YouTubeと動画の著作権|「著作権」表示の意味、申し立てと警告の違い、音楽・素材・AIで作った動画の注意点

この記事の要点

  1. オリジナルの動画は著作物で、作った時点で自動的に著作権が生まれます。1本の動画には、音楽や写真、出演者など、素材ごとに別の権利が重なります。
  2. 数秒だけ使う、著作権者を明記する、収益化しない、といったことだけでは、他人の作品を使ってよい理由になりません。引用や写り込みなどの例外の条件か、権利者の許諾(利用規約やライセンスの条件を含む)を確かめます。
  3. YouTubeの「著作権の申し立て」は通常チャンネルに影響しませんが、「著作権侵害の警告」では動画が削除され、90日以内に3回受けるとチャンネルが停止されます。
  4. 市販のCDやダウンロードした音源を使うには、楽曲とは別に音源の権利の許諾が要ります。JASRACの許諾契約で使えるのは一定の範囲で、宣伝目的の動画などには別の手続きが必要です。
  5. 制作を依頼しても、料金を払っただけでは依頼した側が著作者にはならないため、完成した動画の著作権を誰が持つかを契約で明記しておきます。AIで作ったものが著作物になるかは、人の創作的な関わり方で判断されます。
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YouTubeに動画を投稿したら、動画の一覧に「著作権」や「申し立て」と表示された。 動画編集で好きな音楽を使いたいが、著作権の上でどこまでなら許されるのか分からない。 この記事は、こうした疑問を持つ人に向けて、動画の著作権の基本と、YouTubeでの著作権の扱いをまとめたものです。

動画に含まれる権利、他人の作品を使ってよいかを確かめる順番、YouTubeの「著作権の申し立て」と「著作権侵害の警告」の違いと対処、音楽や写真などの素材を使うときの注意点、制作を依頼した動画の権利、AIで作った動画の扱いを説明します。 法律の説明は著作権法の条文と文化庁の資料、YouTubeでの扱いはYouTubeヘルプ、音楽の手続きはJASRACの案内にもとづいています(2026年10月9日時点)。

YouTube Studioの表示の意味を先に知りたい場合は、「YouTubeで『著作権』と表示されたとき」から読んでください。

動画の著作権の基本

著作権法は、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定めています(著作権法第2条第1項第1号)。 動画は、創作的に表現されたものであれば、著作権法の「映画の著作物」にあたります(第2条第3項、第10条第1項第7号)。 YouTubeに投稿する動画も、オリジナルの作品であれば、作った人が通常その著作権を持ちます。

著作権は、作品を作った時点で自動的に生まれ、登録などの手続きは要りません(第17条第2項)。 保護される期間は、原則として著作者の死後70年まで、映画の著作物は公表後70年までです(第51条、第54条)。

1本の動画には、いくつもの権利が重なる

動画には、映像そのものに加えて、台本、音楽、写真やイラスト、出演者の声や姿などが含まれます。 それぞれに別の権利者がいるため、動画を公開するときは、使った素材ごとに権利を確かめます。

動画に含まれるものと、権利を持つ人
動画に含まれるもの著作者・権利を持つ人確かめる先
動画全体制作・監督・演出・撮影・美術などを担当し、作品全体の形成に創作的に関わった人が著作者。著作者が映画製作者(製作に発意と責任を持つ人や会社)に製作への参加を約束していれば、著作権は映画製作者に帰属する。会社の発意にもとづいて従業員が職務として作り、会社の名義で公表した場合は会社が著作者自分たちで作ったか、制作を依頼したときの契約
台本・ナレーション原稿書いた人自分で書いたか、書いた人の許諾
音楽作詞者・作曲者(著作権)、歌手や演奏者・最初に音を録音したレコード製作者(著作隣接権)音楽の管理団体、レコード会社、配布元の利用規約
写真・イラスト・映像素材撮影した人・描いた人・作った人権利者の許諾、素材サイトやツールの利用規約
出演者・ナレーター演じた人(実演家の権利)。人の姿は肖像権やパブリシティ権にも関わる出演の同意と契約

著作者人格権と著作権

著作者の権利は、著作者人格権と著作権(財産権)に分かれます(第17条第1項)。 著作者人格権は、作品を公表するかどうかや著作者名を表示するかどうかを決める権利と、意に反して作品を変えられない権利からなります(第18条〜第20条)。 この権利は他人に譲渡できません(第59条)。 著作権は、作品の複製や、インターネットでの公開(公衆送信)などをする権利で、譲渡したり、他人に利用を許諾したりできます(第21条〜第28条、第61条、第63条)。

権利を侵害したときの責任

権利を侵害された人は、侵害した人に対して民事の対抗措置をとれます。 文化庁の資料は、その例として、差止請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、謝罪広告の掲載などの名誉回復の措置の請求を挙げています。

刑事罰も定められています。 著作権を侵害した場合の刑罰は、10年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方です(第119条第1項)。 会社の業務として侵害した場合は、行為者とは別に、会社にも3億円以下の罰金刑が定められています(第124条第1項)。 これらの罪は原則として権利者の告訴が必要です。 ただし、有償で提供されている作品を、利益を得る目的などでそのままインターネットに公開し、権利者の利益を不当に害する場合などは、告訴がなくても起訴できます(第123条第2項)。

他人の作品はどこまで使える?確かめる順番

YouTubeに投稿する動画で他人の作品をどこまで使えるかについて、著作権の上で「何秒までなら使える」「クレジットを書けばどんな作品でも使える」といった基準はありません。 文化庁は、他人の著作物を使いたいときに考える順番を、次のように示しています。

  1. 著作物にあたるか。単なる事実やデータ、事実を伝えるだけの時事の報道などは著作物ではありません。
  2. 保護の対象か。法令や裁判所の判決などは保護の対象になりません。
  3. 保護期間が過ぎていないか。
  4. 著作権法の例外(権利制限規定)にあたるか。引用や写り込みなどです。
  5. 権利者が分かるか。分かれば利用の許諾を得るか著作権の譲渡を受け、分からなければ文化庁長官の裁定制度を使えます。

出典:文化庁「著作権制度の概要について」(令和6年度 著作権事務担当者講習会資料)

保護期間内の音楽や写真、映像を使う場合は、4の例外にあたるかと、5の権利者の許諾を確かめることになります。 素材サイトやツールの利用規約は、権利者が示した利用の条件です。

使ってよい理由にならないこと

YouTubeは、次のようにしても他人のコンテンツを使う権利は得られないと説明しています。

よくある思い込みと、YouTubeヘルプの説明
よくある思い込みYouTubeヘルプの説明
数秒だけなら使ってよい許可なく使えば、たとえ数秒でも著作権の問題が起こり得る
著作権者を明記すれば使ってよいほとんどの場合、明記しても使う権利は自動的には付与されない
非営利や教育目的なら使ってよい非営利や教育目的と主張しても、使う権利を得たことにはならない
「著作権侵害の意図はありません」と書けば使ってよい免責の文言を書いても、使う権利を得たことにはならない
購入した曲や映像なら使ってよいiTunesの曲やDVDのクリップなどを購入しただけでは、YouTubeにアップロードする権利はない
自分で録画・録音したものなら使ってよい他者の音楽が流れているなど、他者のコンテンツが含まれていれば、著作権者の許可が必要
ほかのクリエイターも使っているから使ってよい似たコンテンツがあっても、自分に使う権限があることにはならない

出典:YouTubeヘルプ「著作権に関するよくある誤解」

クリエイティブ・コモンズの表示ライセンス(CC BY)が付いた作品は、著作者のクレジットを明記することで使えるとYouTubeは説明しています。 このように、クレジットの表記を条件に利用を認めている作品は、その条件に従って使います。 家庭内など個人的な範囲で楽しむための「私的使用」の例外も、SNSや動画サイトで公開する場合には適用されません(文化庁「著作権について知っておきたい大切なこと」)。

YouTubeヘルプで説明されている「フェアユース」は米国の制度で、著作権者の許可なく使える条件は国や地域によって異なります。 日本の著作権法では、次の引用や写り込みなどの例外が定められています。

引用として使える条件

著作権法は、公表された著作物を、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究などの引用の目的上正当な範囲内で引用することを認めています(第32条第1項)。 文化庁の資料は、自分の説を補強したり、他人の考えを論評したりするために、他人の著作物の一部を使う場合を例に挙げ、条件を次のように整理しています。

  • 公表された著作物であること
  • 公正な慣行に合致すること(引用する必然性があり、引用する部分が明確に区別されていること)
  • 引用の目的上、正当な範囲内であること(自分の著作物が主、引用する部分が従という関係があり、引用する分量が必要最小限であること)
  • 出所を明示すること(第48条)

同じ資料は、近年の判例には、これらの基準によらず、引用の目的や方法、著作権者に及ぼす影響の程度などを総合的に考慮して判断したものもあるとしています。

撮影中に写り込んだもの、屋外の作品

写真の撮影や録画で、撮ろうとしたものに付随して写り込んだり録音されたりした他人の著作物は、一定の条件で使えます(第30条の2)。 条件は、その著作物が作品の中で軽微な部分であること、利益を得る目的の有無や切り離しにくさ、作品の中で果たす役割などに照らして正当な範囲内であること、著作権者の利益を不当に害さないことです。

公園の彫刻のように屋外に恒常的に設置された美術の著作物や、建築の著作物は、彫刻を増製する場合や販売目的で複製する場合などを除き、撮影して利用できます(第46条)。 ゲーム実況や、ファンアートなどの二次創作は、原則として権利者の許諾が必要です。 権利者がガイドラインや利用条件を公開していれば、その範囲で行えます(文化庁「著作権、これってOK?NG?」)。

YouTubeで「著作権」と表示されたとき:申し立てと警告の違い

YouTubeで著作権が関わる表示には、大きく分けて2つの仕組みがあります。 1つは、YouTubeのContent IDというシステムが、権利者の登録した音声や映像と一致する部分を見つけたときに自動で付く「著作権の申し立て」です。 もう1つは、権利者が法的な削除通知を出し、YouTubeが妥当と判断してコンテンツを削除したときに付く「著作権侵害の警告」です。 著作権侵害の警告は、コミュニティガイドラインの違反警告とも別のものです。 影響も対処も違うので、まずどちらなのかを確かめます。

著作権の申し立てと著作権侵害の警告の違い
項目著作権の申し立て(Content ID)著作権侵害の警告
きっかけContent IDが、権利者の登録した音声や映像との一致を自動で検出権利者が削除通知(法的な削除の要請)を出し、YouTubeが妥当と判断
動画への影響権利者の設定により、ブロック(視聴できなくなる)、収益化(広告を掲載し、収益は権利者へ。場合によりアップロードした人と分配)、トラッキング(再生の統計を権利者が見る)のいずれか。国や地域ごとに違う場合がある動画が削除される
チャンネルへの影響通常はない警告が付く。90日以内に3回受けると、アカウントに関連付けられたチャンネルがすべて停止される
主な対応何もしない、申し立てを受けた部分の削除や差し替え、収益の分配、異議申し立てコピーライトスクールを修了して90日待つ、撤回を依頼する、異議申し立て通知を出す

出典:YouTubeヘルプ「著作権の申し立てについて」、「著作権侵害の警告について」

YouTube Studioで表示を確かめる

どちらの場合も、YouTubeからメールで通知が届きます。 パソコンのYouTube Studioでは、次の手順で確かめられます。

  1. YouTube Studioにログインし、左側のメニューで[コンテンツ]を選びます。
  2. フィルタバーで[申し立て]を選び、対象の動画を探します。ショート動画は[ショート]タブで探します。
  3. [制限]列の表示にカーソルを合わせます。「申し立て」はContent IDの申し立て、「著作権 - 削除」は削除通知の対象であることを示します。
  4. [詳細を表示]を開くと、[申し立ての詳細]のページが表示されます。[使用されたコンテンツ]で、申し立ての対象になったコンテンツと、申し立てを行った人(申立人)を確かめます。

削除された動画は、フィルタバーの[著作権]で絞り込み、[公開設定]列が[削除済み]の動画の[制限]列にある[著作権]から詳細を開きます。 有効な著作権侵害の警告は、[ダッシュボード]の[アクティブな著作権侵害の警告]でも確かめられます。

申し立てがチャンネルに与える影響

YouTubeヘルプによると、著作権の申し立ては動画に影響しますが、チャンネルやアカウントは通常、影響なしで済みます。 3分を超える動画では、権利者がトラッキングか収益化を選んでいれば、申し立てが有効でも、動画はYouTubeで視聴できます。 ブロックが選ばれた場合は、その国や地域では動画を視聴できなくなります。 ショート動画は扱いが異なり、2026年9月24日以降にアップロードされた1分を超え3分未満のショート動画は、有効なContent IDの申し立てがあっても、自動的にはブロックされずに再生できる場合があります(YouTubeヘルプ「3 分間の YouTube ショートについて」)。 ショート動画に使う音楽の選び方は、YouTubeショート動画の作り方でも説明しています。

JASRACは、YouTubeに投稿した動画にJASRACの管理楽曲が含まれていることをYouTubeのシステムが検知した場合、JASRACが「著作権の申し立て」を行った旨のお知らせが届くことがあると案内しています。 このお知らせは著作権の侵害を主張するものではなく、動画を削除する必要はないとされています(JASRAC「YouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」)。

著作権の申し立てを受けたときの対応

YouTubeヘルプでは、状況に応じて次の4つの対応が案内されています。

  • 何もしない:申し立てが有効と思われる場合は、そのまま残せます。後から別の対応をとることもできます。
  • 申し立てを受けたコンテンツを削除する:YouTube Studioのエディタで、申し立てを受けた曲だけを消去する、該当する区間をカットする、YouTubeのオーディオライブラリの別の曲に置き換える、のいずれかを行います。正しく行うと、申し立ては自動的に取り消されます。2025年6月以降、エディタで保存した編集は元に戻せないため、編集前の動画を手元に保存しておきます。
  • 収益を分配する:YouTubeパートナープログラムに参加していて、動画内の音楽に対する申し立てを受けた場合は、音楽出版社と収益を分配できることがあります。
  • 異議申し立てを行う:申し立てが無効で、使ったコンテンツの権利をすべて持っている、著作権の例外にあたる使い方をしている、誤認識された、と考えられる場合に行います。

異議申し立ては慎重に判断します。 著作権者の情報を明示していること、動画や曲のコピーを持っていること、動画の収益化を無効にしていることの3つは、正当な理由にあたらないとYouTubeは説明しています。 異議申し立てを出すと、申立人には30日の対応期限が与えられます。 申立人は、申し立ての取り下げ、維持(異議申し立ての却下)、削除通知の提出のいずれかを選び、30日以内に対応しなければ申し立ては取り下げられます。 異議申し立てが却下された場合は、その決定に対して再審査を請求でき、再審査請求に対する申立人の回答期限は7日です。 削除通知が妥当と判断されると、動画は削除され、チャンネルに著作権侵害の警告が付きます。 一度出した異議申し立ては取り消せず、異議申し立てを繰り返したり不正に行ったりすると、動画やチャンネルにペナルティが科される場合があります。 YouTubeは、どちらに権利があるかの判断や仲裁をしません。

出典:YouTubeヘルプ「著作権の申し立てに対して異議申し立てを行う」、「著作権の申し立てを受けたコンテンツを動画から削除する」

著作権侵害の警告を受けたときの対応

著作権侵害の警告を受けると、その理由と解除の方法がメールで届きます。 1回目と2回目の警告では、対象のコンテンツがYouTubeから削除されます。 コピーライトスクール(YouTubeでの著作権の仕組みに関する4つの質問)を修了すると、警告は付いた日から90日で期限切れになります。 修了しない場合、警告はチャンネルに残ります。 90日以内に3回目の警告を受けると、アカウントに関連付けられたチャンネルがすべて停止され、新しいチャンネルも作れなくなります。 ライブ配信中のコンテンツが削除された場合は、ライブ配信の利用が7日間(もう一度警告を受けた場合は14日間)制限されます。

警告を解除する方法は、次の3つです。

  1. コピーライトスクールを修了して90日待つ。
  2. 削除通知を出した権利者に連絡し、撤回を依頼する。
  3. コンテンツが誤って削除された場合や、著作権の例外にあたる場合に、異議申し立て通知を提出する。

削除通知に期限が設定されている場合は、7日以内にコンテンツを削除すれば警告を避けられることがあります。 このオプションを使えるかどうかは、警告のメールで確かめます。 期限が設定されていない場合は、動画を削除しても警告は解除されません。

動画に音楽を使うときの注意点

音楽には、作詞者・作曲者の著作権と、歌手や演奏者、最初に音を録音したレコード製作者の著作隣接権があります。 楽曲(メロディーや歌詞)を使うことと、CDや配信の音源を使うことでは、許諾を得る先が違います。

YouTubeとJASRACの許諾契約で使える範囲

JASRACは、YouTubeなど許諾契約を結んでいる動画投稿サービスでは、一定の範囲内であれば、JASRACの管理楽曲を含む動画を手続きなくアップロードできると案内しています。 文化庁は、主要な動画サービスがJASRACやNexToneなどの管理事業者と利用許諾契約を結んでいるため、管理楽曲を自分で演奏・歌唱した「歌ってみた」「演奏してみた」などの動画は、条件の範囲内で投稿できる場合が多いと説明しています。 元の音源を使う場合や、営利目的を含む場合、契約の対象外のサービスの場合は、別途許諾が必要です。 JASRACの案内では、次の使い方に別の許諾や手続きが必要とされています。

音楽の使い方と、必要な許諾・手続き
使い方必要な許諾・手続き
市販のCDやダウンロードした音源を使う楽曲の権利とは別に、音源の権利(著作隣接権)の許諾。レコード会社などに問い合わせる
特定の企業・団体、商品、サービスを宣伝する動画に使うJASRACへの「広告目的複製」の手続き
外国の曲を含む動画を、会社や学校、団体などがアップロードするJASRACへの「ビデオグラム録音」の手続き
自分が主催し、観客を招いたコンサートやイベントの様子を投稿するJASRACへの「演奏」の手続き
楽曲を編曲する、歌詞を翻訳する、替え歌にする作詞者・作曲者の意向の確認(音楽出版社を通すなど)

出典:JASRAC「YouTubeなどの動画投稿(共有)サービスでの音楽利用」

使いたい曲がJASRACの管理楽曲かどうかは、JASRACの作品データベース「J-WID」で検索できます。 音楽の権利を管理しているのはJASRACだけではなく、NexToneなどの管理事業者もあります。 管理事業者に委託していない曲は、権利者自身が利用を許可しているかを確かめます。 作曲者の死後70年が過ぎた曲でも、CDや配信の音源には、歌手や演奏者、レコード製作者の権利が残っている場合があります(文化庁「著作権、これってOK?NG?」)。

「著作権フリー」の音楽は利用規約で確かめる

YouTube向けに「著作権フリー」「フリーBGM」として配布されている音楽でも、使える範囲は配布元の利用規約で決まります。 YouTubeは、著作権使用料が無料の音楽サイトの中には、YouTubeで楽曲を使用・収益化する権利が得られないサービスもあるため、利用規約を注意深く読むよう案内しています(YouTubeヘルプ「YouTube でのフェアユース」)。

利用規約では、次のような点を確かめます。

  • YouTubeなど、公開する場所で使えるか
  • 収益化する動画や、商品・サービスを宣伝する動画に使えるか
  • クレジット表記が必要か、必要ならどう書くか
  • 曲を短くする、つなぐなどの編集をしてよいか

どの曲をどこから入手し、どの条件で使ったかを記録しておくと、後で申し立てを受けたときに権利を確かめ直せます。

YouTubeのオーディオライブラリ

YouTubeは、YouTube Studioのオーディオライブラリからダウンロードした音楽と効果音は著作権上安全に使用でき、権利者からContent IDの申し立てを受けることはないと案内しています。 クリエイティブ・コモンズのライセンスが付いた曲を使う場合は、動画の説明欄にアーティストのクレジットを書きます(YouTubeヘルプ「オーディオ ライブラリの音楽と効果音を使用する」)。 曲や効果音の探し方とダウンロードの手順は、YouTubeオーディオライブラリの使い方で説明しています。

撮影中に流れていた音楽

撮影中に周りで流れていた音楽がたまたま録音された場合は、前述の写り込み(第30条の2)の条件を満たせば、著作権の侵害にはなりません。 公益社団法人著作権情報センターは、意図して録音した場合はこの条件にあたらないと説明しています(著作権Q&A「ビデオ録画物の製作」)。 YouTubeは、自分で撮影した動画に他者の音楽が流れている場合は、アップロードする前に著作権者の許可を得るよう案内しています。 YouTubeに公開する動画では、BGMが流れていない場所で撮影するか、編集で元の音を消してナレーションや権利を確かめた音楽に差し替えます。

写真・映像・イラスト・人物を使うとき

インターネットで見つけた画像のほとんどは、誰かの著作物です。 文化庁は、誰の著作物かを調べ、権利者の意思を確かめるよう案内しています。 政府広報オンラインも、無料で使える曲や画像でも利用条件を確認し、ルールに従って使うよう呼びかけています(政府広報オンライン「ネット上の著作権トラブル 正しい知識で回避しよう」)。 素材サイトの画像や映像、編集ソフトやサービスに入っている素材も、それぞれの利用規約の範囲で使います。 テレビ番組や映画、他人の動画を録画したり切り抜いたりして使う場合は、引用の条件を満たす場合などを除き、権利者の許可が必要です。

人が映る動画では、著作権とは別に、肖像権やパブリシティ権にも配慮します。 文化庁は、コスプレの撮影を例に、本人の同意なく他人を撮影したりSNSに掲載したりすると、肖像権やパブリシティ権の侵害などのトラブルにつながるおそれがあると説明しています。 出演してもらう人には、どこで、いつまで公開するかを伝えて同意を得ておきます。

動画制作を依頼したときの著作権

文化庁の資料は、著作物の創作を他人や他社に委託した場合、料金を支払ったかなどにかかわりなく、実際に創作した受注者側が著作者になると説明しています。 制作会社やフリーランスに動画を依頼しても、費用を払っただけでは依頼した側が著作者になるわけではありません。

著作権法では、映画の著作物の著作者は、制作、監督、演出、撮影、美術などを担当して作品全体の形成に創作的に寄与した人です(第16条)。 著作者が映画製作者(映画の製作に発意と責任を持つ者)に製作への参加を約束している場合、著作権は映画製作者に帰属します(第29条第1項)。 会社の発意にもとづいて従業員が職務として作り、会社の名義で公表する動画は、契約や就業規則などに別の定めがなければ、会社が著作者になります(第15条第1項)。 誰が映画製作者にあたるかは、製作の進め方によって変わります。 動画の撮影や映像制作を外部に依頼するときは、完成した動画の著作権を誰が持つかを契約で明記しておきます。

依頼した側が完成した動画を使うには、契約で著作権の譲渡を受けるか、利用の許諾を受けます。 許諾の場合に使えるのは、許諾された方法と条件の範囲内です(第63条第2項)。 著作権を譲渡する契約でも、翻案などの権利(第27条)と二次的著作物の利用に関する権利(第28条)は、契約で特に挙げていなければ、譲渡した側に残っていると推定されます(第61条第2項)。 著作者人格権は譲渡できないため(第59条)、公開後に編集し直す予定があれば、どこまで変えてよいかを契約で決めておきます。

制作を依頼するときに契約で決めておくこと
項目決めておくこと
著作権の扱い依頼した側へ譲渡するか、利用を許諾するか。譲渡するなら第27条・第28条の権利を含めるか
使う範囲公開する媒体(自社サイト、YouTube、広告、展示会など)、期間、地域
編集と再利用依頼した側で編集や切り出しをしてよい範囲と、著作者人格権の扱い
素材の権利動画に使った音楽、写真、出演者などの権利を、どの範囲で使えるように処理したか
納品物完成した動画のファイルに加えて、編集用のデータを受け取るか

文化庁の資料は、権利の扱いを決める例として、利用を許諾する範囲(対象・利用方法・期間・地域)、改変の事前承諾、著作者人格権を行使しない特約、第27条・第28条を含めた譲渡などを挙げています。 見積もりで確かめる項目は動画制作の費用相場、依頼内容のまとめ方は動画制作のヒアリングシート・企画書テンプレートで説明しています。

AIで作った動画や素材の扱い

AIで作ったものは著作物になるか

文化審議会著作権分科会法制度小委員会の「AIと著作権に関する考え方について」(2024年3月15日)は、AIは著作者にならず、AIで作ったものが著作物にあたるかは、人がどれだけ創作に関わったかで個別に判断されると整理しています。 判断の要素として挙げられているのは、次の3つです。

  • 指示や入力の分量と内容:創作的な表現を具体的に示す詳細な指示は、創作的な寄与があると評価される可能性を高めます。アイデアを示すだけの指示は、長くても判断に影響しません。
  • 生成の試行回数:回数が多いこと自体は判断に影響しません。生成されたものを確かめ、指示を直しながら試行を繰り返した場合は、著作物と認められることもあります。
  • 複数の生成物からの選択:選ぶだけでは判断に影響しません。

AIで作ったものに人が創作的な加筆や修正をした部分は、通常、著作物と認められます。 作品の一部にAIで作った画像や音声を使った場合も、著作物にあたるかが問題になるのはその部分で、人が創作したほかの部分の著作物性まで否定されるわけではないとされています。 この考え方は、公表時点の小委員会の整理で、法的な拘束力を持つものではないとされています。

AIで作ったものが他人の権利を侵害しないか

同じ整理では、AIを使って作ったものが既存の作品の著作権を侵害するかは、人がAIを使わずに作った場合と同じく、既存の作品との類似性と依拠性で判断されるとしています。 既存の作品の表現を知っていて、それに似たものをAIに作らせた場合は、依拠性が認められると考えられています。 例として、既存の作品そのものを入力する場合や、作品の題名などの固有名詞を入力する場合が挙げられています。 公開する前に、特定の作品やキャラクターに似ていないかを確かめます。 使ったAIのサービスで作ったものの権利や商用利用の扱いは、そのサービスの利用規約で確かめます。

YouTubeでAIの使用を開示する

YouTubeは、AIを使ってコンテンツを大幅に改変したり、写真のようにリアルな内容を生成したりした場合に、アップロードの際に開示するよう求めています。

AIの使用の開示が必要な例と、不要な例
区分例
開示が必要実在の人物が言っていないことを言っているように見せる、実際の出来事や場所の映像を改変する、現実には起きていない場面をリアルに生成する、動画の中心となる音楽をAIで作る
開示は不要非現実的な内容、色の調整や背景のぼかしなどの軽微な編集、台本やサムネイル、タイトルの作成などの制作支援、字幕の作成、自分の声をクローンしたナレーション

出典:YouTubeヘルプ「生成 AI コンテンツの使用に関する開示」

開示は、YouTube Studioでアップロードするときに、[属性]の[AI の使用]で[はい]を選んで行います。 開示しても、動画の視聴者が制限されたり、収益化の資格に影響したりすることはありません。 開示を繰り返し意図的に怠ると、コンテンツの削除やYouTubeパートナープログラムへの参加停止などのペナルティを受ける可能性があります。

AIで作ったナレーションを商用で使う前に確かめることはAI音声ツールの選び方、AIアバターの顔や声の権利はAIアバターとはで説明しています。

NoLangで作った動画を公開するときに確かめること

NoLangでは、入力した文章や資料、写真などから、ナレーションや画像を含む動画を作れます。 自分で追加する写真や動画、資料は、自分で撮ったもの・作ったものか、使う許可を得たものにします。

NoLangが用意している声やBGM、効果音、画像などの素材には、公開するときに提供元の名前やライセンスの表記が必要なものがあります。 動画のページにある「コピーライト」欄には、その動画で使った素材のうち表記が必要なものが、まとめて表示されます。 欄の見出しの横にあるアイコンのボタン(「コピーライトをコピー」)で表記をコピーし、YouTubeの説明欄などに貼り付けます。

NoLangの動画ページにある「コピーライト」欄。見出しの横にコピーのアイコンがあり、明記が必要な素材の表記が表示されている

表記が必要な素材を使った動画では、動画をダウンロードするときに、表記を数秒のスライドとして動画の最後に入れるか(「動画の最後に入れる」)、入れずに自分で掲載するか(「入れない(自分で掲載する)」)を選べます。

NoLangで動画をダウンロードするときの「クレジット表記」の画面。「動画の最後に入れる」と「入れない(自分で掲載する)」を選べる

素材の権利を確かめる手順を社内で共有したいときは、NoLangで研修動画にまとめることもできます。 次の作例は、その手順を伝える研修動画をNoLangで作り、テンプレートにしたものです。

動画素材の権利チェック 5ステップ(社内研修)

動画を公開する前に、使う写真や音楽などの素材の権利を確かめる手順を、社員向けの研修動画にしてください。 失敗の例から入り、5つの手順とおさらいで締めてください。

このテンプレートで作る

公開前に確かめることの一覧

動画を公開する前に確かめること
素材確かめること記録しておくこと
自分で撮影・制作したもの他人の作品や音楽、人物が写り込んでいないか撮影した日と場所、出演者の同意
音楽楽曲と音源の権利、JASRACなどへの手続きの要否、配布元の利用規約曲名、入手元、利用条件、クレジット表記
写真・イラスト・映像素材権利者の許諾、素材サイトやツールの利用規約入手元、利用条件、クレジット表記
他人の作品の一部引用の条件を満たすか出所
AIで作ったもの既存の作品に似ていないか、AIサービスの利用規約、YouTubeでの開示の要否使ったサービスと指示の内容
制作を依頼した動画契約で決めた権利の扱いと使える範囲契約書

YouTubeは、判断がつかない場合はアップロードする前に法律の専門家に相談するよう案内しています(YouTubeヘルプ「YouTube での著作権」)。 文化庁の資料は、著作権について分からないことの相談先として、公益社団法人著作権情報センターの「著作権テレホンガイド」を挙げています。

仕事で使う動画を社内で作り続けるなら、NoLangを使う方法もあります。 文章や台本、PDFやPowerPointの資料から、ナレーションと字幕の付いた動画を作れます。 会社での使い方はお問い合わせから相談でき、詳しい資料は下のボタンから請求できます。

資料をダウンロード

よくある質問

YouTubeで「著作権」と表示された動画は削除したほうがいいですか?
まず、Content IDによる著作権の申し立てか、削除通知による著作権侵害の警告かを確かめます。申し立ては通常チャンネルに影響せず、申し立てが有効と思われる場合はそのまま残すことも、申し立てを受けた部分だけを削除したり別の曲に置き換えたりすることもできます。申立人がJASRACの場合に届く「著作権の申し立て」のお知らせは侵害を主張するものではなく、動画を削除する必要はないとJASRACは案内しています。警告の場合、動画はすでにYouTubeから削除されており、自分で動画を削除しても警告は解除されません(期限付きの削除通知を受けた段階で、期限内に削除した場合を除きます)。コピーライトスクールの修了などの解除の方法を確かめます。
何秒までなら他人の曲を使ってもいいですか?
秒数の基準はありません。YouTubeは、著作権で保護されたコンテンツを許可なく使えば、たとえ数秒でも著作権の問題が起こり得ると説明しています。
収益化していない動画なら、市販の曲を使ってもいいですか?
収益化していないからといって、他人の作品を使う権利を得たことにはなりません。市販のCDやダウンロードした音源を使うには、楽曲の権利に加えて、音源の権利を持つレコード会社などの許諾が必要です。
1分を超えるショート動画で著作権の申し立てを受けると、ブロックされますか?
YouTubeは、2026年9月24日から、1分を超え3分未満の新しいショート動画は、有効なContent IDの申し立てがあっても自動的にはブロックされず、再生できる場合があると案内しています。ブロックされた場合は、申し立てを受けたコンテンツを動画から削除するか、申し立てが誤りであれば異議申し立てを行えます。ショートのオーディオライブラリで使える音楽や、YouTubeオーディオライブラリのロイヤリティフリーの音楽を使うと、申し立てを避けられるとYouTubeは案内しています。
NoLangで作った動画の著作権は誰にありますか?商用利用できますか?
NoLangの個人プランの利用規約では、NoLangで生成した動画の知的財産権は利用者に帰属し、利用者は商用利用を含めて自由に二次利用できると定めています(運営会社が合理的な判断で中止を求める場合があります)。運営会社も、規約の範囲で生成された動画を利用できるとされています。NoLangが提供するアバター、背景画像、効果音、BGMなどの素材の権利は運営会社または第三者にあり、サービスの利用に必要な範囲を超えて使うことはできません。生成した動画が第三者の権利を侵害していないかは、利用する前に利用者が確かめることになっています。法人向けの利用規約でも生成した動画の知的財産権は利用者に帰属し、YouTubeなどへ投稿するときは概要欄などに「動画生成: NoLang (no-lang.com)」と表示すると定めています(2026年10月9日時点)。
AIで作った動画に著作権はありますか?
文化庁の審議会の整理では、AIは著作者にならず、AIで作ったものが著作物にあたるかは、人の創作的な関わり方(創作的な表現を具体的に示す指示、生成物を確かめながら指示を直す試行など)で個別に判断されます。人が創作的に加筆や修正をした部分は、通常、著作物と認められます。動画の一部にAIで作った画像や音声を使った場合も、人が創作したほかの部分の著作物性まで否定されるわけではないとされています。
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