「そろそろ会社紹介の動画がほしい」と社内で話が出たあと、最初に止まるのは撮影でも編集でもありません。 うちの会社の何を入れるかが決まらないところで止まります。
会社概要も、沿革も、事業の説明も、工場の様子も、社員の声も入れたい。 全部入れれば10分を超えます。 削ろうとすると、どれを削ってよいかの基準がありません。
基準は、動画の中ではなく外にあります。 誰に見せて、見終わった人にどうしてほしいのか。 それが決まると、入れる要素も、並べる順番も、長さも決まります。
この記事では、その決め方を相手別の対応表にまとめ、手元にある素材から見せ方を選べるようにします。 そのうえで、架空の会社を題材にした完成動画を2本紹介します。 2本は、相手と主役にする素材を変えてあります。 製品と事業を順に見せる取引先向けの動画と、現場の映像に短い言葉を重ねる地域向けの動画です。
会社紹介動画が引き受ける範囲
会社紹介動画、会社案内動画、企業紹介動画、コーポレートムービー。 呼び名はいくつもありますが、実務で指しているものはほぼ同じです。 制作会社の説明ページを見ても、この4語を明確に区別して使い分けている例はまれで、どれも「会社そのものを紹介する動画」を指しています。
区別が必要なのは呼び名ではなく、隣接する動画との境界のほうです。 そしてその境界は、伝える相手と、見終わった人にしてほしいことで引けます。
| 動画 | 伝える相手 | 見た後にしてほしいこと | 主な置き場所 | 詳しく扱う記事 |
|---|---|---|---|---|
| 会社紹介動画(本記事) | 取引先、求職者、株主、地域など、会社そのものを知りたい人 | 会社を信頼する、話を聞いてみる | 会社サイト、商談、展示会、説明会 | 本記事 |
| 採用動画や会社説明会の動画 | 応募を検討している求職者 | 応募する、説明会に参加する | 採用サイト、説明会、求人媒体 | 採用動画の作り方 |
| 商品紹介動画 | 特定の商品を検討している人 | 商品の特長を理解して購入を検討する | 商品ページ、店頭、SNS | 商品紹介動画の作り方 |
| サービス紹介動画 | サービスの導入を検討している人 | 使う場面を想像して問い合わせる | サービスサイト、商談、展示会 | サービス紹介動画の作り方 |
| PR動画やプロモーション動画 | 案件ごとに決める | 案件ごとに決める | 案件ごとに決める | PR動画とは |
| 動画広告 | まだ知らない人、一度接点のあった人 | 広告枠から目的のページへ進む | 各媒体の広告枠 | 動画広告の種類・媒体・効果 |
境界がとくに曖昧になりやすいのは、採用動画との間です。 求職者に会社を知ってもらう動画は、会社紹介動画でもあり採用動画でもあります。 分かれ目は、募集要項や選考の流れといった、応募の手続きに関わる情報を含むかどうかです。 含むなら採用動画として設計したほうが収まりがよく、含まないなら会社紹介動画の一種として、相手を求職者に決めて作れば足ります。
会社説明会で流す動画も、会社紹介動画とは別物として扱います。 説明会用の動画には募集職種、福利厚生、求める人物像、質疑応答まで入ることが多く、伝える情報の性質が変わるためです。
何を入れるかは、伝える相手が決める
会社紹介動画に入れられる要素は、だいたい出尽くしています。 制作会社の解説を突き合わせると、次の9つに整理できます。
- ブランドメッセージ:理念、ビジョン、自分たちが何のために存在するのか
- 会社概要:事業領域、規模、拠点
- 沿革:創業からの歩みと、転機になった出来事
- 事業の中身と強み:何をしている会社か、競合と何が違うか
- 製品やサービス:扱っているものの特長と使われ方
- 現場:工場、店舗、製造工程、普段は見えない場所
- 働く人:社員の声、一日の仕事、職場の空気
- 実績と数字:取引社数、シェア、創業年数、導入先の業界
- これからの方針:今後の展開、環境や社会への取り組み
問題は、この9つから何を選ぶかです。 「目的を明確にしましょう」という助言はどこにでもありますが、目的を明確にした後に何を入れるかは、そこから自動的には出てきません。
出てくるようにするには、目的をもう一段具体化します。 誰が見るのか、その人に見終わった後どうしてほしいのか。 この2つを決めると、入れる要素と順番が決まります。
| 相手 | 見た後にしてほしいこと | 先に置く要素 | 続けて置く要素 | 入れなくてよい要素 |
|---|---|---|---|---|
| 取引先・見込み顧客 | 取引相手として信頼する、一度話を聞いてみる | 事業の中身と強み | 実績と数字、現場、製品やサービス | 沿革の詳細、働く環境の紹介 |
| 求職者 | 働く自分を想像する | 働く人 | 事業の中身、これからの方針 | 拠点網、取引条件 |
| 株主・投資家 | 会社の向かう先を理解して、期待を持つ | これからの方針 | 事業の中身、実績と数字、沿革 | 製品の使い方 |
| 地域・一般 | 会社の存在と姿勢を知る | ブランドメッセージ | 現場、働く人、沿革 | 事業の細部、数字 |
順番が相手ごとに違うのは、冒頭の十数秒で視聴者が「これは自分に関係があるか」を判断するからです。
取引先が最初に知りたいのは、何をしている会社かです。 理念から入ると、判断に必要な情報が後ろに追いやられます。
求職者は逆で、事業の説明から入ると求人票と変わりません。 働いている人の顔と声が先にあって、そのあとで「その人たちは何をしているのか」に進むと、自分を重ねながら見られます。
株主が見たいのは、これまでより、これからです。 実績は方針を裏づける根拠として後ろに置くほうが効きます。
地域や一般の人には、そもそも事業を詳しく知る動機がありません。 どういう考えの会社で、どんな人が働いているのかが伝われば足ります。
「入れなくてよい要素」の列は、削る作業のためにあります。 会社紹介動画が長くなる原因は、たいてい情報が足りないことではなく、相手が求めていない情報まで入っていることです。 迷ったら、その要素が「見た後にしてほしいこと」を後押ししているかを見ます。 後押ししていない要素は、その相手向けの動画からは外せます。
会社紹介動画をかっこいいものにしたい、という要望もここで扱えます。 映像のクオリティを上げれば印象がよくなる、という話に見えますが、実際に印象を決めているのは切り口です。 自社をどう思われたいかを先に一文にして、それを支える要素だけを残したほうが、撮影や編集に費用をかけるよりも意図した印象を伝えられます。 「堅実で、長く付き合える会社」と決めたなら、沿革と実績と現場が効きます。 「新しいことに挑む会社」なら、これからの方針と働く人が前に出ます。
見せ方は、手元にある素材から選ぶ
会社紹介動画の型としてよく挙がるのは、事業紹介型、コンセプト型、インタビュー型の3つです。 ここにオフィス紹介型やアニメーション型を足す分類もあります。
分類としては妥当ですが、この一覧から選ぼうとすると止まります。 インタビュー型には語る人が要り、オフィス紹介型にはカメラを持って歩く人が要ります。 どれも撮影を前提にしているので、手元に会社案内のPDFと工場の写真しかない中小企業の担当者は、会社紹介動画の型を選ぶ前の段階で行き詰まります。
型は、手元にある素材から選びます。
| 見せ方 | 向く相手 | 必要な素材 | 撮影 | 向く置き場所 |
|---|---|---|---|---|
| 事業と強みを順に見せる | 取引先、株主 | 会社概要の資料、事業や製品の写真か映像、数字 | 不要 | 会社サイト、商談、展示会 |
| 数字と実績を並べる | 取引先、株主、求職者 | 数字、資料、ロゴ | 不要 | 商談、展示会、採用サイト |
| 理念や世界観から入る | 地域・一般、求職者 | 伝えたい一言、現場や人の写真か映像 | あるとよい | 会社サイトのトップ、周年の式典 |
| 現場やオフィスを見せて回る | 求職者、取引先 | 現場を撮影した映像 | 必要 | 採用サイト、工場見学の事前案内 |
| 働く人が語る | 求職者、取引先 | 語る人、話す内容、収録した映像か音声 | 必要 | 採用サイト、説明会 |
上2つと下2つで、必要な素材の性質が変わります。 上2つは資料と写真だけでも成立し、下2つは映像の撮影が前提になります。 真ん中の理念や世界観から入る見せ方は、写真でも映像でも作れます。 この記事の後半では、1行目と3行目の見せ方を1本ずつ紹介します。 どちらも、手元にある映像を添付して作る例です。
撮影が必要な見せ方を選ぶ場合でも、撮影の規模は動画の質に比例するわけではありません。 現場を見せて回る動画も、働く人が語る動画も、必要なのは長時間のロケではなく、映すべき場面を決めてから撮ることです。 決め方は相手別の表がそのまま使えます。 求職者向けなら働く人が先、取引先向けなら現場と工程が先です。
置き場所を決めると、長さと形が決まる
会社紹介動画は何分が適切か、という質問には決まった答えがありません。 以前は10分から15分の動画が主流でしたが、いまは3分から5分に収めるものが多くなった、という説明が制作会社の解説では共通しています。 一方で、Webサイト用は1分から3分、SNS用は15秒から60秒、説明会や展示会用は3分から5分、という配信先別の目安も並立しています。
幅があるのは、尺が動画の内容ではなく置き場所で決まるからです。 置き場所を先に一つ決めると、3つのことが同時に決まります。
| 置き場所 | 長さの目安 | 画面の向き | 音の扱い |
|---|---|---|---|
| 会社サイトのトップページ、会社案内ページ | 1〜3分 | 横 | 音が出せない前提。文字で成立させる |
| 商談前に送る、商談の冒頭で見せる | 2〜3分 | 横 | 音を出せる。ナレーションを軸にできる |
| 展示会のブース | 1分以内 | 横 | 会場の騒音で聞こえない。文字を大きく |
| 会社説明会やセミナー | 3〜5分 | 横 | 音を出せる。腰を据えて見てもらえる |
| 採用サイト | 1〜3分 | 横または縦 | 音が出せない前提 |
| SNSの投稿 | 15〜60秒 | 縦 | 無音。冒頭の数秒で手を止めてもらう |
1本の動画をあとから別の置き場所にも使いたくなるのは自然なことです。 それでも、最初の置き場所に合わせて作り、必要になってから長さや向きを変えた版を用意するほうが、どの置き場所にとっても中途半端な1本を作るより結果がよくなります。
作った後で内容が古くなる、という問題もここで手当てできます。 退職した社員が出演し続けている、3年前のオフィスが映っている、という状態は信頼を損ないます。 数字や人が変わりやすい部分を、あとから差し替えられる形で作っておけば、全部を作り直さずに済みます。
外注するときの進み方と、費用の見方
制作会社に依頼する場合、進み方はどこでもほぼ同じです。
- 企画と構成:誰に何を伝えるかを決める。ここで決まらないまま進むと、後の工程でやり直しになる
- 構成案と絵コンテ:場面の展開とナレーションを紙に落とす。撮影後の変更は費用がかかるため、違和感はこの段階で伝える
- 撮影またはアニメーション制作:撮影は半日から1日。複数拠点なら日をまたぐ
- 編集とナレーション収録:映像をつなぎ、文字と音楽と音声を載せる
- 納品:用途に合わせた形式で受け取る
期間は1か月から4か月の幅で説明されます。 内訳として多いのは、構成に1か月、撮影と編集に1か月、修正とナレーション収録に1か月という配分です。 ただし、期間を最も動かすのは撮影や編集ではなく社内の確認と承認の往復だ、という指摘が複数の制作会社から出ています。 決裁者を企画段階から巻き込んでおくと、後戻りが減ります。
費用は、一つの相場には収まりません。 同じ「会社紹介動画」について、制作会社が公開している目安は切り口ごとに次のように分かれています。
| 切り口 | 提示されている金額の例 |
|---|---|
| 比較的多いレンジ | 150万〜350万円 |
| 一般的な目安 | 50万〜300万円 |
| 種類別 | 社員インタビュー型30万〜80万円/事業紹介50万〜150万円/コーポレートムービー100万〜300万円/アニメーション40万〜120万円 |
| 尺別 | 1分30万〜80万円/3分40万〜100万円/5分40万〜120万円/10分50万〜150万円 |
| 撮影の有無 | 実写なし20万〜100万円/実写あり50万〜200万円 |
| 制作方法別 | スマホ撮影と簡単な編集で5万〜10万円/カメラ1台と簡易な演出で20万〜50万円/企画から一貫した本格制作で60万〜150万円以上 |
金額がここまで散らばるのは、各社が自社の価格帯を前提に書いているからです。 市場の中央値ではないので、この表から平均値を出しても意味がありません。
代わりに使えるのは、費用を動かす要因のほうです。 こちらは各社の説明が一致しています。
- 撮影の有無と回数:撮影1回あたり20万〜30万円程度が加算される。拠点が離れていれば移動費と宿泊費も発生する
- アニメーションや3DCGの使用:イラストの点数やモデリングの作り込みで大きく動く
- 尺:長いほど構成も編集も増える
- 修正回数:上限と追加料金の条件を見積もり時に確認する
- 多言語対応:翻訳、ネイティブチェック、各言語のナレーターの手配
見積もりを比較するときは、金額そのものより、素材の二次利用権が含まれるか、納品形式が複数あるか、公開後の修正に対応するかを見ます。 費用の内訳をさらに詳しく知りたい場合は、動画制作の費用相場で扱っています。
製品と事業を順に見せる
ここまでの表を、架空の会社で使ってみます。 1本目の題材は、家庭用のミシンやラベルライターから、オフィス向けのプリンター、工場向けの印刷機や工作機械までを作るメーカー「青葉テクノロジー」です。 人物、製品、数字も含めて、すべて架空の設定です。
相手は取引先・見込み顧客にします。 扱う製品の幅が広い会社ほど、取引先が最初に知りたい「何をしている会社か」を一言で伝えにくくなります。 そこで、製品の一覧から入り、主力の印刷事業で製品が使われている場面を見せ、数字と社会への取り組みで裏づける順番にしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手 | 取引先・見込み顧客 |
| 見た後にしてほしいこと | 取引相手として信頼する |
| 入れる要素と順番 | 製品 → ブランドメッセージ → 事業の中身 → 実績と数字 → これからの方針 |
| 置き場所 | 商談の冒頭で見せる、会社サイトの会社案内ページ |
| 長さと向き | 約60秒、横 |
| 使う素材 | 製品の写真、製品が使われる場面や職場の映像、理念の一文、地域別の売上構成 |
ブランドメッセージは、相手別の表では取引先向けに挙げていない要素です。 この動画では、幅の広い製品群を一つの方向にまとめる役割として、冒頭の製品一覧の直後に一文だけ置いています。 沿革と働く環境は、表のとおり入れていません。
商談で音を出して見せる前提なので、ナレーションで進めます。 会社サイトに置いて音なしで見られても伝わるように、事業の名前と数字は画面の文字でも表示しています。
作るときは、手元の素材をNoLangの入力欄にそのまま添付します。 資料はPDFかPPTXで、メインの1件に加えて補足の資料を3件まで添付できます。 画像は枚数の上限なく、映像素材は10本まで添付できます。 この作例で添付したのは、オフィスと倉庫の映像2本です。
映像を添付すると、話している声を文字に起こして使うか、映像そのものを素材として使うかを、ファイルごとに選べます。 2本とも会話のない映像なので、どちらも動画素材として指定しました。 添付した素材は入力欄の上に並び、その下の欄に、何をどの順番で伝えたいかを書きます。
映像素材の添付と資料の添付は、同じ動画では組み合わせません。 手元に両方がある場合は、その動画で見せたいものから選びます。 製品が使われる場面や現場の空気を見せたいなら映像を、事業の中身を文章と数字で伝えたいなら資料を主役にします。
次の動画が、このテンプレートの見本です。 製品の写真と、製品が使われる場面の映像を入れ替えて使います。
製品・事業・社会への取り組みを伝える会社紹介
このオフィスと倉庫の映像で、取引先に事業の幅を伝える約60秒の会社紹介動画に。製品の一覧、理念、主力事業での使われ方、地域別の売上構成、資源循環の取り組みの順番で。
中盤の円グラフは、地域別の売上構成を1枚で見せる場面です。 数字を読み上げるだけでなく図にしておくと、音を出せない場所でも規模感が伝わります。 後半は使用済みカートリッジの回収とリサイクルの映像で、これからの方針を示しています。 取引先にとっても、長く付き合う相手かどうかを判断する手がかりになります。
このテンプレートは、同じ構成のまま素材を入れ替えて使えます。 相手ごとに動画を分けたほうがよい、という助言と、1本あたり数十万円という費用の負担とのあいだで身動きが取れなくなるのは、1本ずつ作り直す前提でいるからです。 構成が手元にあれば、2本目からは素材の差し替えで済みます。
現場の映像に短い言葉を重ねる
2本目は、説明の文章を入れず、現場の映像と短い言葉だけで見せる動画です。 題材は別の架空の会社で、コンクリート製品の製造を中心に、宿泊施設と菓子の製造も営む「AOBA WORKS」です。 こちらも、人物と社名を含めて架空の設定です。
相手は地域・一般にします。 地域の人には、事業を詳しく知る動機がありません。 相手別の表の4行目のとおり、ブランドメッセージを先に置き、現場と働く人で裏づけます。 締めには、これからの方針を短い言葉で添えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 相手 | 地域・一般 |
| 見た後にしてほしいこと | 会社の存在と姿勢を知る |
| 入れる要素と順番 | ブランドメッセージ → 現場 → 働く人 → これからの方針 |
| 置き場所 | 会社サイトのトップページ |
| 長さと向き | 約114秒、横 |
| 使う素材 | 工場や作業の映像、伝えたい短い言葉、社名のロゴ |
会社サイトのトップでは音が出せない前提なので、ナレーションは入れていません。 映像の上に、一度に読み切れる長さの言葉を一つずつ重ねて進めます。 言葉は14か所に分けてあり、一つが映っている時間は2秒から7秒ほどです。
次の動画は、工場や作業の映像と、重ねる言葉を入れ替えて使うテンプレートです。
ものづくりの現場で伝える企業紹介
この工場と作業の映像、社名のロゴで、地域の人に会社の姿勢を伝える約2分の会社紹介動画に。短い言葉を映像に重ねて、ブランドメッセージ、現場、働く人、これからの方針の順番で。
工場、道具、製品置場の場面のあいだに、宿泊施設や菓子づくりの映像を挟み、事業の幅も見せています。 締めは工場の空撮に社名のロゴを重ねるだけで、説明の文章は置いていません。
2本を並べると、相手を変えるときに何が変わるかがはっきりします。 入れる要素と順番が変わるのは前章までのとおりですが、それだけではなく、必要な素材そのものが変わります。 取引先向けの1本目に要るのは、製品の写真と製品が使われる場面の映像、それに数字です。 地域向けの2本目に要るのは、現場の映像と伝えたい一言です。 相手ごとに分けて作りましょう、という助言が実行しにくいのは、費用の問題だけでなく、相手を変えると手元にない素材が必要になるからです。
裏を返せば、順番は逆でもかまいません。 いま手元にある素材で届けられる相手から始めれば、1本目は今日作れます。
最初の1本を決める
会社紹介動画に何を入れるかは、動画の中を見ていても決まりません。 決まるのは、次の4つを順に決めたときです。
- 誰に見せて、見終わった人にどうしてほしいか:取引先、求職者、株主、地域のどれか一つ
- 入れる要素と順番:相手別の表から選び、後押ししない要素を外す
- 置き場所と長さ:置き場所を一つ決めると、長さも向きも音の扱いも決まる
- 作り方:撮影が要る見せ方を選ぶか、手元の資料と写真で成立する見せ方を選ぶか
全部の相手に向けた1本を作ろうとすると、この4つのどれも決まりません。 逆に、相手を一つに決めた瞬間に、残りの3つは表から引けます。
そして、最初の1本は、いま手元にある素材で届けられる相手に向けたものでかまいません。 1〜2分の動画が1本あれば、商談の冒頭でも、サイトの会社案内ページでも使えます。 2本目から先は、その構成を使い回して相手を増やしていけます。