動画広告の作り方|企画・台本・尺・見せ方を、完成した広告1本で確認

この記事の要点

  1. 動画広告の制作は、配信面の形式に合った動画ファイルと差し替え用の別パターンを用意するまで。入稿・予算・対象の設定は配信の工程として分けて考えます。
  2. 作る前に、目的・見る人と見る場面・配信面と形式・訴求・見た後の行動を一つずつ決め、企画メモにまとめます。
  3. 台本は秒数を先に割り振って書きます。作例の34秒の広告ではナレーションが約180字、1秒あたり約5字でした。
  4. 家事代行サービスの縦型SNS広告を、企画メモ・台本・完成動画を並べて掲載しています。同じテンプレートで冒頭だけ変えた別パターンも作れます。
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動画広告の制作は、広告管理画面で配信を始める前に、配信面に合った動画ファイルを用意するまでの仕事です。 目的と見る人を決め、訴求を一つに絞り、秒数を割り振った台本を書き、素材をそろえて編集し、入稿の前に確かめます。

この記事では、その流れを一本の作例で最後までたどります。 作例は、架空の家事代行サービスの初回お試しを案内する、SNS広告用の縦型動画です。 企画メモ、秒割りの台本、完成した動画を並べて載せているので、どの決めごとが動画のどこに表れているかを確かめながら読めます。

広告の種類や媒体の選び方、効果の測り方は動画広告とは?メリット・種類・媒体と効果の測り方で扱っています。 この記事は、その後の「広告に使う動画を作る」工程を扱います。

動画広告の制作でやること、配信でやること

動画広告の仕事は、動画を作る工程と、作った動画を配信する工程に分かれます。 動画制作・広告配信で担当や外注先が分かれることも多いので、最初にどこまでが制作かを決めておくと、抜けや重複が起きません。

制作と配信の分担
工程やること成果物
制作目的と見る人を決める、訴求を絞る、構成と台本を書く、素材を用意する、編集する、完成後に確かめる配信面の形式(縦横・尺)に合った動画ファイル、差し替え用の別パターン
配信広告アカウントでの入稿、配信先・対象・予算・入札の設定、審査への対応配信中の広告
改善指標を見て、次に変える箇所を決める次の動画の変更点

制作の側で決めておくべきなのは、どの配信面に出すかと、その配信面の形式です。 同じ内容でも、縦長の画面で流れるSNSのフィードと、横長の動画の前に流れるYouTubeのインストリームでは、画面の向きも、見る人の状態も違います。 配信面が決まっていないと、編集の最後で縦横を作り直すことになります。

作る前に、企画メモを1枚にまとめる

台本を書く前に、次の5つを1枚のメモにまとめます。 どれも一つに絞るのがこつです。 目的を二つ持たせると、冒頭で言うことも最後に促す行動も二つになり、どちらも弱くなります。

企画メモの5項目
項目決めること
目的知ってもらう、比べてもらう、申し込んでもらう、のどれか一つ
見る人と見る場面誰が、どこで、どんな状態で見るか(音は出ているか、スクロールの途中か)
配信面と形式どの配信面に出すか。縦か横か、何秒か
訴求見る人に一番伝えたいこと一つ。価格、手軽さ、効果などのうち、どれで選んでもらうか
見た後の行動最後に何をしてほしいか。その先のページはどこか

目的から配信面や見る指標を選ぶ方法は、動画広告とは?メリット・種類・媒体と効果の測り方の表にまとめています。

作例の企画メモは次のとおりです。 サービス名の「ハレマ」と料金は架空のもので、実在のサービスとは関係ありません。

作例の企画メモ(架空の家事代行「ハレマ」)
項目作例で決めたこと
目的申し込んでもらう。初回お試しを予約してもらう
見る人と見る場面共働きや子育て中の30〜40代。休日が家事で終わることに疲れているが、家事代行は「高そう」「知らない人を家に入れるのが不安」と感じている。SNSのフィードを眺めている途中で、音を出していないこともある
配信面と形式SNSのフィード。縦型(9:16)、30秒台。ナレーションと同じ文を字幕で出す
訴求2時間任せれば、休日の残りが自分の時間になる
見た後の行動配信面に表示される予約ボタンを押す。条件は「初回お試し 2時間4,400円(税込・交通費込み)」

訴求を「料金の安さ」ではなく「休日の時間が戻る」に置いたのは、見る人の悩みが「休日が家事で消える」ことだからです。 料金は、不安を消して行動を後押しする材料として、最後に出します。

構成の型を選ぶ

企画メモがまとまったら、場面を並べる順番(構成)を決めます。 動画広告の構成にはいくつもの型がありますが、最初は次の3つから選べば足ります。

動画広告の構成の型
型場面の流れ向いている目的
悩みから入る見る人の悩み → 原因や理由 → 解決した後の様子 → 行動比べてもらう、申し込んでもらう
使う場面を見せる使っている場面 → 特徴 → 行動知ってもらう、比べてもらう
条件を先に出す割引・期間などの条件 → 対象 → 行動申し込んでもらう

どの型でも、冒頭で「誰向けの、何の話か」を言い、最後に行動を一つだけ示す点は同じです。

作例は「悩みから入る」型です。 休日が家事で終わる悩みを見せ、プロに任せた後のきれいな部屋と家族の時間を見せてから、料金と予約の案内で締めます。

秒割りの台本を書く

構成が決まったら、場面ごとに秒数を割り振った台本を書きます。 列は「秒」「画面」「画面に出す文字」「ナレーション」の4つあれば足ります。

台本の列
列書くこと
秒その場面が始まる秒と終わる秒
画面何が映っているか。人物、物、図、文字だけ、など
画面に出す文字見出しやテロップ。音を出さずに見ても筋が分かる量
ナレーション読み上げる文。ナレーションを入れない場合は空欄

秒数を先に決めるのは、文字の量が秒数で決まるからです。 台本を書いたら声に出して読み、その場面の秒数に収まるかを確かめます。 収まらなければ、話す速さを上げるのではなく、言うことを減らします。

場面ごとの台本の書式は動画の構成案テンプレートにもまとめています。

作例の台本と完成した動画は次のとおりです。 台本の秒数は、完成した動画の実際の秒数です。 作例は字幕にナレーションと同じ文を出しているので、「画面に出す文字」と「ナレーション」を1つの列にまとめています。

作例の台本(34秒)
秒画面ナレーション(同じ文を字幕で出す)
0〜2洗濯物に囲まれてため息をつく女性。左上に「土曜 9:00」休みの日、家事だけで終わっていませんか?
2〜7洗濯・食器洗い・風呂掃除の写真が一語ごとに積み重なる。時計が10:30、12:30、15:00と進む洗濯して、食器を洗って、お風呂を磨いたら…
7〜9夕日の差す部屋で机に伏せる女性。時計は「17:00」気づけば、もう夕方。
9〜11明るい玄関に立つスタッフ。時計が「9:00」に戻るその家事、プロに任せてみませんか?
11〜16サービス名とロゴ。キッチンと浴室の掃除前から掃除後へ切り替わり、「9:00 → 11:00」家事代行のハレマなら、キッチンもお風呂も、たった2時間で、ここまでピカピカに。
16〜20拭き掃除をするスタッフ。「研修済みスタッフ」「道具・洗剤持参します」の札研修を受けたスタッフが伺い、道具も洗剤も持参します。
20〜24片付いた部屋で遊ぶ家族。「11:00」終わっても、まだ11時。休日は、ここから。
24〜30黄色の背景に「初回お試し 2時間 4,400円」と「税込・交通費込み」初回のお試しは、2時間4,400円。税込み、交通費込みです。
30〜34サービス名と料金を再び出し、下向きの矢印まずは一度、お試しください。ご予約は、下のボタンから!

家事代行サービスの初回お試し広告(縦型)

家事代行サービスの初回お試しを案内する、SNS広告用の縦型動画。 休日が家事で終わる悩みから入り、2時間で片付いた部屋と料金を見せて、予約の案内で締める。

このテンプレートで作る

ナレーションは34秒で約180字、1秒あたり約5字です。 列挙の場面は速く、家族の場面はゆっくり読ませているので、1秒あたりの字数は場面ごとに違います。 1つの字幕に出しているのは「食器を洗って、」「もう夕方。」のような短い句で、長くても「研修を受けたスタッフが伺い、」の13字ほどです。 自分の台本でも、1つの場面に詰め込む前に、この量を目安にすると読み切れる長さに収まります。

見せ方の要点を、作例で確かめる

作例の秒数を見ながら、動画広告の見せ方の要点を確かめます。

冒頭の2秒で、誰向けの何の話かを言う。 作例は再生の始まりから「休みの日、家事だけで終わっていませんか?」を画面の上に大きく出し、2秒で読み終わります。 休日の家事に疲れている人は、ここで自分向けだと分かります。 会社名やロゴから始めると、見る人が自分に関係あるかを判断する前にスクロールされやすくなります。

音を消しても筋が追えるようにする。 ナレーションと同じ文を字幕で出し、時計の「9:00」「17:00」「11:00」で時間の流れを数字でも見せています。 音を出していない人にも、休日が消える話と、2時間で取り戻せる話が伝わります。

1つの場面で伝えることは1つにする。 悩み、任せる提案、掃除の仕上がり、安心できる理由、家族の時間、料金、予約と、場面ごとに役割を1つにしています。 掃除の仕上がりと安心できる理由を同じ場面に詰め込むと、どちらも読み切れません。

最後に行動を1つだけ示す。 最後の場面は「ご予約は、下のボタンから!」と下向きの矢印です。 作例は、広告の配信面で動画の下に表示される行動ボタンを指して終わる作りです。 同じ動画を広告ではない通常の投稿に使う場合は、指す先のボタンがないので、最後の一文を差し替えます。

その先のページと同じ言葉と数字を使う。 料金と条件は、ナレーション、料金の場面、最後の場面で「初回お試し 2時間4,400円(税込・交通費込み)」にそろえています。 予約ボタンの先のページでも同じ条件と表記にしておくと、広告を見て来た人が迷いません。 条件の注記(初回のみ・1世帯1回限り)と、掃除前後の写真がイメージであることも、画面に小さく出しています。

完成したら、入稿の前に確かめる

完成した動画は、配信面と同じ条件で見て確かめます。 編集画面で大きく見ると気づかない読みにくさも、スマホの画面いっぱいに縦で再生するとよく分かります。

  • 配信面と同じ縦横・大きさで再生し、画面の文字が読めるか。端に置いた文字が、配信面のボタンや説明文と重ならないか。
  • 音を消して最後まで見て、何の広告で、何をすればよいかが分かるか。
  • 誤字、価格や期間などの数字、サービス名の表記が、その先のページと一致しているか。
  • 「必ず」「一番」など、根拠を示せない言い切りを使っていないか。
  • 使った写真・映像・音楽や、映っている人物の肖像について、広告に使ってよい範囲を確かめたか。
  • 縦横比・尺・ファイル形式・容量が、配信する媒体の入稿規定に合っているか。規定と広告審査の基準は媒体ごとに違うので、出稿する媒体の広告ヘルプで確かめます。

尺の上限は配信面ごとに決まっています。 たとえばYouTubeのバンパー広告は5〜6秒のスキップできない広告で、スキップ可能なインストリーム広告は、再生開始から5秒が経つとスキップできるようになります(Google広告ヘルプ「動画広告フォーマットの概要」による)。 スキップできる配信面では、最初の5秒で誰向けの何の話かを言い切っておく必要があります。 YouTubeに出すときの形式ごとの長さ、広告に使う動画の条件、審査はYouTube動画広告の種類と出し方にまとめています。

別パターンを作って比べる

動画広告は、一本だけ作って配信するよりも、一か所だけ変えた別パターンを並べて配信するほうが、次に何を変えればよいかが分かります。 変える箇所は一度に一つにします。 冒頭の一文と最後の行動を同時に変えると、反応の差がどちらによるものか分かりません。

変えやすいのは次の3か所です。

  • 冒頭の一文。悩みから入るか、結果から入るか。
  • 訴求。手軽さで選んでもらうか、価格で選んでもらうか。
  • 最後の行動。申し込みページへ進んでもらうか、詳しい説明のページを見てもらうか。

作例の動画は、上のテンプレートからそのまま使えます。 テンプレートを開いて、冒頭の一文だけを変えた台本を入力すると、同じ場面の並びと見せ方で別の版ができます。 できた版は元の版と見比べ、変えた一文以外に違うところがあれば、編集画面で元の版と同じ文に直してから配信します。 たとえば冒頭を「土曜の午前、家事に使っていませんか?」に変えた版と元の版を並べて配信すると、冒頭の言い方の差だけを比べられます。

社内で作るか、外注するか

縦型のSNS広告のように、文字と画像を中心に短く作る動画は、社内でも作りやすい動画です。 台本を書けば素材の用意と編集を動画生成AIに任せられるので、別パターンを何本も作って比べる使い方にも向きます。 人物の撮影や、作り込んだ映像表現が必要な動画は、制作会社に依頼する方が確実です。

どちらの場合も、企画メモと台本は自社で作り、手元に置いておきます。 社内で作るときは制作の基準になり、外注するときも、提案された構成や仮編集を企画メモに照らし、「冒頭で誰向けかを言っているか」「音なしで読めるか」を確かめられるからです。 外注するときの依頼書の書き方は動画制作のヒアリングシート・企画書テンプレート、制作費の目安は動画制作の費用相場で扱っています。 配信費と制作費を合わせた広告の予算の組み方は、動画広告の単価と予算の組み方にまとめています。

まとめ

動画広告の制作は、配信面に合った動画ファイルと、差し替え用の別パターンを用意するところまでです。 作る前に、目的・見る人・配信面と形式・訴求・見た後の行動を一つずつ決めて企画メモにまとめ、構成の型を選び、秒数を割り振った台本を書きます。 作例の家事代行の広告では、冒頭2秒で誰向けかを言い、字幕と時計の数字で音なしでも筋が追えるようにし、最後は予約ボタンを指して終えました。 完成したら配信面と同じ条件で見て確かめ、一か所だけ変えた別パターンを作って比べると、次に直す箇所が分かります。

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よくある質問

動画広告は何秒で作ればよいですか?
配信面ごとの尺の決まりと、伝えることの量で決めます。たとえばYouTubeのバンパー広告は5〜6秒のスキップできない広告で、スキップ可能なインストリーム広告は再生開始から5秒でスキップできるようになります。SNSのフィード向けは媒体の広告ヘルプで尺の上限を確かめます。尺を決めたら、台本を声に出して読み、その秒数に収まるかを確かめてください。この記事の作例は、悩み・解決・安心できる理由・料金・予約までを入れて34秒です。
動画広告は1本だけ作れば足りますか?
冒頭の一文、訴求、最後の行動のどれか一か所だけを変えた別パターンを用意すると、配信結果からどちらのパターンのほうが反応がよかったかを比べられます。一度に複数の箇所を変えると、差の理由が分からなくなります。
テレビCMや会社紹介の動画を、そのまま動画広告に使えますか?
そのまま使うより、冒頭と縦横を作り直すことをおすすめします。会社名やロゴから始まる動画は、見る人が自分向けかを判断する前にスキップされたりスクロールされたりしやすいためです。冒頭の2秒で誰向けの何の話かを言い、ナレーションを字幕にして音なしでも追えるようにし、配信面の縦横に合わせて作り直します。
NoLangで作った動画を、そのまま出稿できますか?
NoLangで作った動画は動画ファイルとしてダウンロードでき、各媒体の入稿規定(縦横比・尺・ファイル形式)に合わせて出稿に使えます。配信先・対象・予算の設定と配信は、各媒体の広告管理画面で行います。
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