。NoLangの編集画面では、ナレーションで読む文が中央の「読み上げ台本」に、画面に出す文字が右のタイムラインの「テキスト」の列に分かれています。プレビューで文字を選べば、読み上げはそのままで画面の文字だけを短くする、といった直し方ができます。
作ってみる:通路側の1本をテンプレートから作る
ここからは、NoLangのテンプレートを置き場所ごとに1本ずつ選び、その完成動画で作りを見ていきます。 3本はそれぞれ別の架空の企業の動画で、同じ会社が作った3本ではありません。見比べるのは題材ではなく、場面の数、1場面の長さ、画面に出す文字、音の扱いです。自社で使うときは、写真や映像と文を自社のものに差し替えます。
想定するのは、通路に面した横型モニターが1台、ブース内にもう1台、商談席にタブレットを置くブースです。
通路側に選んだのは、写真と3つの特徴で会社や施設を紹介するテンプレートです。架空のコワーキング「まちのワークラウンジ」の27秒の動画で、場面は7つあります。
| 場面 | 画面に出す文字 | 見せるもの | 秒数 |
|---|---|---|---|
| 1 | はたらく場所を、もっと自由に。 まちのワークラウンジ | 白地にサービス名 | 3.0 |
| 2 | ワークラウンジの3つのポイント | ラウンジ・相談・デスクの写真を3列に並べる | 3.7 |
| 3 | 01 集中できる空間、仕事がはかどる環境。 02 ひとりでも、チームでも、働き方に合わせて使える。 03 いつもの街でも、新しいつながりが生まれる。 | 3列の写真に番号と説明を重ねる | 6.7 |
| 4 | あなたに「自分らしく働ける場所」という選択肢を。 毎日の仕事に、心地よい時間を。 | スタッフの集合写真 | 4.4 |
| 5 | (場面4と同じ文) | 入口・ラウンジ・会議室・受付・外観の5枚 | 3.4 |
| 6 | 全国の街に、働ける場所を | 日本地図と拠点の写真 | 3.9 |
| 7 | NEXT PLACE まちのワークラウンジ | 白地に社名とサービス名 | 2.0 |
場面4と5は同じ文を出したまま、写真だけを入れ替えています。読む文字が変わらないので、途中から見た人も読み直さずに済みます。
最初と最後の場面は、どちらも白地にサービス名を出す画面です。最後から冒頭へ戻っても同じ画面が続くので、ループの切れ目が目立ちません。場面2〜6には読み上げも入っていますが、どの場面にも画面の文字があるので、音を消しても何の施設で何ができるかは追えます。
写真と3つの特徴で伝える会社・施設紹介
施設の写真で、展示会の通路に向けた30秒ほどの紹介動画に。 3つの特徴を番号つきで見せ、最初と最後にサービス名を出してください。
音を出さずに再生して、何の会社で何ができるかが読み取れるかを確かめてください。読み取れるなら、通路側の動画としては足ります。
作り始めるときは、上の「このテンプレートで動画を作る」を押します。NoLangのホームが開き、入力欄にこのテンプレートが参照動画として入った状態になります。入力欄に自社の施設やサービスの内容と特徴を書き、使いたい写真は左下の「+」から添えて、「動画を生成」を押します。
借りるモニターが縦置きなら、生成する前に入力欄の「横型」を押して、画面の向きを「縦型(9:16)」に切り替えます。1:1や4:3も選べるので、モニターの比率に近いものを選んでください。
ブース内用と商談席用を足す
通路側の1本を持ってブースに立つと、次の状況が見えてきます。画面で足を止めた来場者が、ブースに入ってきます。そこで同じ数十秒がもう一周流れても、その人が次に知りたいこと、つまり自分の会社で使えるのかどうかには答えられません。
ブース内のモニターは、その次に答える場所です。音が届かないのは通路と同じなので、文字で読める作りも同じ。変わるのは、読んでもらえる量です。
ブース内に選んだのは、導入企業3社の話でサービスを紹介するテンプレートです。架空の採用管理サービス「TeamHire」の66秒の動画で、場面は8つあります。
| 場面 | 画面に出す文字 | 見せるもの | 秒数 |
|---|---|---|---|
| 1 | デジタル人材採用を加速する 採用管理システム TeamHire | ノートPCに映る製品画面 | 5.2 |
| 2 | TeamHire の提供価値 自動で候補者情報を一元化/現場メンバーとの情報共有を促進/採用に関するデータの有効活用 | 黒地に3つのアイコン。1つ目を明るく | 2.5 |
| 3 | 会社名・氏名 25以上の媒体と自動で連携 (発言の字幕) | 1社目の担当者の話と製品画面 | 15.1 |
| 4 | 場面2と同じ3項目 | 2つ目を明るく | 2.5 |
| 5 | 会社名・氏名 Slackと連携、現場メンバーとの情報共有を促進 (発言の字幕) | 2社目の担当者の話とスマホの通知画面 | 15.1 |
| 6 | 場面2と同じ3項目 | 3つ目を明るく | 2.5 |
| 7 | 会社名・氏名 詳細なレポート・分析サービスでデータドリブンな採用活動 (発言の字幕) | 3社目の担当者の話と採用レポートの画面 | 21.3 |
| 8 | デジタル人材採用を加速する 採用管理システム 候補者情報・現場連携・採用分析をひとつに | 製品画面とサービス名 | 2.3 |
3つの価値を並べた場面が、事例の前に1回ずつ、合わせて3回出ます。途中から見た人も、長くて30秒ほど待てばこの一覧に戻り、何のサービスで何ができるかを文字で読めます。
事例の場面では、担当者の発言を字幕で出しています。前の節で、字幕を付けただけの動画は数秒のあいだ前置きを表示してしまう、と書きました。この動画では、何ができるかを価値の一覧と図解の文字で先に示し、字幕には事例の中身を読ませる役割を持たせています。事例の中でも、図解に切り替わる区間では、字幕ではなく「25以上の媒体と自動で連携」のような図の見出しを大きな文字で出しています。人物が話す区間の字幕は歩いている人には読み切れませんが、立ち止まっている人なら、見出しと字幕を追って15秒ある事例を読み進められます。
3つの導入事例で伝える採用管理SaaSのサービス紹介
製品の画面と導入企業3社の担当者の映像で、ブース内のモニター用のサービス紹介動画に。 3つの価値を見出しにして、事例ごとに発言を字幕で出してください。
入力も変わります。通路側は写真だけで作れましたが、事例を見せるブース内の動画には、話している人の映像が要ります。
商談席は、条件が三つとも変わります。スタッフが再生を始めるので途中から見られる前提が外れ、相手は座っていて画面が近く、声が届きます。ここで前の2本と同じ作りを続けると、読む文字が多すぎて、スタッフの説明の妨げになります。
商談席に選んだのは、説明をナレーションに任せる企業紹介のテンプレートです。架空のICT保守会社「アステラサポート」の75秒の動画で、場面は15あります。画面に出続ける文字は左上の略称「AST」だけで、キーメッセージが出るのは終盤の3場面です。場面1〜11では、読み上げを画面下に字幕でも出しています。
| 場面 | 画面に出す文字 | 読み上げ | 秒数 |
|---|---|---|---|
| 1 | AST | 変わらぬ日々を届けるため、私たちは変わり続ける。 | 6.4 |
| 2 | AST | ICTシステムのトータルサポートサービスカンパニー、アステラサポート。 | 4.4 |
| 3 | AST 24H365DAYS 医療/公共/流通 | 私たちはこれまで、24時間、365日、さまざまな業種のお客様のもとへ駆けつけ、この国のデジタル環境から人の暮らしまで、守り続けてきた。 | 12.0 |
| 4・5 | AST | 例えば、あらゆるICTサービスを前進させる、課題解決型ソリューション。オファリング型のマネージドサービス。 | 5.4/2.3 |
| 6 | AST | ITインフラの設計から管理、ヘルプデスク、セキュリティ、クラウド運用までを網羅し、ワンストップで提供するビジネスモデルです。 | 7.9 |
| 7・8 | AST | さらに、アステラサポートで注力している保守DX。保守受付からカスタマーエンジニア手配までの一連の流れを、AI活用により自動化。 | 3.9/6.4 |
| 9 | AST | その先の保守作業についても現場作業をナビゲートし、全国均一レベルの高品質な保守を提供。 | 7.8 |
| 10・11 | AST | 培ってきた知見を網羅的に生かして、未来の課題へ先回りする。すべては、お客様と社会のために。 | 4.7/2.6 |
| 12 | いつもの今日を、ともに創る。 まだ見ぬ明日へ、ともに挑む。 | 画面の文字と同じ | 4.4 |
| 13・14 | デジタル環境から人の暮らしまで トータルサポートサービスカンパニー | デジタル環境から、人の暮らしまで。トータルサポートサービスカンパニー。 | 2.5/2.2 |
| 15 | アステラサポート | なし | 2.5 |
場面4から9で事業の中身を説明していますが、そのあいだ画面に出るのは略称と字幕だけです。通路やブース内で流すと、音が届かないぶん小さな字幕を追うしかなく、読み切れません。座って話を聞いている相手には音声で届くので、画面を人と現場の映像に使えます。
実写とキーメッセージで伝える企業紹介
自社の事業と強みを、仕事の現場の映像とナレーションで伝える企業紹介動画に。 画面の文字はキーメッセージだけにして、説明は読み上げてください。
3本を並べると、置き場所で何が変わったかが数字に出ます。
| 通路側 | ブース内 | 商談席 | |
|---|---|---|---|
| 長さ | 27.1秒 | 66.5秒 | 75.4秒 |
| 場面数 | 7 | 8 | 15 |
| 1場面あたり | 3.9秒 | 8.3秒 | 5.0秒 |
| 画面の文字(1場面あたり、字幕を除く) | 33字 | 50字 | 8字 |
| 音声 | 読み上げ5場面(字幕なし) | ナレーション1場面、発言3場面(字幕あり) | 読み上げ14場面(うち11場面に字幕) |
| 入力 | 写真8枚 | 人物と製品画面の映像 | 仕事の現場の映像 |
通路側からブース内へ移ると、1場面の長さも画面の文字も増えます。ブース内の動画は、3秒に満たない価値の一覧を挟みながら、事例の場面に15秒以上をかけています。立ち止まっている人が相手なら、それだけの長さの場面も読み進めてもらえます。
商談席の動画だけは、傾向が逆になっています。場面数は一番多いのに、画面の文字は1場面あたり8字。説明がナレーションへ移ったぶん、画面は映像とキーメッセージに使えます。音が使えるかどうかで、作りがここまで変わります。
ただし3本は題材も違うので、数字の差には、施設・サービス・企業という題材の違いも混ざっています。自社で作るときは、この3本を作り方の目安にとどめ、場面の数と文字の量は、1周の長さを決める手順に沿って自社の条件から決めてください。
3本すべてを用意しなければならない、という話ではありません。必要な役割から作れば足ります。場面表の書き方そのものは動画の構成案テンプレートで扱っています。
会場で流す前に確かめる
作り終わったら、あとは当日ファイルを持っていけばよいと考え、そのまま本番を迎えると、明るい会場で色が飛んで文字が読めない、借りたモニターの比率が合わず左右に黒帯が出る、といった問題が起こります。会期中に直す時間はありません。
| 確かめること | 確かめ方 | 合っていないときに直す場所 |
|---|---|---|
| 画面の比率と向き | 出展要項とレンタル機材の仕様書で、モニターの解像度と設置の向き(横置きか縦置きか)を確認し、動画の比率と合わせる | 動画の画面の向き。作り直す前に、別の比率で書き出せるかを確かめる |
| 明るいところでの見え方 | 作業した部屋ではなく、明るい場所で画面を見る | 背景と文字の色の差 |
| 想定の距離からの読みやすさ | 本番と同じ大きさで表示し、通路に相当する距離まで離れて見る | 文字の大きさと、1場面に置く文字の量 |
| 途中から見たときの分かりやすさ | 再生の途中から見始めて、何屋で何ができるかが分かるか確かめる | 各場面の文字 |
| 繰り返し再生 | 会場で使う再生機器(モニター本体、メディアプレーヤー、持ち込みのノートPC)で、繰り返し再生の設定ができるか確かめる | 再生機器側の設定と、動画の末尾から冒頭へのつながり |
| ファイル形式 | 再生機器がその形式を読めるか、USBメモリから再生できるかを事前に試す | 書き出しの形式 |
| 商談席の音量 | 座った位置で聞こえ、隣のブースまでは届かない音量か確かめる | スピーカーの向き、または音量 |
電源の容量、搬入の時間、音量の規定、持ち込み機材の可否は、会場と主催者ごとに違います。出展要項を読み、分からないところは事務局に聞いてから決めてください。
展示会が終わったあと
会期の数日で終わりにする理由はありません。作った動画は、そのまま置き場所を変えられます。
ブース内用の動画は、内容が「何ができるか」なので、Webサイトの商品ページにそのまま置けます。商談席用の動画は、展示会で会えなかった相手との商談でも同じように使えます。営業が送る資料にリンクを添えておけば、説明の前提がそろった状態で打ち合わせを始められます。商談のどの場面でどう見せるかは営業動画の作り方で扱っています。
通路側の動画は短く、単体では説明が足りないので、SNSの投稿や広告の素材として使うほうが向いています。
外注するか、自分で作るか
撮影を伴う動画を作るには、撮影の体制が要ります。工場の現場、機械が動く様子、人が話す場面を本格的に撮るなら、制作会社に頼んだほうが確実です。展示会の解説では、開催の2〜3か月前に動き始め、制作期間は4〜8週間という進め方が共通して示されています。
外注するか内製するかの判断は、次の三つの軸で整理できます。
- 会期までの日数:2か月を切っているなら、撮影を伴う制作は間に合わない可能性があります。手元の写真と文章から作るほうが現実的です。
- 必要な本数:通路側・ブース内・商談席を分けるなら3本になります。1本ずつ外注するか、自分で作るかで、かかる費用と手間が変わります。
- 直しの回数:社内の確認工程が何段階に分かれているかです。修正の回数に上限がある外注では、確認の段階が多いほど調整が要ります。
費用の目安は動画制作の費用相場にまとめています。外注する場合は、目的・相手・予算・参考にしたい動画を先に整理しておくと提案の精度が上がります。整理する項目は動画制作の企画書テンプレートを使ってください。